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あの大種牡馬も勝利した出世レース!/かきつばた記念

  • 2016年05月02日(月) 18時02分

余裕の走りでコースレコード


 5月3日(祝・火)、名古屋競馬場で行われる『第18回かきつばた記念』。スマートファルコン(2009、2010年)やセイクリムズン(2011、2012年)が連覇を果たすなど人気馬がきっちり上位に来ることが多いレースで、昨年の覇者コーリンベリーがのちにJpnI・JBCスプリントを制しているように、出世レースという印象もあります。

 そのコーリンベリーの父は2002年のかきつばた記念を制したサウスヴィグラス。見事親子制覇を果たしました。サウスヴィグラスは2012年に地方競馬のリーディングサイアーとなり、現在も活躍馬を輩出し続け、今やダート短距離界の偉大なる父となっています。

 1998年にデビューした美しい栗毛のアメリカ産馬。ダートの重賞戦線やオープン特別で上位争いをしていたものの本格化したのは2002年、6歳になってからのこと。根岸Sで重賞初制覇を果たすと黒船賞、かきつばた記念、北海道スプリントC、クラスターCと勝ち星を重ね、この年だけで重賞5勝を挙げました。

 しかしその後、骨折が判明。秋は休養に入ります。翌2003年、復帰戦となった根岸Sを連覇。さらに北海道スプリントCも連覇。その年の秋にはついにJBCスプリントを制し、引退。重賞勝ちはJpnIを含む8勝という素晴らしい成績を残しています。

DGに魅せられて

▲2002年根岸S優勝時のサウスヴィグラス 種牡馬となり多くの重賞馬を輩出(撮影:下野雄規)


 種牡馬となってからは2009年、スパロービートが船橋記念を制し産駒の重賞初制覇を果たしたのを皮切りに、ラブミーチャンがJpnI・全日本2歳優駿を制覇。トーホウドルチェ、ナムラタイタン、ジーエスライカー、ハルサンサン、ワールドエンド、カイロス、ハードデイズナイト、コーリンベリー、タイニーダンサー、モダンウーマン等々ここに書ききれないほど多くの重賞ウイナーが誕生しています。

 2002年のかきつばた記念を1分23秒9の勝ちタイムで制したサウスヴィグラス。このタイムは名古屋競馬場1400mのコースレコードで、現在でも破られていません。文字通りの快速馬でしたが、レース映像をよく見るとベロベロと舌を出しながら走っている姿が印象的でした。産駒のナムラタイタンもゴール前で舌を出しながら走っているのを見たことがあり「こんなところも遺伝するのか!」と、ほっこりした気持ちなりました。

芝のGIホース・スノードラゴンが参戦


 さあ、今年もそんな未来の大種牡馬となる可能性を秘めた馬たちが集結。見どころを展望していきましょう。

 最初に取り上げるのはスノードラゴン。2014年のスプリンターズSを制した芝のGIホースが参戦。近走は芝を使っていましたが、もともとはダート戦で勝ち上がってオープン入り。2014年の北海道スプリントCでアドマイヤサガスの2着だったこともあります。

DGに魅せられて

▲久々のダート戦でどんな戦いを見せるか 写真は2014年のスプリンターズS優勝時(撮影:下野雄規)


 この年、暮れの香港スプリント出走後に脚部不安で休養。復帰戦となった今年3月のオーシャンSで3着。続く高松宮記念は7着でしたが、地力はナンバーワン。アドマイヤコジーン産駒の芦毛馬で、雪のように白い馬体がダートに映えるグッドルッキングホース。59kgは不安材料ですが、名古屋競馬場でどんな走りを見せてくれるのか見逃せません。

 去年のかきつばた記念で2着のレーザーバレット。その後、浦和のオーバルスプリント、園田の兵庫GTを制し、1400mの重賞を2勝と大活躍。名古屋競馬場のコース経験があるのはJRA勢ではこの馬だけというのも心強い材料です。

DGに魅せられて

▲コース経験が強みのレーザーバレット 写真は2015年のJBCスプリント出走時


 タガノトネールも1400mの重賞、佐賀のサマーチャンピオンの勝ち馬。高レベルの戦いだった前走フェブラリーSでは6着でしたが、勝ち馬モーニンとの差は0.5秒と僅差。[4-4-2-4]と好成績のダート1400m戦に戻れば、巻き返しに期待。

 4歳馬ノボバカラは3歳時にユニコーンSでノンコノユメの2着だった素質馬。めきめきと力を付け、現在、納屋橋S(準OP)、コーラルS(OP)と2連勝中。地方競馬で行われるダートグレード競走は初出走ですが、期待が集まる新星です。

 同じく4歳のブルドッグボス。ダートグレード競走初出走だった前走・東京スプリントは4着でしたが、1400m戦は[1-1-1-0]と、まだ底を見せていません。

 地方馬からは岩手のラブバレットを挙げておきましょう。昨年5月のさきたま杯で先行し、直線で抜け出すと一旦先頭に立ち、見せ場十分の競馬をしました。結果はノーザンリバーの4着でしたが、その後クラスターCでも3着に入り、ダートグレード競走で上位争いが出来る存在です。

 鞍上は岩手のトップジョッキーに成長した山本聡哉騎手。「遠征慣れしているし、名古屋の馬場も合うと思う。相手は強いけれどラブバレットもいい馬なので、ファンの皆さんに喜んでもらえるような競馬がしたい」と力強く今回の抱負を語っています。

 今年のかきつばた記念は実績馬が勝つのか、それともニューフェイスが台頭するのか?! 今後のスプリント戦線を見据える意味でも重要な戦いです。ゴールデンウイーク真っ只中、3日のかきつばた記念を皮切りに、4日は兵庫CS(園田)、5日はかしわ記念(船橋)と3日間連続でダートグレード競走が行われます。豪華3連続重賞、ぜひお見逃しなくご覧ください!!

※明日3日(火)18時に兵庫CS(園田)、4日(水)18時にかしわ記念(船橋)の展望コラムをお届けします!



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【ダートグレード競走とは】
中央競馬・地方競馬の交流を促進し、ダート適性のある実力馬の出走機会の拡大を図るため、全日本的な見地から体系づけられたダート交流重賞競走の総称。

埼玉県出身。フリーアナウンサー。競馬好きが高じてこの世界へ。2001年から15年間、グリーンチャンネルで「中央競馬全レース中継」のキャスターを務める。2016年度から「グリーンチャンネル地方競馬中継」のコメンテーターとして出演。さらに全国各地の競馬場のトークイベントに参加するなど、中央競馬・地方競馬の垣根を越えて活躍中。

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