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【女性騎手対談】藤田菜七子×赤見千尋(3)『先輩女性騎手の体験談にびっくり!!』

  • 2016年05月16日(月) 12時01分
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▲どこにいても注目される“女性騎手” その知られざる世界をのぞいていきます(撮影:武田明彦)


小学校6年生から乗馬を始め、中学からはJRAの騎手を目指す“ジュニアチーム”に所属していた菜七子騎手。しかし一度、試験に落ちてしまったという経験が。「もうダメかな」と諦めかけた中での逆転合格を経て、今、晴れて夢の舞台に立っています。その一方、競馬学校でも競馬場やトレセンでも、どうしても女性は目立つ存在。赤見さんの衝撃エピソードも飛び出し、“騎手あるある”で盛り上がります!(取材:赤見千尋)


(前回のつづき)

元騎手の増沢由貴子さんは心強い存在


赤見 トレセンには女性の厩務員さんはいますが、騎手としては1人。そのあたりで不便はないですか?

菜七子 不便は特にないです。私自身、自分が女性だからっていう意識はあまりなくて、1人の騎手として皆さんと接していきたいなと思っていますので。女性の厩務員さんとは仲良くさせてもらっていて、ご飯にも連れて行ってもらうのですが、女性の騎手が1人だから特別どうこうというのはないですね。

赤見 先輩の増沢由貴子さんともお話しますか?

菜七子 はい。増沢さんは菊沢厩舎にいらっしゃるんですけど、その菊沢厩舎には学校生の頃にもお世話になったことがあって、「現役時代に大変だったことはありますか?」って聞いたこともあります。増沢さんはとても優しいですし、質問に対して親切に教えてくださいます。さっきのお話と矛盾するかもしれないですが、女性騎手だからこそわかることもあると言いますか。

赤見 心強い存在ですね。じゃあ、「女性だから」とか「女性騎手が1人」というのは、あまり意識してないんですね。

菜七子 そうですね。あまり気にならないですし、騎手を目指した時も「カッコイイからなりたい」と思っただけで、女性の騎手がいないのを知ったのは結構後でしたし、それでもなりたいと思いました。

赤見 競馬に興味を持ったのは、結構早かったんですよね?

菜七子 小学校6年生の時です。テレビでたまたま競馬中継をやっていて。それが何のレースだったのかというのは、全然覚えてないんですけど。

赤見 きっかけって、本当に偶然ですよね。私もたまたまレースを見たのがきっかけでした。「GIで1番人気で武豊が乗ってたら当然勝つんだろう」と思って見てたら惨敗して。「あの武豊が1番人気で負けるなんて…競馬って何て奥が深いんだろう」って興味を持ったんです。

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▲「競馬に興味を持つきっかけって、本当に偶然。私はGIの武豊さんを見て…」と明すと、菜七子騎手も!


菜七子 それはすごい!! わたしも、武豊さんはすごいなって思って見ていました。あとは、その当時ダイワスカーレットがとても好きで、乗られていた安藤勝己さんも好きでした。その頃から乗馬も始めて。最初は「高くて、揺れるな」という印象だったんですけど(笑)、それでも楽しかったですし、「ずっと乗っていたいな、毎日でも乗りたいな」って思いました。

赤見 通っていたのはJRAの乗馬苑ですか?

菜七子 そうです。中学校2年生からはジュニアチームに所属していたんですけど(※主に競馬学校騎手課程入学を目指す人を対象とした、早期人材育成活動)、騎手を目指す子たちの集まりですし、競馬学校で教えていた方が先生だったので、トレーニング方法も教えてくれるんです。毎週土日は昼から夕方までびっちり。長い時間走ったりとか筋肉トレーニングとか、本当に辛かったんですけど、そこでだいぶ鍛えられたと思います。

赤見 体力や筋力だったり、騎手に必要なものを身につけていくんですね。

菜七子 はい。ジュニアチームに入っていると、競馬学校の一次試験が免除になるんです。でも、実は、その免除試験に落ちてしまって…

赤見 免除試験??

菜七子 競馬学校の入学試験って、一次試験と二次試験があるんですけど、ジュニアチームに入っていると一次の免除試験が受けられるんです。それで、ほかの子は二次だけ受けに行ってるんですけど、私だけ免除試験に受からなかったから、一次から普通に受けて。正直、もう競馬学校は受からないんだろうな…って思っていたんです。だから、合格通知を見たときは「ウソじゃないか?!」と思って。1回閉じて、もう1回見ました(笑)。

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▲菜七子騎手の調教ヘルメットとムチ、女性らしい可愛らしさが


どうしても“特別扱い”に思われてしまう


赤見 いざ競馬学校に入って、3年間の学校生活はどうでした? 初めての寮生活で、女性も1人という。

菜七子 学校は大変でしたけど、寮生活自体は全然苦じゃなかったです。同期も仲良かったので、楽しかったですね。赤見さんの時はどうだったんですか?

赤見 私は地方競馬の教養センターで、期間が2年間だったんですけど、同期とすごく仲が悪くなった時期があって…

菜七子 えっ…そうなんですか?

赤見 うん。たとえば、男子は坊主にしないといけないけど、わたし1人だけ髪の毛がある、とか。何をするにも目立ってしまうんですよね。だから「何で違うんだよ」って思われていたんだと。

菜七子 あぁ、たしかにそれはあるかもしれません。全然そんなことはないんですけど、特別扱いに思われてしまうというか。入学したばかりの頃は、結構そういう空気はありました。でも、3年生にもなればそんなのはなくなって、みんなで仲良くしていましたね。

赤見 わたしも卒業の頃には仲良くなって。振り返ると、みんな初めての環境で、いっぱいいっぱいだったんでしょうね。ちなみに、そういう時はどうやって発散してたんですか? 「バカヤロー」って叫んだり(笑)?

菜七子 あはは(笑)。私は、全然違うことを考えるようにしてました。本を読んだり、あとは地元の友達と連絡を取るのも、とても発散になりました。

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▲競馬学校での経験を経て、ついに憧れの舞台に立った菜七子騎手(撮影:下野雄規)


「あいつら、いつも併せ馬してる!」


赤見 「女性騎手として大変なことは何ですか?」ってよく聞かれると思うんですけど、騎手として大変なことなら答えられますが、女性騎手としてって言われると…難しいですよね。

菜七子 そうですよね。女性だから特別大変なことって、実際はそんなにないですもんね。筋肉は足りないのかもしれないですけど、そういうところぐらいかなって。

赤見 そうそう。「女性騎手」じゃなくて「騎手」として見てほしい。それこそ、「女性だから大変」なんて思ってたら、そもそも騎手になってないですよね(笑)。

菜七子 そう思います(笑)。

赤見 「筋肉が足りないかもしれない」というのは、普段から鍛えているんですか?

菜七子 今はちょっと忙しくて、なかなか時間がないんですけど、時間があるときはトレーニングをしています。意識して鍛えているのは足ですね。

赤見 やっぱり足ですよね。わたしも馬場を走ったりしましたけど、あれ、辛いですよね。ただ、鍛えるのはもちろん大事だと思うんですけど、筋肉があればいいのかと言ったら、それが馬乗りのすべてではないというか。

菜七子 そうなんですよね。だからこそ、女性でも出来るというのはあると思います。

赤見 あの、ひとつ、心配していることがあるんですけど………。セクハラとかされてないですか? 大丈夫?

菜七子 あっ、そういうのは全然ないですね。

赤見 あぁ〜、よかった。昔あった話なんだけど、馬に乗せてもらう時に、基本は膝の辺りを持ってグッと上げてもらうじゃないですか。でも、その時になぜか毎回お尻に手が当たる人がいて。「これは触っているのか当たっちゃったのか、どっちなんだろう?」って思ったんですけど、気になるから「お尻に手が当たるんで、足の上げ方を変えてもらってもいいですか」って言ったんです。まあでも、難しいですよね。単に当たってるだけなら気にならないけど、触られてるんだったら嫌だし、でも自意識過剰に反応するのも嫌だし。

菜七子 はっきりと言ったのがすごいですね。

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▲赤見さんの騎手時代の体験にびっくり!「はっきりと言ったのがすごいです」


赤見 やっぱり嫌だもん。でも、すごく怒られたけどね。「触ってるわけないだろう! お前には二度と乗せない!」って言われてしまって…。あと、だれか特定の人と仲良くすると変に噂になっちゃうから、そこも結構難しい。併せ馬をしただけで付き合っているって言われたことも(笑)。

菜七子 えっ!? 併せ馬で、ですか!?

赤見 うん。高崎の場合は乗る人の数が少なかったから、他の厩舎の人とタイミングを合わせて併せ馬することが多くて。だから「あいつら、いつも併せ馬してる」とか言われてね。

菜七子 それはちょっと…ひどいですね。そっか。いろいろなところに気をつけないといけませんね。

赤見 何をやってもすぐ噂になるのが、“女性騎手として大変なこと”なのかもしれないですね。

(次回へつづく)



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※受付は終了いたしました。たくさんのご応募ありがとうございました。

東奈緒美 1983年1月2日生まれ、三重県出身。タレントとして関西圏を中心にテレビやCMで活躍中。グリーンチャンネル「トレセンリポート」のレギュラーリポーターを務めたことで、競馬に興味を抱き、また多くの競馬関係者との交流を深めている。

赤見千尋 1978年2月2日生まれ、群馬県出身。98年10月に公営高崎競馬の騎手としてデビュー。以来、高崎競馬廃止の05年1月まで騎乗を続けた。通算成績は2033戦91勝。引退後は、グリーンチャンネル「トレセンTIME」の美浦リポーターを担当したほか、KBS京都「競馬展望プラス」MC、秋田書店「プレイコミック」で連載した「優駿の門・ASUMI」の原作を手掛けるなど幅広く活躍。

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