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やはり白毛に出たブチコの全弟シロニイ

  • 2016年06月22日(水) 12時00分
インヴィクタ(牡 栗東・友道康夫 父ハービンジャー、母ラスティングソング)
 クィーンズベスト(16年チューリップ賞-GIII・4着)の半弟。父はワークフォースからハービンジャーに替わった。母ラスティングソングは現役時代に未勝利に終わったものの、フレールジャック(11年ラジオNIKKEI賞-GIII)、マーティンボロ(14年中日新聞杯-GIII、14年新潟記念-GIII)の4分の3姉で、近親にはヴィルシーナ(13、14年ヴィクトリアマイル-GI・2回)、シュヴァルグラン(16年阪神大賞典-GII)の姉弟がいる。母方にサンデーサイレンスとNureyevを併せ持つハービンジャー産駒はプロフェット(16年京成杯-GIII)、スワーヴジョージ(14年東京スポーツ杯2歳S-GIII・6着)、サーブルオール(16年ニュージーランドT-GII・7着)などが出ており悪くない。芝向きの中距離タイプ。

シロニイ(牡 栗東・池江泰寿 父キングカメハメハ、母シラユキヒメ)
 ブチコ(15年ユニコーンS-GIII・5着)の全弟、ユキチャン(父クロフネ/08年関東オークス-JpnII、09年クイーン賞-JpnIII、10年TCK女王盃-JpnIII)、マシュマロ(父クロフネ/12年関東オークス-JpnII・4着)の半弟にあたる良血。母シラユキヒメは突然変異で誕生した白毛馬。日本ではハクタイユーやカミノホワイトなどごく稀に誕生した記録があり、世界に目を転じると、たとえばWhite Beauty系のように数代にわたって白毛を維持しているファミリーがいくつか存在する。それらの多くは白毛という以外に価値を見出しづらいのに対し、シラユキヒメの系統は高い競走能力を備えている。上記のように産駒から1頭の重賞勝ち馬、2頭の重賞入着馬が誕生し、それ以外にもコンスタントに産駒が勝ち上がっている。本馬もやはり白毛で、重賞クラスでの活躍が期待できる。ダート向きの中距離タイプ。

ダノンディスタンス(牡 栗東・佐々木晶三 父ルーラーシップ、母アゲヒバリ)
 母アゲヒバリは南関東で走り、牝馬クラシックのひとつ東京プリンセス賞で4着となった。トゥザグローリー(11年京都記念-GIIなど重賞5勝)、トゥザワールド(14年弥生賞-GII、14年有馬記念-GI・2着、14年皐月賞-GI・2着)、トゥザレジェンド(OP)、トーセンビクトリー(15年ローズS-GII・3着)などの半姉にあたる良血。繁殖牝馬としてはメドウラーク(父タニノギムレット/OP)を含めてデビューした産駒4頭中3頭が勝ち上がっており上々の成績だ。父ルーラーシップはキングカメハメハ系の新種牡馬。現役時代に香港のクイーンエリザベス2世C(香G1)を楽勝したほか国内では金鯱賞(GII)など4つの重賞を制した。出遅れ癖によって取りこぼしたレースも多かったので、戦績以上に能力の高い馬だった。サンデーサイレンスを含まないという血統的アドバンテージは大きい。現時点で5頭の産駒がデビューし、[1-1-0-3]という成績。本質的には晩成型の中長距離タイプで、早い時期の2歳戦に向いたタイプではないと思われるので悪くない。本馬は、2代母トゥザヴィクトリーと父の母エアグルーヴがHyperionの強い影響を受けているので、それとは対照的なアメリカ血統を多く含んだクロフネを母の父に持つのはバランス的に好ましい。芝向きの中距離タイプ。

ディバインコード(牡 美浦・栗田博憲 父マツリダゴッホ、母ツーデイズノーチス)
 3歳の半姉ワンスインナムーン(父アドマイヤムーン)は現在2勝を挙げており先々が楽しみな素質馬。本馬は父がマツリダゴッホに替わった。母ツーデイズノーチスはアネモネS(OP)の勝ち馬。2代母ユニバースはオセアニアの歴史的名馬ボーザムの半妹にあたり、近親にBalmerino、Surroundという、これまた南半球が生んだ歴史的名馬がいる良血。サンデーサイレンスとMr.Prospectorを併せ持ち、なおかつHalo≒Drone 3×4というニックスを持つので手堅く走ってくるだろう。芝向きの中距離タイプ。

マスラオ(牡 美浦・金成貴史 父ブレイクランアウト、母マコトエンエン)
 5月に札幌競馬場で行われたHBAトレーニングセールで購買された。価格は1270万円(税抜)。父ブレイクランアウトは共同通信杯(GIII)の勝ち馬で、外国産馬にもかかわらず日本向きの鋭い瞬発力を武器としていた。2代父Smart Strikeは07、08年に米リーディングサイアーに輝いた名種牡馬で、Curlin(米年度代表馬)、English Channel(BCターフなどG1を6勝)、Lookin at Lucky(プリークネスS)、Fleetstreet Dancer(ジャパンCダート)など多くの一流馬を送り出している。本馬の母マコトエンエンはこれまでにエンドレスシャイン(父ヨハネスブルグ/3勝)、マコトグランドゥ(父ファルブラヴ/JRA1勝)を産んでいる。近親にこれといった活躍馬はいないが、4代母Time Charterは英オークス(英G1)、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS(英G1)、コロネーションC(英G1)などを制した女傑。本馬は「ブレイクランアウト×サンデーサイレンス」という軽めの配合なので、母方の奥にヨーロッパの重厚な血が入るのはバランス的にちょうどいい。父の代表産駒になれる器だろう。芝向きのマイラー〜中距離タイプ。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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