●ヴィニー(牝 栗東・池江泰寿 父ディープインパクト、母コケレール)
　昨年のセレクトセール1歳セッションで1億3500万円(税抜)の値がついた。この秋に重賞戦線での活躍をもくろむラヴィエベール(現3戦2勝)の全妹にあたる。母はサンタラリ賞(仏G1・芝2000m)の勝ち馬。母の父Zamindarは無敗で凱旋門賞を制した女傑Zarkavaの父として知られている。The Minstrel≒Nijinsky 3×3という4分の3同血クロスが施された母はZarkavaと同パターンの配合で、父はNorthern Dancerの強いクロスを持つ繁殖牝馬と好相性を示しているので好ましい。2代母の父Caerleonはディープインパクトとの相性が良好で、このパターンからダノンシャーク、ジョワドヴィーヴル、トーセンレーヴ、カミノタサハラなど多くの活躍馬が出ている。長い直線コースや外回りコースに向いたクラシック配合で、来春のクラシック戦線におけるディープ軍団の中心メンバーとなっていてもおかしくない良血馬だ。距離は芝1600mから2400mまで幅広くこなす。

●ヴォカツィオーネ(牝 栗東・田所秀孝 父カジノドライヴ、母アントワープ)
　2代母フランダースはスプリント路線の女傑ビリーヴ(02年スプリンターズS-GI、03年高松宮記念-GIなど重賞4勝)の全妹。3代母グレートクリスティーヌはNorthern Dancer≒Icecapade 2×2、Olympia 5×4、Petition 4×5、Fighting Fox 5×5と、絵に描いたような父母相似配合。これがビリーヴの圧倒的なスピードの源泉であり、このファミリーのセールスポイントでもある。母アントワープはJRA未勝利馬ながら可能性を感じさせる繁殖牝馬だ。Best in Showの牝馬クロスを持つカジノドライヴ産駒は過去3頭出走してすべて勝ち上がり、プレスティージオ(現3勝)、ドライバーズハイ(現2勝)などの素質馬が出ている。本馬もBest in Show 4×7というクロスを持っているので見どころがある。ダート向きのマイラーだろう。

●ゴールデンチャンス(牝 栗東・中内田充正 父ステイゴールド、母ファーザ)
　帝王賞(JpnI)[2回]、ジャパンダートダービー(JpnI)、全日本2歳優駿(JpnI)、かしわ記念(JpnI)、川崎記念(JpnI)など数々のタイトルを獲得したフリオーソ(父ブライアンズタイム)の半妹。母ファーザは強力なダート適性を伝えているが、娘たちは意外に芝適性があり、牝馬の出世頭ルナフォンターナ(父アドマイヤムーン)は芝で6勝を挙げた。本馬はステイゴールドを父に持つ牝馬。母方にMr.Prospectorを持つステイゴールド産駒は、牡馬よりも牝馬のほうが走る傾向があり、おそらく芝適性もあるだろう。中距離がベスト。

●セイクリッドサイト(牝 美浦・国枝栄 父Fastnet Rock、母Give Me Five)
　母Give Me Fiveは独リーディングサイアーに3回輝いたMonsunの娘で、現役時代にフランクフルト牝馬賞(独G3・芝2150m)を制した。繁殖牝馬としても成功し、本馬の半兄にアスコットゴールドC(英G1・芝20f)とサガロS(英G3・オールウェザー16f)を勝った長距離ランナーColour Vision(父Rainbow Quest)がいる。本馬はその半妹で、父Fastnet Rockは2011-12、2014-15年の二度豪リーディングサイアーとなったデインヒル系の名種牡馬。日本での代表産駒ブラヴィッシモが阪急杯(GIII)で3着となったように、芝1800m以下に向くスピード型の種牡馬だが、英オークスを勝ったQualifyのように配合次第では2400mクラスで活躍する子も出せる。本馬は母方からスタミナを受けているので中距離でもやれそうだ。

●レジスタンス(牡 栗東・松田国英 父ダイワメジャー、母コンプリカーター)
　全兄インスペードは芝短距離で4勝を挙げた。母コンプリカーターは優秀な繁殖牝馬で、他にダート重賞2勝のレーザーバレット(父ブライアンズタイム)、OPクラスまで出世したビギンマニューバー(父フジキセキ)を産んでいる。Mr.Prospectorを父に持ち、なおかつNasrullah≒Perfume 3×4・4・5というスピード配合であることがコンスタントに産駒を走らせる能力の鍵だろう。ダイワメジャーはNasrullah、Royal Charger、Mahmoudといった血と相性がいいので、この配合は手堅く走ってくるはず。全兄インスペードは全4勝が芝1200m戦だったが、1600mあたりまでこなしても不思議はない血統。仕上がりの早いタイプなので2歳戦から能力を全開する。