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NZのG1馬を母に持つディープインパクト産駒の好配合馬サトノアーサー

  • 2016年08月03日(水) 12時00分
サトノアーサー(牡 栗東・池江泰寿 父ディープインパクト、母キングスローズ)
 昨年のセレクトセール1歳で落札価格1億9500万円(税抜)。母キングスローズは新・豪・香で通算23戦8勝。NZ1000ギニー(新G1・芝1600m)、WHストックスS(豪G2・芝1600m)など6つの重賞を制した名牝で、Northern Dancerの濃度が濃く(4・5×3・5・5)、Danzig、Nureyev、Lyphardを経由しているのでディープインパクトの配合相手として好ましい。母方の3代目にデインヒルとNureyevを並べる配合はミッキーアイルと似ており、Redoute's Choice+サンデーサイレンス+Nureyevなのでフルーキーっぽいテイストもある。Alzao≒Dancing Show 3×4は、Dancing Showと似た配合構成のShareef Dancer、Green Desert、Touch of Greatnessを入れたパターンがディープインパクトの配合で成功しているので楽しみが大きい。母はマイラーだったが2000mの重賞も2勝しており、ミッキーアイルやフルーキーよりも距離の融通性はあるはず。

ダブルバインド(牡 栗東・藤原英昭 父ディープインパクト、母ラッシュラッシーズ)
 昨年のセレクトセール1歳で落札価格2億3000万円(税抜)。母ラッシュラッシーズはヨークシャーオークス(英G1・芝12f)など英愛でG1を3勝。母の父Galileoは英愛で不動のリーディングサイアーに君臨しているものの、日本の馬場では重たさは否めない。ただし、「ディープ×Galileo」は現時点で4頭出走して青葉賞(GII)を勝ったヴァンキッシュランなど全頭勝ち上がっている。2代母の父Anabaaは全欧チャンピオンスプリンターで「Danzig+Vaguely Noble」という良形。3代母はアンビシャス(16年大阪杯-GII、15年ラジオNIKKEI賞-GIII)の2代母カルニオラの4分の3妹。Galileoの重さをカバーしていると思われる。

トゥザクラウン(牡 栗東・池江泰寿 父キングカメハメハ、母トゥザヴィクトリー)
 トゥザグローリー(11年京都記念-GIIなど5つの重賞を制覇)、トゥザワールド(14年弥生賞-GII)、トーセンビクトリー(15年ローズS-GII・3着)の全弟にあたる良血。母トゥザヴィクトリーはエリザベス女王杯(GI)など重賞4勝、ドバイワールドC(首G1)2着などの戦績がある。キングカメハメハとの相性が抜群で、前記のとおり全兄2頭が重賞を勝ち、全姉1頭が重賞で入着している。この馬を産んだ際、母はすでに18歳だったが、血統的なポテンシャルは素晴らしく、健康面に問題がなければトゥザグローリー、トゥザワールドのような大物となる可能性は十分。芝向きの中距離タイプだろう。

ハイレートクライム(牡 栗東・庄野靖志 父ディープブリランテ、母スルーレート)
 母スルーレートはフラワーC(GIII)で2着に逃げ粘り、クイーン賞(JpnIII)3着などダートでも実績を残した。繁殖牝馬としてもハイアーレート(13年札幌2歳S-GIII・3着)を送り出している。「フレンチデピュティ×Seattle Slew×Mr.Prospector」という素軽いアメリカ血統なので、ヨーロッパ血統の強い影響下にある父ディープブリランテとは合うだろう。父の父ディープインパクトはフレンチデピュティ牝馬との配合でショウナンパンドラ(15年ジャパンC-GI、14年秋華賞-GI)やマカヒキ(16年日本ダービー-GI)などの大物を出している。息子のディープブリランテもフレンチデピュティ牝馬との配合は注目したい。芝向きの中距離タイプで、気性が前向きな場合はマイル戦でもやれる。

ピンクガーベラ(牝 栗東・中竹和也 父ディープインパクト、母ルシュクル)
 函館2歳S(GIII)を勝ったブランボヌールの全妹。母ルシュクルはファルコンS(GIII)3着馬。2代母アジアンミーティアはUnbridled's Songの全妹にあたる。4分の3同血(父と2代母が同じ)に新潟大賞典(GIII)を勝ったダコールがいるほか、「ディープインパクト×Unbridled's Song」のダノンプラチナ(14年朝日杯FS-GI)にも配合構成が似ている。母方にUnbridledを持つディープインパクトは走っており、全姉ブランボヌール、前出のダコール、ダノンプラチナのほか、ダノンバラード、サイレントソニック、アンドリエッテなどが出ている。この配合パターンを持つ馬がJRAで22頭しか出走していないことを考えると優秀だ。仕上がりが早く、平坦コースでとくに強そう。

レッドオルガ(牝 栗東・藤原英昭 父ディープインパクト、母エリモピクシー)
 サトノルパン(15年京阪杯-GIII)、レッドアヴァンセ(16年エルフィンS-OP)の全妹で、リディル(11年スワンS-GII、09年デイリー杯2歳S-GII)、クラレント(11年デイリー杯2歳S-GIIなど重賞6勝)、レッドアリオン(15年マイラーズC-GII、15年関屋記念-GIII)の4分の3妹。母エリモピクシーはエリモシック(97年エリザベス女王杯-GI)の全妹で、重賞で上位入線を繰り返した活躍馬だった。繁殖牝馬としては姉よりも優れた成績を挙げている。本馬はAlzao≒ダンシングブレーヴ3×2という大胆な配合で、父と相性のいいVaguely Nobleが入るのもセールスポイント。気性的な難しさがなければサトノルパンのようなスプリンターにはならず、マイルから2000mあたりで活躍できる。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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