スマートフォン版へ

イスラボニータの4分の3弟イスラドラーダ

  • 2016年08月10日(水) 12時00分
イスラドラーダ(牡 栗東・高野友和 父ダイワメジャー、母イスラコジーン)
 皐月賞(GI)など4つの重賞を制しているイスラボニータの4分の3弟。父はフジキセキからダイワメジャーに替わった。母イスラコジーンは「Cozzene×Crafty Prospector」という軽快な配合で、現役時代にミセスリヴィアS(米G2・芝8.5f)2着、ハニムーンH(米G2・芝9f)3着などの成績を残した。本馬は父がダイワメジャーなので、2歳から3歳にかけてのレースで信頼性が高く、イスラボニータと同様の活躍が期待できる。「ダイワメジャー×Cozzene」は、これまでにデビューを果たしたわずか3頭からエピセアローム(12年セントウルS-GII、11年小倉2歳S-GIII)が出ているので相性良好。ベストは1400〜1800mで、2000mまでは守備範囲。

イーゼル(セン 美浦・中舘英二 父ディープスカイ、母フォーティカラーズ)
 全兄キャンバスは中央で3戦未勝利のあと地方競馬へ転出し、実績を挙げて中央に舞い戻り、帰還後3連勝して準OPまで出世した。父ディープスカイは現役時代に日本ダービー(GI)とNHKマイルC(GI)を制した名馬だが、種牡馬としては完全にダート向きで、キョウエイギア(16年ジャパンダートダービー-JpnI)、サウンドスカイ(15年全日本2歳優駿-JpnI、兵庫ジュニアグランプリ-JpnII)と2頭のGI馬を出して評価を急上昇させている。ディープスカイの母アビはSix Crowns≒Carmelize 2×2という特殊な凝縮がある。本馬の4代母All Rainbowsはこれらと配合構成がそっくりなので、本馬はSix Crowns≒Carmelize≒All Rainbows 4・4×4というユニークな配合構成となっている。父の配合上の核心部分を継続しているので期待できる。3代母Winning Colorsは牝馬ながらケンタッキーダービー(米G1)を制した女傑。ダート1700〜1800mが適条件で、緩急のあるタイプではないだろう。それゆえに自分のペースで行ければ強く、同時に脆さも抱えている。すでに兄と同様に去勢されているので、気性的な難しさがある可能性はある。基本的には晩成タイプなので長い目で見たい馬だ。

スピーディクール(牡 美浦・石栗龍彦 父サウスヴィグラス、母ローズアライヴァル)
 母ローズアライヴァルは中央未勝利に終わったものの、その母バルバラはクーリンガー(05年マーチS-GIIIなど重賞6勝)、クールネージュ(99年葵S-OP)の半姉にあたる良血。父サウスヴィグラスは現役時代にJBCスプリント(GI)をはじめ8つのダート重賞を制覇。種牡馬としてもラブミーチャン、ナムラタイタン、コーリンベリーなど多くのダート短距離馬を送り出し、2012、15年に地方競馬のリーディングサイアーに輝いている。「サウスヴィグラス×フジキセキ」は、今年7月に盛岡競馬場で行われた重賞ハヤテスプリント(ダート1000m)を5馬身差で圧勝したトドイワガーデンと同じ。母にIn Reality 4×4などパワー型のスピード血統を抱え、近親に活躍馬が目立つ本馬はダート短距離向きの大物感に溢れている。ダート1000〜1200mがベスト。

ゼンノワスレガタミ(牡 栗東・中内田充正 父キングカメハメハ、母ダイヤモンドビコー)
 ゼンノタヂカラオ(16年京都新聞杯-GII・8着)の全弟。母ダイヤモンドビコーは、現役時代に阪神牝馬S(GII)、ローズS(GII)など4つの重賞を制覇し、エリザベス女王杯ではファインモーションの2着となった名牝。「キングカメハメハ×サンデーサイレンス+アリダー」という配合は、派手さはないものの走っており、マコトギャラクシー(11年オールカマー-GII・5着)、アルバタックス(15年関屋記念-GIII・5着)、トーセンハルカゼ(準OP)などが出ている。芝1600〜2400mのレンジで着実に稼ぐタイプとなりそうだ。

バルデス(牡 美浦・木村哲也 父ハービンジャー、母ディアデラノビア)
 ドレッドノータス(15年京都2歳S-GIII)、サンマルティン(現3勝)の全弟で、ディアデラマドレ(父キングカメハメハ/14年府中牝馬S-GIIなど重賞3勝)、ディアデルレイ(父キングカメハメハ/現4勝)の半弟にあたる。母ディアデラノビアは非凡な切れ味を武器にフローラS(GII)など3つの重賞を制覇した名牝。その能力を母としても伝えている。2代母ポトリザリスはアルゼンチンダービー(亜G1)、アルゼンチンオークス(亜G1)を制した女傑。近年のアルゼンチンを代表する名牝系に属し、近親には多くの活躍馬がいる。父ハービンジャーはヨーロッパの芝2400m路線で活躍した馬で、種牡馬としてはピリッとした切れ味を伝えるわけではないが、それゆえに瞬発力タイプの母との関係は相互補完的にうまくフィットするのだろう。兄ドレッドノータス以上の活躍を期待したい。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング