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競馬界の最先端を走るトップリーディング厩舎の原点回帰(辻三蔵)

  • 2016年08月16日(火) 18時00分


◆在厩期間の長さは初出走馬に賭ける期待の大きさ

 2016年8月14日(日)札幌5Rメイクデビュー札幌(芝1800m)は堀宣行厩舎のコリエドール、藤沢和雄厩舎のサトノアレスが激闘を繰り広げた。コリエドールが接戦の末、クビ差競り勝ち、3着以下を3馬身半引き離すマッチレースに終止符を打った。

 新馬戦らしからぬ激しい競り合いの裏側には、在厩調整で鍛えられた強靭な体力が裏付けられている。

 コリエドールは6月17日に放牧先のノーザンファーム空港牧場から美浦トレセンに入厩。7月1日にゲート試験に合格後、在厩調整を選択。坂路とウッドコースを併用して乗り込みを進めながら、入厩当初に見せた右にモタれる面を修正した。

 調教施設が整った美浦トレセンで9分以上仕上げたところで、8月5日に札幌競馬場に移動。11日の札幌ダートコースで来日したモレイラ騎手を背に、最終調整を行った。

 2カ月かけて乗り込み、調教本数は合計10本。高額条件馬を数多く抱えている堀厩舎は馬房のやりくりが大変だと思うが、デビュー前の2歳馬を手元に置いて大事に育てている姿勢が印象的だった。

 サトノアレスも在厩期間は2カ月を超えている。6月上旬に美浦トレセンに入厩し、坂路とウッドコースを併用して調教本数を11本消化。中間の調整では古馬オープンのロサギガンティア相手に併せ馬を行い、精神面での成長を促している。

 7月下旬に札幌競馬場に移動。札幌芝コースで柴山騎手を背に、実戦を想定した追い切りを2本こなした。牧場では経験できないハイレベルな調教を課すことで成長を促した。

 今年の関東リーディング1、2位の藤沢和雄、堀宣行厩舎が在厩期間を長めに取り、2歳新馬を育てているのは興味深い。技術力に長けた厩舎スタッフが質の高い調教をこなし、翌年のクラシックを見据えた土台作りを行っている。

 最近は初出走馬でも近隣の外厩施設でギリギリまで仕上げて、15日前に入厩するケースが増えている。外厩施設の調整力向上は目覚ましいが、一方で、競馬界の最先端を走るトップリーディング厩舎が原点回帰した意義も考えるべきだ。

 新馬戦の調教欄では在厩期間と調整過程にも注目して欲しい。確固たる実績に裏付けられた厩舎力があれば、在厩期間の長さは初出走馬に賭ける期待の大きさと受け取ってもいいだろう。

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