開業初年度の渡辺調教師「メイソンジュニアで恩返し」/トレセン発秘話
◆この馬には思い入れがあるので、いい結果を出したい
「小倉2歳Sはいろんな重賞がある中で一番勝ちやすいレースや」とはH調教師。なんでも「交流重賞はそこに出るまでに賞金を稼がないといけないけど、小倉2歳Sは1つ勝てばだいたい使えるし、出てくるメンバーもそこまで強烈な馬はおらんからな。このレースほど狙いやすい重賞もないで」。
そう言い切るH調教師が過去に小倉2歳Sを勝ったわけではないのが、やや説得力に欠けるところだが、言わんとすることは分かる。新馬を勝てば確実に出走できると言っていいし、未勝利Vでもほぼ使おうと思えば使える。過去10年でフルゲートが一度もないのだから、それも当然だ。
なおかつ、大手の良血馬が出てくることが少ないとなれば、確かに勝つ確率は他の重賞に比べて高い。同じく過去10年で見ると、当レースで初重賞Vを決めたジョッキーが3人(鮫島良=2006年アストンマーチャン、浜中=08年デグラーティア、国分優=14年オーミアリス)、また宮本厩舎(デグラーティア)が厩舎初重賞Vを決めている。いわば騎手、厩舎にとっては飛躍のきっかけとなりやすい舞台なのだ。
「初重賞? そこまで意識はしていませんが、それよりもこの馬には思い入れがあるので、そういう意味で、いい結果を出したいという気持ちが強いですね」と話すのはメイソンジュニアの渡辺調教師。
「初めて僕がセリで買ってもらったのがこの馬なんです。歩いているのを見て、いい馬だなと思って。去年ノーザンファームで研修していた時に、たまたま、この馬の初期馴致もしていたんですよ。縁を感じますよね。オーナーにはすごく良くしてもらっていますし、恩返しをしたいですね」
開業初年度で重賞Vとなれば、渡辺厩舎にとってこれ以上ない飛躍のきっかけとなる。