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京成杯のかっさらいとセントウルのレースプラン

  • 2016年09月08日(木) 12時00分


サマーシリーズ優勝を狙う馬たちを尻目に、1着をかっさらうのが一番似合うのは横山の典さんではないか?でも、週中の予想では2、3人気で、これはちょっと人気になりすぎではないか(休み明けの馬は活躍してないし、活躍したとしても5人気以下の馬ばかりで、1600万条件上がりの馬には重い人気だと思った)、だから当日のオッズを見て、取捨を決めよう、週中は静観だと書いたら、当日も人気を背負ったまま2人気で1着してしまった。

自分は2番目に「かっさらう」のが似合いそうと思った田辺のベルーフから行って、4着でバタンキューした。

6、7人気(結果7人気)は想定よりも少しだけ下の人気で美味しそうとよだれを流しながら馬券を購入したけれど、7人気の理由がそれなりにあったのか、惜しい走りではあったけれど、馬券圏外に敗れた。そして自分は泡を吹くようによだれを垂らしながら卒倒したのだった。

にしても相変わらず勝負に対して覚悟があるのが横山の典さんだ。

アデイインザライフ 位置 16 17 17
ベルーフ      位置 18 18 18

2人気でこの位置で競馬ができるというのはさすがだ。
そういう意味では田辺も覚悟を持った騎乗をしていたけれど、典さんの方が一枚上手だったということだろう(当然馬の力もあってだけど)。

勝負を前にして、いつも通りの競馬をするのが難しいことはサマー2000で優勝のかかった馬の走りを見てもわかる。

勝てば自力で優勝できた馬は4頭
アルバートドック  1人気 位置10 13 13 2着
ダコール      3人気 位置15 2 2  16着
マイネルミラノ   5人気 位置2 3 5  8着
クランモンタナ  11人気 位置2 3 3  9着

前走人気薄で先行して1着したクランモンタナはともかくとして、人気の3頭でいつも通りの競馬ができたのはアルバートドックしかいなかった。

ダコールは出負け気味にスタートして、向こう正面で2番手に押し上げる競馬。こういう競馬で他馬を圧倒する力があるとは思えず、もともとの作戦が先行策で、Mデムーロは出負けして焦って前のポジションを取りに行ったのが裏目に出たのかもしれない。

マイネルミラノは逃げ先行馬だけど、ここ2年、馬券になったのは逃げたときか2番手を追走したときしかない。コーナーで3→5番手に下がるような競馬で盛り返すタイプの馬でもなく(それでも直線半ばまで頑張っていたけど)、理想とは違う展開だったように見えた。


1着から5着まで、すべて4角10番手以後にいた馬たちの決着で、4角5番手以内にいた馬達は1頭も掲示板に載れなかった。そして勝てば自力で優勝を決められた(アルバートドック以外の)3頭は3角から5番手以内にいた。この日の芝外回りは、そこそこ差しが決まっていたけれど、それでも4角では10番手以内にいた馬たちでの決着だった。勝ちたい動機のある先行が前の崩れる展開を呼んでしまったのかもしれない。

では、サマーマイルはどうか?(サマースプリントはベルカントの優勝)

勝てば自力で優勝できる馬は4頭。

ダノンリバティ 7点 松若
ダンスアミーガ 6点 石川
ピークトラム  6点 小牧
アルマディヴァン2点 典さん

アルマディヴァンは2点しかないけど、勝てば12点で、優勝が狙える。鞍上は、横山の……おっととっと!またまた、勝てば「かっさらい感」が出そうな馬に典さんが騎乗だ。

人気はどうかな?

予想人気
ダノンリバティ 3人気
ピークトラム  5人気
ダンスアミーガ 9人気
アルマディヴァン15人気

15人気!やばい、今週はぜんぜん人気がない。っていうか、人気がなさすぎるように思える。

この馬は重賞で好走するには52キロが欲しいのではないか?53キロ以上だと少々末脚が鈍るように思える。それをなんとかするのが横山の典さんなんだろうけど、さすがの典さんでも今週は「かっさらい」にくいか。そこが人気の上がらない理由か。

そもそも今週は末脚自慢の馬が2頭もいる。ロードクエストとダノンプラチナだ。この2頭を向こうに回し、53キロで出し抜くことは可能なのか?無理でしょう。末脚では。やるなら最内を突くことだけど、開幕競馬で最内からのぶっこ抜きはなかなか難しいはず。うむ、無理だ。末脚では…………。

思えば中山牝馬Sでは逃げていた。もちろん鞍上は横山の典さん。デビュー2戦目のダート1200で逃げたとき以来の逃げだ(5着)。突如の逃げといっていい。

位置1-1-3-3

3コーナーに入るまではマイペースで逃げていた。いったん2頭に交わされたけれど、ゴール前しぶとく伸びて、3着にクビ差の4着だった。

今回のメンバーに「絶対逃げ馬」はいない。逃げても驚けない馬はいるけど、絶対に逃げる馬はいない。中山牝馬は54キロで1800だった。ちょっと重くて、ちょっと距離が長かった。それで4着。末脚自慢の2頭に挑むことを考慮すると、ここでの逃げも十分考えられるような……。

おっととっと!さすがの典さんでも、今週はかっさらえない!無理!としたいのに、スムーズに処理できない!どこまでも悩ませるよ!


で、勝てば自力で優勝できる馬を改めて眺めてみる。

ダノンリバティ 松若
ダンスアミーガ 石川
ピークトラム  太さん
アルマディヴァン典さん

先行したい、だけど逃げたくはない馬ばかりだ。

ダノンリバティ 3、4番手につけそう。
ダンスアミーガ 2、3番手につけそう。
ピークトラム 逃げても面白そうだけど、4走前に途中から逃げて、ダノンリバティに負けている。やっぱりここは3、4番手か。

小牧の太さんを自分は逃げの名手と思っている。けど最近は重賞ではほとんど逃げてない。はたして小牧の太さんはピークトラムをどう操ろうとしているのか?もしかして太論にヒントがあるかも?そう思って覗いたけれど、今週は体重の落とし方と西野カナの話だった。「なにもかも忘れられていいんやわ」にくっついてる(笑)が少しせつなかった。

で、結局、逃げたら面白そうなのは、そして大一番で逃げが打てそうなのは横山の典さんのアルマディヴァンってことに……だめだ。ぜんぜんスムーズに処理できない。

「逃げるのはペイシャフェリスでしょう?」
それはそうなんだけど、ペイシャフェリスは前走の1400を2、3番手から抜け出して1着した。だからここでも逃げずに2、3番手の競馬を試みるんじゃないかな? と思いたくて、スルーしてるんであります。

新潟記念は、勝ちたい馬が先行して、最終的に後方にいた馬たちにみんな飲み込まれたと記した。ここも勝ちたい馬がみんな先行しそうで、同じように考えるならここでも後方の馬にみんな飲み込まれるはず。でも誰が逃げるかで、それも変わってくる。

「中山の開幕は差しが決まりやすくなりつつある」ことも知っている。でも同時に競馬は「いつだって前にいる馬が有利」であることも知っている。ここはせめぎ合いだろう。で、思う。やっぱり誰が、どんな逃げを打つか。そこが大事だと。

それが典さんなら面白いな。ペイシャフェリスじゃない方がいいな。

要は、1、2人気が末脚自慢のロードクエストとダノンプラチナならば、穴は先行しそうな馬でいいだろうと思いたいんであります。でもこれは奇特な考えではない。いたってふつうの考えだ。

2頭の差し馬で決まったとしても、1頭は先行した馬が馬券圏内にいる。そういうもんでもある。だから、中山の開幕は差し!そんなムードが高まるなら、それはそれでいいなとも思うんであります。

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京成杯AH 注目馬
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ピークトラム
ダイワリベラル
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アルマディヴァン
クラリティスカイ

ピークトラムは中山でなら、もう少し頑張れるのではないか。小牧の太さんの(笑)が弾けますように。
ダイワリベラルは中山でないと頑張れないのではないか。先々週から復帰した北村宏の見せ場がここでも不思議じゃない。

ここ5年で2勝している横山の典さんのアルマディヴァン。
ここ4年ずっと馬券圏内の田辺のクラリティスカイ。
二人とも馬場読みの上手い騎手だと思っている。だから、秋の中山の開幕週で活躍できているのではないか。
この二人の馬が予想では15人気、10人気とぜんぜん人気がない。ならば、先週同様に「かっさらい」を期待してみたくなる。もちろん典さんには逃げを期待している。

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セントウルS 注目馬
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ネロ
アットウィル

スプリンターズSを本気で狙う1人気の馬がちょっと取りこぼす。
それでいいんじゃないか。

スリープレスナイト 1人気2着
ダッシャーゴーゴー 1人気3着
ロードカナロア   1人気2着
ロードカナロア   1人気2着
ハクサンムーン   1人気2着
ウリウリ      1人気2着

今年はわかりやすい。

1人気 ビッグアーサー

ビッグアーサーは、スプリンターズSを勝つことを想定してレースプランを立てる(気がする)。

高松宮は高速馬場だったから4番手を追走したけれど、スプリンターズSではもう少し後ろの位置から競馬をする必要あり。そんなレースプランを立てるような(気がする)。

スプリンターズSで1着する確率の高い脚質は、4角6〜8番手くらいと考える(気がする)。

だからセントウルSは4角6〜8番手くらいの競馬をする。そんなレースプランを立てる(気がする)。

ビッグアーサーがレースプラン通りに競馬をすれば、取りこぼしは前の馬の捕まえ損ねだろう。
いたってふつう。いたってまじめ。それが自分のレースプラン。

だから狙うのはふつうに先行しそうな2頭、ネロとアットウィル。

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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