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【木幡家長男の素顔】木幡初也騎手(3)『昨年の反省点を生かした競馬を心掛けています』

  • 2016年09月21日(水) 18時00分
昨年とはひと味違う、好調の理由とは!?


昨年はケガや騎乗停止など、あまりいい流れではなかったと語る木幡初也ジョッキー。その反省を踏まえ、今年は例年以上のペースで勝ち星を重ねています。昨年とはひと味違う、好調の理由とは!?
(取材・文/大薮喬介)


馬の脚が上がっても最後は気持ちで残します

――フランスで貴重な経験をしたわけですが、日本に帰ってきて同じ若手の騎手に話したりはしましたか?

木幡初 興味がある人が多くて、同期や後輩もそうですし、先生たちからもいろいろと聞かれましたよ。

――海外の競馬を経験して、今それが生きていると思いますか?

木幡初 もちろん、海外の乗り方や考え方は刺激になりました。でも、「生きている」ではなくて、「生かす」ですよね。周りから「海外に行って変わったな」と思われないといけないと思っています。そのためにも、もっと頑張らないといけないですね。

――観てきたことはすべて吸収してきたと。

木幡初 そうですね。それを生かすのも殺すのも自分次第です。

――今年は例年以上に勝っていますよね。

木幡初 やっていることは変わっていないんですけどね。でも、1年目よりも2年目、2年目よりも今年のほうが技術は上がっていると思います。気持ちに余裕が出てきて、乗っていてもレースを客観的に見られるようになったのも大きいかもしれません。1年目は、自分が乗っている馬をどうしたら勝たせられるかばかり考えていましたが、最近は周りが見えてきて、雰囲気でどういう動きをするか、少しずつですがわかるようになってきましたから。まだまだですが、成績も上がってきているので、今の状態を続けていきたいですね。

――デビュー年が12勝で、昨年は9勝、今年はすでに14勝(9月18日終了時点)です。

木幡初 昨年はケガをしたり、騎乗停止も2回あったりで、あまりいい流れではなかったんです。ケガをするのも騎乗停止も、自分のスキルが足りないせいですから、今年はそういった反省点を生かした競馬をしようと思っていました。

――成績を調べたんですが、1、2年目と今年の1番人気の勝率が全然違うんですよ。今年は50%もあります。

木幡初 馬の邪魔をしないで勝利に導くというのが、ひとつの目標なので、少なからずそれを達成できているのかもしれませんね。少しでも自分の目標に近づけるような騎乗をしていきたいです。

――昨年は、どこをケガされたんですか?

木幡初 右手のくすり指です。少しうるさい馬に乗っていて、ゲートの中で我慢させるために顔を横に向けさせていたんです。そうしたら横を向いたまま突進して、ゲートの網のところに指が入ってしまって…。今も曲げることはできますが、真っ直ぐに伸びない状態なんです。

――騎乗する時に問題はないんですか?

木幡初 もうこの状態でやるしかないですよね。1カ月ほどリハビリをしている時は曲がらないし、握力も10くらいしかなくて。普段55はあったんですよ。馬に乗り始めてからが30くらいで、今は50まで戻りました。今も違和感がないといったら嘘になりますけど、騎乗への影響はありません。

――今夏、木幡騎手が騎乗した馬の中で、ストロングトリトンに注目したのですが、500万を2連勝したあと、1000万の苗場特別で1番人気4着でしたね。

木幡初 勝ちたかったんですけどね。2連勝した平場の500万よりも斤量が増えたというのもありますが、やっぱりクラスの壁を感じましたね。500万では追走も楽だったんですが、苗場特別の時はうながしながらでしたから。ただ、それでも4着に頑張ってくれたので、クラスに慣れてくれば1000万でも十分に通用する馬です。

――ストロングトリトンの将来性はどうでしょう?

木幡初 まだ4歳ですし、昨年暮れにレースを使った後に去勢したんですが、去勢した馬はホルモンバランスが整うまで1年かかると言われているんです。だから、これからもっと良くなると思いますよ。

――この秋も注目ですね。ちなみに、木幡ジョッキーはどんなタイプの馬が好きなんですか?

木幡初 大人しい馬よりも、気持ちが前向きな馬のほうが好きです。前向きすぎる馬でも、しっかり抑えるのが騎手の仕事だと思っているので。

――好きな脚質はありますか?

木幡初 後ろからスパッと差すのもいいですけど、どちらかといえば前めで競馬をするのが好きです。前で流れに乗って、たとえ馬の脚が上がっても最後は気持ちで残すような競馬がいいですね。
(次回へつづく)
キシュトーーク

たとえ馬の脚が上がっても最後は気持ちで残すような競馬がいいですね

元祖「キシュトーーク」のレギュラー陣、国分恭介、国分優作、松山弘平、川須栄彦、高倉稜を中心に、栗東・美浦・地方からも幅広く、これからの競馬界を担うU25の若手ジョッキーたちが登場します!

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