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ダートでさらなる強さを見せたリエノテソーロ/エーデルワイス賞

  • 2016年10月14日(金) 18時00分

撮影:田中哲実



芝よりむしろダートのほうがと思わせるレースぶり


 今年の出走馬では、地方勢は勝ったり負けたりのメンバーで、抜けた存在がいないという混戦模様。一方、中央勢4頭の中では明らかに能力が高く、まだ底を見せていないリエノテソーロが断然人気の支持を受け、その期待にこたえての勝利となった。

 期待ということでは、リエノテソーロを1番人気に押し上げたファン以上に、この馬に直接かかわる関係者のほうがその想いは強かったかもしれない。昨年のこのレースでは、オーナー、調教師、騎手とも同じチェストケリリーで臨み、1番人気の支持を受けたものの5着に敗れるという苦い経験があった。今回のリエノテソーロでは、新馬勝ちから連闘で臨んだすずらん賞を制した直後からこのエーデルワイス賞に狙いを定めて調整してきたという。しかし実戦では今回が初ダート。それゆえ門別競馬場には早めに入厩し、最終追い切りを門別で行ったということでも意気込みがうかがえた。

 最内枠からアップトゥユーがハナに立ち、ダッシュがつかなかった3頭以外は一団となってレースが進んだ。前半3F通過が34秒9は、それほど速いペースではない。今回はフルゲートの16頭。多頭数で馬群が固まる展開になったときに内枠だと馬群に包まれるリスクがあるが、外目の14番枠からのスタートとなったリエノテソーロは無理なく好位からレースを進めることができた。

 リエノテソーロは、直線を向いて残り200mのあたりで逃げていたアップトゥユーをとらえると、あっという間に後続を突き放した。道中は不利もなく、そして無理なくレースを進めることができ、能力の違いを見せつけた。芝よりむしろダートのほうがと思わせるレースぶりだった。

 リエノテソーロの今後は、芝に戻るのか、ダートでいくのか、また距離はどこまでもつか、ということになるのだろう。2歳時なら能力の違いでマイルあたりまではこなせそうだが、父スパイツタウンがブリーダーズCスプリントの勝ち馬でもあり、もっとも能力を発揮するのはダートの1400mくらいまでと思うのだが、どうだろう。

 リエノテソーロから5馬身差がついての2着争いは、これまで重賞では善戦までだったアップトゥユーが逃げ粘った。栄冠賞やリリーCでも先行していただけに、最内枠に入った今回は逃げと決めていたのだろう。単騎での逃げだったリリーCこそ前半35秒3という楽なペースだったが、良馬場だった栄冠賞は3、4頭が競り合っての前半34秒4という厳しいペース。今回のアップトゥユーは、先頭に立つまでも無理はせず、マイペースの逃げに持ち込むことができたことが好走の要因。

 地元北海道勢では人気の中心となり、全体でも2番人気となったのがピンクドッグウッド。勝ち馬と同じような位置を進み、最後はアップトゥユーをとらえられそうでとらえきれず3着。最後のもうひと押しに欠ける感じで、重賞勝ちとなったフルールCが1000mだったように、距離的には1200mがギリギリかもしれない。

 後方追走から直線一気の追い込みを見せ、2、3着馬を交わそうかという勢いだったのがオーブスプリング。勝ったリエノテソーロの上がり3Fは37秒5だったが、この馬はそれを上回るメンバー中最速の37秒3。重賞勝ちのフローラルCが1600mだったこともそうだが、1200mでは距離不足という感じはあり、距離延長で能力を発揮しそう。ひとまず大井1600mの東京2歳優駿牝馬あたりはチャンスではないだろうか。

 今回、地元勢の能力比較が難しかったが、終わってみれば、3頭出しの角川秀樹厩舎がすべて掲示板内に入り、あとの1頭は2頭出しだった田中淳司厩舎の1頭。近年、ホッカイドウ競馬の2歳戦線で圧倒的な層の厚さを誇る2つの厩舎が底力を見せた。そして昨年のこのレースで生産馬が上位3着までを独占したグランド牧場が、今年も2、3着と相変わらずの活躍を見せた。

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1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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