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ジャパンCは前走、天皇賞秋組を買いたいレースだが…

  • 2016年11月25日(金) 18時00分


◆名手がどう乗りこなすのか興味深い一戦

 個人的にジャパンCは前走GI組の日本調教馬、特に天皇賞秋組を買いたいのだが、今年は前走GI組の数がものすごく少ないうえに勝ってきた馬がいないというまさかの事態。一方でGII組に上位人気になりそうな馬がたくさんいる。

 人気はリアルスティールキタサンブラックが分け合うことになるだろうか。この2択なら個人的にはリアルスティールだ。外枠を引いたが、ムーアなら壁を作らずともぎりぎりの折り合いでいけるだろう。それでも絶対とまで言えないのは、一度マイルの世界まで覗かせた後ということ。前走は装鞍から厄介なことになっていたようだし、名手がどう乗りこなすのか興味深い一戦ではある。

 キタサンブラックは久々の東京戦。枠は最高のところをもらった。あとはちょっかいを出してくる馬がいるかどうか。ゴールドアクターは素直に番手だろうが、人気薄馬の玉砕戦法、ワンアンドオンリーあたりの奇襲があると厄介だ。

 自身は遅いラップを作らず、しかし本当のスパート距離は短くするというスタイル。東京コースを意識してこれを変えてくるのかどうかは、自身だけでなく他馬の行方にもかかわってくる。

 特にペースの影響を受けそうなのがディーマジェスティだ。ダービーで好走できたのは、珍しく上がり5ハロンがすべて速いロングスパート型になったためと考えられる。「キレないディープ」系の馬なので、よーいドンの競馬は好ましくない。その点キタサンブラックがペースを作るのは好都合だが、流れているからといって待ちすぎると自滅の危険もある。

 菊花賞の着順そのものはレインボーラインのほうが上だが、使われ続けているうえに思想は感じられないレース選択が続いている。その延長線上で勝ち負けできるほどジャパンCは甘いレースかどうか。このところの競馬を見ると後ろで構えるだろうし、馬券に絡むとしたら展開待ち。そう考えると、仮に買う場合もキタサンブラックやゴールドアクターとの組み合わせは買いづらい。

 シュヴァルグランは大外枠を引いてしまった。そこまで折り合いに苦心する馬ではないが、スタンド前発走でこの枠だと、下げて壁を作りにいく形になるだろう。それがどこまで下げる形になるか。位置取りでノーチャンスになるくらいならば、折り合いを欠くリスクを冒してでもある程度の位置で競馬をしたほうが良いと思うのだが。

 ルージュバックはチャンスありと個人的には見ている。10日競馬ばかりが話題になるが、調整法よりもコース形態と展開がこの馬のポイントだろう。とにかくブレーキを踏まずに長い距離を伸びてくることが必要。2000mよりは2400mのほうがトリッキーさが減退するぶん競馬はしやすいはず。あとは差し遅れを恐れず絶対にコースが塞がらない外めを伸びてくることが肝要だ。そういう意味で枠順は厄介。リアルスティールと逆のほうが正直よかった。

 ビッシュは輸送の無い東京替わりは良いが、天皇賞秋以外の前走大敗組に好走例がないのは気になるところ。あとはサウンズオブアースラストインパクトあたりが3着候補として検討可能だろうか。

 外国馬はかなり厳しい戦いになりそう。どうしても買うというならイラプトを3連単の3着候補にするだけでいいだろう。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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