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重賞回顧 レース中の心理に深く迫る!

  • 2016年12月20日(火) 18時01分
小牧太

今週はレース中のジョッキー心理に迫ります!


ダノンメジャーで挑んだチャレンジCは8着。とはいえ、積極的にハナを取りにいき、最後までしぶとく粘った見応えのあるレースでした。今回はそのチャレンジC、タンザナイトS(ミッキーラブソング6着)、そして久々の勝利となった12月3日の2歳未勝利(カカアコ)を回顧。レース中のジョッキー心理に迫ります!
(取材・文/不破由妃子)


あの勝利は“してやったり”ですわ

──今回はレース回顧を中心に伺っていきたいと思っているのですが、まずはダノンメジャーのチャレンジC(12月10日・阪神11R・7番人気8着)。以前、お話を伺ったときは「逃げられないと思う」とおっしゃっていましたが。

小牧 うん、重賞のメンバーでは(逃げるのは)難しいかなと思ってた。枠順(1枠2番)が良かったよね。

──「何が何でも行くぞ」という小牧さんの意志を感じました。

小牧 メイショウナルトがなかなか譲らんかったからね。叩く格好をして主張しました。ただ、3コーナー手前の時点で、いかにもペースが速いなと。かといって、スピードに乗っているところでブレーキを掛けるわけにはいかんから、「これはちょっとしんどいな…」と思ったね。もうちょっとメイショウが控えてくれるのが理想やったけど、そこは向こうも行く気やったからしょうがないね。

──そこは逃げ馬の性ですよね。それでも直線に向いたときにはセーフティリードがあって、思わず「そのまま!」と叫びました。

小牧 いや〜、早々に交わされてしまって。ペースが速いところに早めに後ろからこられたからね。マイネルハニーも切れる馬ではないということで、ジョッキーが「早めに動きました」って言うてた。それにしても、マイネルハニーっていう馬は強いよ。

──ダノンメジャーも、8着とはいえコンマ3秒差。逆に今後の可能性を感じました。

小牧 そうそう、思った以上に頑張ってくれた。ああいう競馬をしていったら、まだまだ強くなるかもしれんね。

──以前、「控える競馬もできるように」とおっしゃっていましたが、徹底的に“逃げ”で活路を追求するのもアリかと思います。

小牧 そうやね。力があればそれもありや。でも、以前のことを思ったら、重賞でこれだけやれたら上出来やない? 2ケタ着順に負けていた時期もあったんだから。

──現時点ではそうかもしれませんが、本来の能力を思うと、もっとやれるはずと期待してしまいます。

小牧 もちろん僕も期待してるよ。まだ4歳やしね。次は金杯ですわ。

──京都ですか?

小牧 いや、中山。もちろん僕が行きます。

──中山2000mは、後ろから行く馬には不利なコースですから、ペース次第では面白そうです。

小牧 うん、そうやね。新年早々、遠征してきますわ。楽しみです。

──続いては、タンザナイトSのミッキーラブソング(12月4日・阪神11R・6着)。やはり敗因は馬場ですか?

小牧 馬場も多少は関係していると思うけど、道中いい感じで行きすぎたかもしれない。僕、叩いて行ったからね。行きっぷりがよかったぶん、最後の伸びがなかったのかなと思って。デキがすごくよかったし、もう少しゆっくり行けばまた違う結果になったかもしれない。

──そういえば、ゴール手前で挟まるようなシーンもありました。

小牧 ああ、あれは関係ないよ。採決委員にも聞かれたけど、もう脚がなかったから。脚があったら、逆に弾き飛ばしているところやで。しぶった馬場より良馬場、あとは阪神より京都のほうが合ってると思うわ。重賞でももっとやれそうな手応えはあるんやけどね。もう手の届くところまできているから。

──そうですよね。ダノンメジャーとともに、来年の重賞戦線で期待したいです。続いては、久々の勝利となったカカアコ(12月3日・阪神2R・2歳未勝利)。技あり一本! という感じの騎乗でしたね。出遅れて、向正面で一気に上がっていって…。

小牧 みんなが抑えているときに、よし、行ったれ! と。2コーナーから追って行ったから、僕がしんどかったけどね(苦笑)。メンバーに恵まれたところはあるけど、僕自身、久しぶりの1着やったから本当にうれしかった。やっぱりジョッキーは勝つのが一番。あれはしてやったりですわ。

──小牧さんのああいった思い切った競馬は見応えがあります。

小牧 半分は開き直りや(笑)。翌週の中京はもうひとつやったなぁ。ステフィン(12月11日・中京7R・2歳未勝利)では勝つことができたけど、2頭で出遅れて。

──10Rのアロンザモナと最終のショウナンタイザンですね。

小牧 そうそう。最終のショウナンにはゲートで潜られてしまって。西浦厩舎のアロンザモナは、めったに出会えないくらいのいい馬やったのに、スタートで横の馬が立ち上がったもんやから、怖がって出遅れてしまってね。それでも最後は伸びてくれるだろうと思ってジックリ乗ったんやけど。

──4コーナーでは外に弾かれる不利が…。あれは大きかったですね。

小牧 うん。ついてなかった。でも、2歳馬では久しぶりに「これはいい馬やなぁ」と思ったよ。あの馬は絶対に走るわ。
小牧太

2歳馬では久しぶりに「これはいい馬やなぁ」と思ったよ

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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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