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スローの2番手から末脚を使ったロンドンタウン/佐賀記念・佐賀

  • 2017年02月08日(水) 18時00分

提供:佐賀競馬



若い4歳馬が勢いを示したのは明るい材料


 予想の際に過去のデータは多少は参考にすることもあるが、あまりそれに固執はしないようにしている。しかし、後出しジャンケンのようではあるが、この佐賀記念に関しては「前走東海S(2012年以前は平安S)組は、その着順に関係なく好走する」というデータは信じたほうがいい。過去5年の勝ち馬のうち4頭が前走東海S(平安S)組で、そして今年も前走が東海S(7着)だったロンドンタウンが勝利。さらに鞍上が佐賀出身で過去6年の佐賀記念とサマーチャンピオンで計4勝を挙げていたという川田将雅騎手では鬼に金棒ともいえる組み合わせだった。

 スタートがあまりよくないタムロミラクルは今回もダッシュがつかず。先行争いからリッカルドがハナに立ち、ロンドンタウンが2番手で、3番手の外にカツゲキキトキト、出負けしたものの内から位置取りを上げたタムロミラクルが3番手の内につけた。それで隊列が決まると、ほとんどペースが上がらないまま2周目の向正面に入った。

 佐賀記念は、過去の勝ちタイムを見ると2分5秒台から10秒台と、その時々の馬場状態や砂の厚さによって振れ幅が大きい。そのため単純にタイムで比較するわけにはいかないのだが、今回は不良の締まった馬場ということを考えると、見るからに遅いペースで流れた。逃げたリッカルドは近走成績の不振が示すように4コーナーから後退、中団からストロングサウザーがメンバー中最速の上りを使った以外は、ほぼ前残りという決着だった。

 スローに流れたぶん、レースの上りが37秒3、勝ったロンドンタウンの37秒0は速い。4年前、ホッコータルマエが勝ったときの自身の上り35秒9はさすがに別格だが、過去5年の勝ち馬との比較でも、ロンドンタウンはホッコータルマエに次いで速い上りを記録した。昨年のこのレースを制したストロングサウザーとリッカルドの2頭しかグレード勝ち馬がいないというメンバーで、若い4歳馬が勢いを示したのは明るい材料と言っていいだろう。

 2着のタムロミラクルは、4コーナーから懸命に勝ち馬を追ったものの直線で4馬身突き放された。出負けして、すぐに好位にとりついたため、そこで脚を使ったぶんはあっただろう。

 このレース連覇のかかったストロングサウザーは、先行集団からやや離れた6番手を追走し、上り3F36秒8という末脚を発揮して追い込んだものの3着まで。昨年はキョウワカイザーがハイペースで逃げたことで末脚を存分に発揮して直線突き抜けたが、今回の前残りの流れではさすがに厳しかった。

 残念だったのがカツゲキキトキトで、うしろから来たストロングサウザーにとらえられての4着。普段から速い上りでの勝負をしている中央馬を相手に、スローに流れての瞬発力勝負となっては、いかにも分が悪かった。スローペースなら積極的にもう一段前につけることはできなかっただろうか。勝負どころ3コーナーあたりまでの位置取りで決まったような気がする。

 近年、ますます中央・地方の実力格差が広がった中で、カツゲキキトキトは数少ない期待馬。中央のダートの層が厚くなるなかで、今回のようにメンバーに恵まれてというチャンスはそれほどあるものではない。次の目標は、地元の名古屋大賞典(3月30日)あたりになるのだろうか。ここを経験してのパワーアップに期待したい。

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1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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