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【M.デムーロ×藤岡佑介】第4回『引退後は日本で調教師になりたい!』

  • 2017年03月01日(水) 18時01分
with 佑

▲4週連続重賞勝利で、2月はGI含む重賞5勝! M.デムーロ騎手編の最終回(撮影:下野雄規ほか)


先週末はアーリントンC(ペルシアンナイト)、中山記念(ネオリアリズム)と2日連続重賞勝利。2月だけでGI含む重賞5勝、この勢いは止まりません。そんなデムーロ騎手との対談も今回が最終回。ルメール騎手とのプライベートな関係や、京都の街でファンに囲まれたエピソードなどを公開します!(取材・構成:不破由妃子)

※撮影協力:京都センチュリーホテル 「メインダイニング カサネ」


(前回のつづき)

お互いに目指すは調教師


佑介 以前、クリストフにもゲストで来てもらって、そのときも聞いたんだけど、ミルコは引退後のこととか考えてる?

ミルコ できればだけど…、日本で調教師になりたい!

佑介 えっ! そうなの!? ミルコが日本で調教師になったら、それは本当にすごいことだよ。

ミルコ 去年は幸四郎とタナパク(田中博康)が合格したし、一緒に乗ったことのある須貝さんも中舘さんも調教師として活躍してるもんね。でも、体が動く限りはジョッキーを続けたいと思ってるよ。佑介はいつまで乗るとか考えてるの?

佑介 ん〜、あと10年くらいかな。

ミルコ 10年? それだけ!? 佑介、10年なんてアッという間だよ。でも、佑介は間違いなく調教師として成功すると思う。今、若い調教師がどんどん増えてるしね。

佑介 調教師になった際には、藤岡佑厩舎をよろしくお願いします(笑)。

ミルコ こちらこそ! 調教にも乗るよ。

佑介 調教は……(苦笑)。

ミルコ さっき佑介に「アシスタントにはできない」って言われたけど、嫌だと言われたらなおさら乗りたい!

with 佑

▲「調教にも乗るよ。嫌だと言われたらなおさら乗りたい!」


佑介 天邪鬼だなー。じゃあ2週前くらいにお願いするわ(笑)。デビューした頃はね、30歳で調教師になろうと思ってたの。でも、いざその年になってみたら、競馬に乗るのが楽しくて楽しくて。それに、日本のジョッキーのタイムスケジュールは、フリーな時間が多いでしょ? 勉強をするためには、すごくいい環境だと思ってる。だから、ジョッキーでいるあいだにもっといろいろなことを吸収しながら、もう少しキャリアを積みたいと思ってるよ。

ミルコ それはいいね。昔はイタリア以外にも、イギリスやフランスで毎日競馬に乗って、本当に疲れていた。でも今は、すごく体のコンディションがいい。

佑介 今は土日で20頭近く乗っているけど、全然疲れない?

ミルコ もちろん、疲れるよ。次の日はさすがに筋肉が疲れているのがわかる。でも、気持ちの面では考える時間がないぶん、10頭以上乗っていたほうがストレスが溜まらない。日本は競馬から競馬まで1週間あるでしょ? だから、ストレスが溜まっていると、その時間がすごく長く感じる。

佑介 なるほど。たとえば日曜日の最後に失敗したら、その失敗を取り返す機会は次の土曜日まで待たなくちゃいけないからね。その間、ストレスが抜けないと。

ミルコ そうそう。ストレスが溜まると眠れなくなる。日曜日の夜はいろいろ考えてしまうし、何度も何度も映像を見てしまうから、2時、3時まで眠れないことが多いよ。でもさすがに体が疲れているから、月曜日は1時頃まで寝てるけど。だから全然寝不足じゃない(笑)。

お酒の場が大好き!これは四位騎手のせい?!


佑介 確かに(笑)。ミルコはあんまりお酒が強くないから、日曜日の夜に飲みに行くことも少ないしね。

ミルコ GIを勝った日は、パーッと飲みに行ったりもするけどね。

佑介 そういえば去年、桜花賞を勝った夜に電話をくれたよね。「佑介、ありがとー! 僕はもう酔っ払ってダメでーす!」って(笑)。パーティーとか、お酒を飲む場は好きなんだもんね。

ミルコ そう、大好き! もともとお酒は一滴も飲めなかったんだけど、日本に来るようになってから飲めるようになった。四位さんのせい(笑)。

佑介 なるほどね(笑)。

with 佑

▲「日本に来てからお酒が飲めるようになったんだよ。四位さんのせいで(笑)」


ミルコ 昔、四位さんが「ミルコ、ギムレットって知ってる?」って聞くから、「タニノギムレット知ってます!」って答えたら、「違う違う! お酒だよ」って(笑)。それでギムレットを飲まされて、初めて酔っ払った。最近は、クリストフから夜によく電話が掛かってきて、「今、クラブにいるから来てよ!」って呼び出されるよ。

佑介 クリストフは踊るのが本当に好きだよね。いわゆるパリピですよ(笑)。

ミルコ そうそう(笑)。フランス人は、すごくプライドが高い人が多いけど、クリストフはそういう面がなくて一緒にいると楽しい。日本にくる前から知っていたから、もう20年近い付き合いになるね。

佑介 20年かぁ…。そんなふたりが今、JRAのジョッキーとして日本で一緒に乗ってるんだもんね。なんか不思議な感じ。しかもミルコがすごいなと思うのは、街中で一緒に歩いていると、ものすごい確率でファンに気づかれること。ジョッキーで確実に気づかれるのは、豊さんとミルコくらいじゃないかな。

with 佑

▲「街中を歩いていてファンに気づかれるのは、豊さんとミルコぐらい。それはすごいことだと思うよ」


ミルコ 声を掛けてくれるのはオジサンばっかりだけどね(笑)。この前、京都のマーケットに行ったときもすぐに気づかれて、「ミルコさん、写真お願いします!」「デムーロさん、サインください!」って100人くらい集まってきた(苦笑)。嬉しかったけど、さすがにビックリしたよ。外国人だから覚えやすいんだろうね。

佑介 おまけにミルコは、「話しかけてもいい人」っていうイメージがあるんだと思うよ。勝利ジョッキーインタビューであれだけ流暢に話していれば無理もないけど。

ミルコ うれしいことだけど、そのぶん文句もいっぱい言われるよ。この前もパドックで、「デムーロさん! 今年全然ダメね!」って。そのレース、勝ったけどね(笑)。

佑介 さすがです! ミルコ、今日は本当にありがとう。

ミルコ こちらこそ、とても楽しかった。日本には大きなレースがたくさんあって、毎年毎年、夢が見られるのがいいね。今年も止まらないよ!

佑介 なるほど、欲望が止まらないわけですね(笑)。

ミルコ そうそう! ダービーもジャパンCも勝たせてもらったけど、もっともっと勝ちたい。夢はビッグレース全制覇。しかも何度もね!

with 佑

▲佑介「ミルコ、今日は本当にありがとう!」 ミルコ「こちらこそ、とても楽しかった!」


(文中敬称略、了)
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JRAジョッキーの藤岡佑介がホスト役となり、騎手仲間や調教師、厩舎スタッフなど、ホースマンの本音に斬り込む対談企画。関係者からの人望も厚い藤岡佑介が、毎月ゲストの素顔や新たな一面をグイグイ引き出し、“ここでしか読めない”深い競馬トークを繰り広げます。

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1986年3月17日、滋賀県生まれ。父・健一はJRAの調教師、弟・康太もJRAジョッキーという競馬一家。2004年にデビュー。同期は川田将雅、吉田隼人、津村明秀ら。同年に35勝を挙げJRA賞最多勝利新人騎手を獲得。2005年、アズマサンダースで京都牝馬Sを勝利し重賞初制覇。2013年の長期フランス遠征で、海外初勝利をマーク。2018年には、ケイアイノーテックでNHKマイルCに勝利。GI初制覇を飾った。

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