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プロディガルサン国枝栄師のブレない信念/トレセン発秘話

  • 2017年03月09日(木) 17時59分


◆国枝師「やっぱりひとつ上の馬」

 金子真人オーナーは未来を見通すエスパーなのかもしれない。そうでなければ、約2億円の高額馬に“放蕩息子”と名付ける理由が見当たらない。改めてそんな感を抱いたのが、プロディガルサンの前走である。

 本来なら始動戦は1週前(1月28日)のオープン・白富士S(芝2000メートル)であり、陣営の17年のビジョンも中長距離路線一本。しかし賞金除外でそれがオジャンとなった。「だってしょうがねぇだろ」と管理する国枝栄調教師が渋面をつくったように、GIII東京新聞杯(芝1600メートル)出走は想定外。思えば皐月賞回避から始まった青写真通りにいかない“放浪癖”。まさに言い得て妙のネーミングである。

 それでも非凡な才能は「あの除外が痛かった」と言わせなかった。5ハロン通過が62秒2とマイル戦らしからぬ緩ペース。直線を向いた地点で逃げたブラックスピネルのVは確定的だったが、これを4角6番手からクビ差まで猛追したのが“嫌々”送り出された同馬だった。「人間の思惑なんて知らんがな」と言わんばかりに記録した上がり3ハロンは究極の32秒0。放蕩息子がマイラーとしての高い資質を垣間見せたのだから、当初のビジョンにもズレが生じるかと思ったのだが…。

「菊花賞も直線スムーズならあんな結果(11着)になっていない。2着で賞金加算できたのは良かったが、あのパフォーマンスが距離ゆえと判断するのは早計。オレの見方はむしろ逆。あの競馬で“やっぱりひとつ上の馬”という確信を持った」

 早々と金鯱賞に照準を定めたのは指揮官の信念にブレがないゆえ。優勝馬にはGI大阪杯(阪神芝2000メートル)の優先出走権が与えられるスーパーGII。この距離で同じ脚が使えれば…。「以前はトモがしっかりしておらず、調教ではハミにぶら下がるように走っていた。やはり変わってきたのは古馬になってから。今は併せるパートナーを探すのも容易じゃないほど稽古で動く。だから前走も緩急に対応できたのだろうし、22キロの馬体増は成長分と思ってます」

 この椎本英男助手の言葉が確かなら、前走の鬼脚もあくまで助走。放蕩息子の殻を破るVを決め王道路線一直線となるはずだが、果たして結果は?(美浦の宴会野郎・山村隆司)

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