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クイーンズリングの半弟モンドバーグ

  • 2017年03月15日(水) 12時00分
≪3歳≫

アストロノーティカ(牡 栗東・角田晃一 父ネオユニヴァース、母シェルシーカー)
 シンザン記念(GIII)で2着となったヘミングウェイの全弟。母シェルシーカーはボワ賞(仏G3)を勝ったMorning Prideの全妹。イトコに米G1を2勝したFlashingがいる。「ネオユニヴァース×Machiavellian」はヴィクトワールピサ(11年ドバイワールドC-首G1、10年有馬記念-GI、10年皐月賞-GI)と同じ。ロジユニヴァース(09年日本ダービー-GI)も2代母の父にMachiavellianを持っているので、血統構成はよく似ている。実績のある組み合わせで全兄も走っているので楽しめそうだ。芝向きの中距離タイプ。

サトノサファイア(牝 栗東・藤原英昭 父ステイゴールド、母ダリシア)
 ケンタッキーダービー(米G1・ダ10f)とドバイワールドC(首G1・AW2000m)を制したAnimal Kingdomの半弟。母ダリシアはドイツ産馬でシュパルカッセンフィナンツグルッペ賞(独G3・芝2000m)の勝ち馬。母の父Acatenangoは現役時代に3年連続で西独年度代表馬に輝き、引退後は独リーディングサイアーの座を5回獲得した。ジャパンC(GI)を勝ったLandoの父でもある。日本で交配されて誕生した産駒は3頭いるが、いずれも勝ち上がっており、現1000万下のサトノキングダム(父ディープインパクト)は通算4戦2勝と好成績で、いずれ重賞クラスに出世する可能性を秘めている。本馬の父はステイゴールド。母方にドイツ血統とダンシングブレーヴを併せ持つ同産駒といえばオーシャンブルー(12年金鯱賞-GII、14年中山金杯-GIII)がいるのでおもしろい。芝向きの中距離タイプ。

フルンティング(牡 美浦・高市圭二 父ヴィクトワールピサ、母フェリシア)
 母フェリシアは現役時代にフェアリーS(GIII)を勝ち、ファルコンS(GIII)でも2着となったスピード馬。その父グラスワンダーよりも母フェルモイ(Irish River×Conquistador Cielo)の影響が強かったと思われる馬だった。本馬の父はヴィクトワールピサ。母方にNever Bendを持つ同産駒は好成績を挙げているが、直系の孫のIrish Riverは現在3頭出走して2頭勝ち上がり、プリンシパルS(OP)を制して日本ダービー(GI)に出走したアジュールローズが出ている。ヴィクトワールピサの2代母Much Too RiskyはRosetta≒Kalmia 4×4というユニークな同血クロスを持っているが、Irish Riverの母の父KlaironはKalmiaの息子なので、このクロスを継続することになる。注目したい配合だ。芝向きの中距離タイプ。

モレッキ(牡 美浦・斎藤誠 父ステイゴールド、母オールザウェイベイビー)
 朝日杯FS(GI)を勝ったゴスホークケン(父Bernstein)の半弟。母オールザウェイベイビーは日本にやってきてから4年連続でディープインパクトと交配し、3頭が勝ち上がっている。5年目にステイゴールドと交配し、誕生したのが本馬。母方にKris S.を持つステイゴールド産駒からは障害界で無敵を誇るオジュウチョウサン(16年中山大障害-JGI、16年中山グランドジャンプ-JGIなど障害重賞5勝)が出ている。本馬は母の父がMr.Prospector系で、2代母の父がKris S.なのでウインプリメーラ(16年京都金杯-GIII)に似ている。芝向きのマイラーだろう。

モンドバーグ(牡 栗東・吉村圭司 父ヴィクトワールピサ、母アクアリング)
 半姉クイーンズリングはエリザベス女王杯(GI)を含めて重賞を4勝している名牝。母アクアリングはTorrestrella(仏1000ギニー)の半妹で、母の父Anabaaはカルティエ賞最優秀スプリンターに輝いた名馬。Anabaa産駒には「Rivermanのクロスを持つ産駒から大物が出る」という際立った配合的特徴がある。Goldikova(カルティエ賞年度代表馬でG1を14勝)、Anabaa Blue(仏ダービー)、Trevise(凱旋門賞を2連覇したTreveの母)、Anabandana(ニュージーランド2歳チャンピオン)などはこの配合から誕生している。アクアリングもこのパターン。ドイツ牝系から誕生したAnabaa Blueを除く3頭、Goldikova、Trevise、AnabandanaはいずれもLyphardを併せ持っており、母アクアリングもRivermanクロスに加えてLyphardを持っている。Anabaa産駒の成功パターンの王道といえるだろう。何を交配しても走る馬が誕生しそうだが、父ヴィクトワールピサは、母が持たないサンデーサイレンス、Mr.Prospectorを持っているので配合構成は良好。母が3×4で持つRivermanはNever Bendの息子だが、Never Bendは父ヴィクトワールピサと相性がいい。芝中距離がベスト。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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