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近親にダートの大物、いずれ重賞でも期待できそうなワンダースペラーレ

  • 2017年03月22日(水) 12時00分
≪3歳≫

タイセイレガシー(牝 栗東・高野友和 父マンハッタンカフェ、母ストゥデンテッサ)
 母ストゥデンテッサはアルゼンチン産で、ホルヘデアトゥーチャ大賞(亜G1・ダ1500m)、ルイスMカンポス将軍賞(亜G2・芝1600m)を制覇。日本で繁殖牝馬となり、これまでに産んだ2頭の産駒、アドマイヤピンク(父キングカメハメハ)とティルヴィング(父ディープインパクト)はいずれも勝ち上がり、前者は3歳春にフェアリーS(GIII)で6着と健闘している。本馬は2015年のセレクトセール1歳で3000万円(税抜)の値がついた。母の父High YieldはStorm Catの子で、父マンハッタンカフェはStorm Catと相性がいいので悪くない。Mr.ProspectorとNijinskyの組み合わせを持っている点も父に合う。芝・ダート兼用の中距離タイプだろう。

プラスドピラミッド(牝 美浦・大江原哲 父ヴィクトワールピサ、母モテック)
 半姉にオークス馬サンテミリオン(父ゼンノロブロイ)、4分の3兄に目黒記念(GII)で2着となったレコンダイト(父ハーツクライ)がいる。母モテックはフロール賞(仏G3・芝2100m)を、2代母Sudakaはクレオパトル賞(仏G3・芝2100m)を勝っている名牝系。モテックはMill Reef 3×3という繁殖牝馬向きの血統構成。父ヴィクトワールピサはNever Bend系と相性が良く、コンスタントに活躍馬を出している。Mill ReefはNever Bendの息子なので悪くないだろう。「ヴィクトワールピサ+Mill Reef」の活躍馬にはジョルジュサンク(16年すみれS-OP)、コパノマリーン(16年フェアリーS-GIII・5着)、スワーヴアーサー(16年京都新聞杯-GII・7着)などがいる。本馬を産んだとき母はすでに19歳と高齢だった。その点だけが懸念材料。

ホウオウプライド(牡 栗東・矢作芳人 父ディープブリランテ、母プンティラ)
 母プンティラはドイツオークス(G2)を勝った一流馬で、その半妹にクリテリウムドサンクルー(仏G1)を勝ったパイタがいる良血。姉妹で日本に輸入されている(姉はノーザンファーム、妹は社台ファーム)。プンティラは、最近のヨーロッパ競馬のトレンドであるドイツ血統で構成されており、Literat 3×4、Aggravate 2×5という大胆なクロスを持っている。繁殖牝馬としては、ドイツ時代にヴィンターケーニギン賞(独G3)4着のPakama(父Kalatos)を、日本に輸入されてからは準OP馬ペルレンケッテ(父ディープインパクト)を出している。本馬はその4分の3弟。父ディープブリランテは日本ダービー馬で、初年度産駒の現3歳世代からディーパワンサ、ナイトバナレット、リカビトス、イノバティブ、スズカゼ、ブリラーレといった活躍馬を出している。芝向きのマイラーだろう。

レッドルドラ(牡 栗東・大久保龍志 父ヴィクトワールピサ、母フローリオット)
 母フローリオットは、イタリアにおけるエリザベス女王杯的なレースであるリディアテシオ賞(伊G1・芝2000m)の勝ち馬。母の父Monsunは近年のドイツを代表する名種牡馬で、クラシックディスタンスを得意とし、同国で計4回リーディングサイアーとなった。日本ではソウルスターリング、ノーブルジュエリー、ケルフロイデ、ウムブルフなどが母の父にMonsunを持っている。母フローリオットは日本で4頭の産駒を産んでいるが、勝ち上がったのは2頭で、いずれも1勝馬。本馬の父ヴィクトワールピサはNever Bend系と相性が良く、その直系の孫であるIrish Riverとの組み合わせでは、アジュールローズ(16年プリンシパルS-OP)が出ている。芝向きの中距離タイプ。

ワンダースペラーレ(牡 栗東・牧田和弥 父サマーバード、母ワンダーグラス)
 母ワンダーグラスは現役時代にダート短距離で2勝を挙げた。ワンダーアキュート(14年帝王賞-JpnIを含めてダート重賞を7勝)の半姉、ワンダースピード(09年東海S-GIIを含めてダート重賞を5勝)の半妹、という良血で、繁殖牝馬としてはワンダーピルエット(父エンパイアメーカー/現準OP)を出して非凡な能力を示している。本馬の父はサマーバード。現役時代にベルモントS(米G1)、トラヴァーズS(米G1)、ジョッキークラブゴールドC(米G1)を制した一流馬で、米リーディングサイアーのTapitと同じくRuby Slippersの牝系から出ている良血。種牡馬としては3世代を残して早世した。日本における産駒は現3歳世代の1世代のみ。ダート1400〜1800mがベストで、大物を出せるポテンシャルを秘めているので楽しみが大きい。完成するのは古馬になってからだが、底力、スタミナ、成長力を秘めており、ダート中距離で重賞クラスまで出世してもおかしくない。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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