昨年「Bコース」に泣いたヒルノデイバロー 今年は不気味な存在に/トレセン発秘話
◆「去年とはいろいろな意味で馬が違うはずだよ」
昨年の高松宮記念のレース直後のこと。検量室で見た昆調教師の表情は明らかに怒りがにじみ出ていた。
「いや、別に文句を言っていたわけじゃないんだけど。たった1週間であれだけ馬場が変わるのは普通ではあり得ないこと。その理由を聞きたかっただけなんだ」
開催最終週で馬場悪化となれば、「ヒルノデイバローの追い込みが利く」と読んでいたトレーナーにしてみれば、その想定とは全く逆に突如、レコード連発の先行有利な高速馬場に変貌してしまっていたことが納得いかなかったのだろう。
昆調教師以外からも、不満が噴出した「突如の馬場の高速化」。その原因について昨年、当コラムでは、雨にたたられることが多かった開催が、高松宮記念の週だけは天候が良く、その分、路盤が硬くなった。加えてAコースからBコースに替わったことで、コーナーの角度が変化し、よりスピードに乗りやすかった。この2点を挙げさせてもらった。
高松宮記念ウイークにA→Bコースに替わるのは今年も同じ。そして今年は当開催にしては珍しく、これまで全て良馬場で競馬が行われてきた。となると、今年も速い時計が出る状況で開催されると読むのが妥当だろう。ならば昨年、不発の12着に終わったヒルノデイバロー狙いは今年も無理筋なのか?
「去年はまだ路線をダートから芝に替えて間がなかったけど、あれからずっと芝を使って馬の走りも変わってきたし、筋肉のつき方も芝の短距離馬らしくなってきたからね。最近は同じ後ろからの競馬でも、馬群にはついていけてるし、去年とはいろいろな意味で馬が違うはずだよ」(昆調教師)
賞金的に除外の恐れも十分あったが、出走順位ギリギリの18番目で潜り込めた運も含め、なにやら“不気味”なヒルノデイバロー。例年、高松宮記念での活躍が目立つ阪急杯組の中でも、最も可能性があるのは、この2着馬じゃないかと坂路野郎はにらんでいる。(栗東の坂路野郎・高岡功)
【休載のお知らせ】
今週の「吉田竜作マル秘週報」は先週の3日間開催による東京スポーツ紙面編集・発行の都合により休載とさせていただきます。ご了承くださいますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。