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病魔に打ち勝ち未勝利戦衝撃V アドミラブルがダービー最終兵器/吉田竜作マル秘週報

  • 2017年03月29日(水) 18時00分


◆そのスピードへの対応力は“天性”

 毎日杯が終わり、皐月賞行きの“チケット”はほぼ売り切れ。理屈上は今週のマーガレットS、伏竜Sといったオープン特別で賞金を加算する手段もなくはないが、現実的とは言いがたい。となると、この時期の1勝馬、もしくは2勝馬たちは目標を先へと切り替えていく。もちろん、「先」というのは日本ダービー。そこで注目してほしいと思っている馬が今月5日の未勝利戦(阪神芝外1800メートル)を勝ったディープインパクト産駒アドミラブル(牡・音無)だ。

 記者も昨年の「ザッツPOG」でオススメの一頭に挙げたくらいで、POGでもかなり人気が高かった馬。何より音無調教師自身がこのアドミラブルには大きな期待を寄せていたのだが…。不測の事態が起こった。

「ちょうど昨年の今頃くらいから、ノドの具合が思わしくなくなって…。ただ、当時はまだ程度が軽かった。時間がたって成長すれば、治まるかなって思っていたんだ」とは音無調教師。しかし、ノドに潜んだ病巣は予想以上に深刻なものだった。

 昨年9月の新馬戦(阪神芝外1800メートル)では直線を向く前に早々と脚が上がって9着惨敗。デビュー前の調教でもかなり上がりを要していたように、明らかにノドの疾患が、アドミラブルの競走能力に悪影響を与えていた。この敗戦を受けてトレーナーはノドの手術を決断。休養を挟んで一から立て直すことに。

 手術後に帰キュウしたアドミラブルは、音無調教師の決断が正解だったことを自らの走りで証明する。未勝利戦当週の追い切りでは、坂路4ハロン51.6秒の好時計をマークしたうえで、ラスト1ハロンも12.7秒と踏ん張った。

「休む前と比べて、上がりのタイムが明らかに違う。あとはレースでノドの影響がないかを確かめるだけ」とトレーナーが口にして臨んだ未勝利戦では、秘めた力をいかんなく発揮。勝ちタイムの1分45秒8は1回阪神開催の群を抜いたベストタイムだった。

「時計が速くなったのは飛ばす馬がいたから」と謙遜気味に切り出した音無調教師。確かに1000メートル通過58秒5のハイペースに引っ張られた側面もあるが、どれだけ速いペースで流れたとしても、そのスピードに対応できなければ高速時計では走りきれない。そして、そのスピードへの対応力はおおむね“天性”によるものが大きいとされる。「まあ、確かにどの馬でも出せるタイムじゃないとは思うけどな」が指揮官の本音だろう。

 ちなみに担当の蛭田助手によれば「まだ体に余裕があったし、正直なところ勝てるとは思ってなかった」状態でのもの。まだまだ上積みが見込めそうだ。

 未勝利V直後は毎日杯出走プランも出たらしいが、「オーナーが間隔が詰まるのを嫌ったみたい。それでもう1週空けて自己条件に」

 土曜(4月1日)の500万下・アザレア賞(阪神芝外2400メートル)は日本ダービーを目指すうえで、負けられない一戦となる。

「毎日杯でもいい勝負ができたとは思うけど、仮に使って勝っていたとしても、皐月賞は頭になかった。ここを勝って、トライアルからダービーに行けるといいですね」(音無調教師)

 アドミラブルは混戦の牡馬クラシックの“最終兵器”になれるのか。まずは足踏みの許されない一戦での走りに注目だ。

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