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【新人一番星】川又賢治騎手(1)『結果を残せる騎手になれよ』

  • 2017年04月19日(水) 18時01分
今回のゲストは、今年デビューの新人で初勝利1番乗りを果たした川又賢治騎手です!


ゲストは新人・川又賢治騎手。名手の息子、調教師の息子など、注目の顔ぶれがそろった今年の新人の中で、見事に初勝利一番乗り。師匠・森秀行調教師の手厚いバックアップを受けて、順調なスタートを決めました。「気持ちの強さには自信があります」と、なんとも骨のありそうな発言も。一期上の坂井瑠星騎手とは親友という川又騎手、いったいどんなジョッキーなのでしょうか。
(取材・文/森カオル)


師匠の粋な計らい !地元に近い川崎でのデビュー

──3月11日の阪神6R(マテラスカイ)で初勝利。おめでとうございます! 同期では一番乗りでしたね(4月16日・阪神12Rで2勝目をマーク)。

川又 ありがとうございます。

──まずはレースを振り返っていただきたいんですが、好スタートからスッと中団に控えたあたりはイメージ通りだったんですか?

川又 はい。思った以上にスタートは出てくれたんですが、もともと末脚に賭けようと思っていたのであまり出して行かず、中団で持ったまま流れに乗れました。

──3、4コーナーで内に進路を切り替えて、最後の直線では大外へ。

川又 内に入れたときに砂を嫌がっていたのと、僕自身の勝ちたいという気持ちも強かったので、進路を取るために外に行きました。ただ、外を回りすぎましたし、それでいてしっかり差し切ってくれたので、馬の力に助けられた勝利だと思っています。

──自厩舎の馬で2番人気。森先生からはどんな指示が?

川又 その日、先生はアメリカに行っていて、競馬場にはいらっしゃらなかったんですけど、事前に「自分で考えて乗ってこい」と言っていただいていたので、そこは自分で考えて。

──そうでしたか。ではなおさら嬉しい初勝利でしたね。ゴールしたあと、同じレースに騎乗していた同期の富田騎手(スズカコーズライン3番人気4着)に声を掛けられて、ようやく勝利を実感されたとか。

川又 そうなんです。もちろん、勝ったことはわかっていたんですが、富田くんに「おめでとう」と言われて、「ああ、これが“勝つ”ということなのか」と実感が湧いてきました。レース前、僕は富田くんが勝つと思っていて、実際に富田くんともそんな話をしていたんですけど…、差し切ってしまいました(笑)。

──デビュー自体も、同期に先駆けて3月2日の川崎で(デブリン10着)。地方と中央の錚々たるジョッキーが揃っていましたが、緊張はしませんでしたか?

川又 少し緊張しました。でも、先輩方が本当に優しくいろいろ教えてくださったので。馬もすごくおとなしくて、焦らずに乗れたと思います。

──ご家族やお知り合いがたくさん応援に来られていたそうですね。

川又 はい。地元が近いので(出身は東京都)、家族や中学のときの友人がたくさん来てくれました。姉が4人いるんですが、そのうち3人が来てくれていて、なぜか「ケンジー!」ではなく、「カワマター!」という声援が聞こえてきました(笑)。気を遣ってくれたのかもしれませんね。

──ファンのみなさんに少しでも名前を覚えてもらおうという、お姉さんたちの作戦だったのかもしれませんね。そもそも川崎でのデビューも、森先生の粋な計らいだったのでは?

川又 そうかもしれません。卒業式のときに、母に話をしてくださっていたようで。

──やはりそうだったんですね。それにしても、川又騎手がデビューしてからというもの、自厩舎の馬はほとんど手綱を任されていて。森先生の「新人賞を獲らせたい」という思いがひしひしと伝わってきます。

川又 本当にありがたいです。ただ、トップレベルでやってこられた先生なので、求められるレベルも高くて。だから、先生の期待に全然応えられていないんですけどね。

──まだデビューして1カ月と少しですからね。川又騎手から見て、森先生はどんな先生ですか?

川又 普段はすごく優しくて、冗談を言って和ませてくださったりします。でも、当たり前ですが、競馬となると厳しくて、普段の生活や服装なども厳しく指導していただいてます。よくおっしゃっているのが、「結果を残すのが当たり前の世界。結果を残せる騎手になれよ」ということ。なかなか結果を出せず、ずっとモヤモヤしていました。

──デビュー2日目には、スタートでの落馬もありましたね。

川又 そうなんです。あのときも人気の馬で(ジュンファイトクン3番人気)。すごく気性が難しい馬だったので、上手く呼吸を合わせることができず、本当に申し訳ないことをしました。

──デビューしてすぐだったので、トラウマになったりしなければいいなと思って見てました。

川又 人馬ともケガはなかったので、それは大丈夫です。ただ、一本背負いのような感じで落ちましたからね。ちょっと衝撃でした(苦笑)。ジュンファイトクンは、難しいところもありますけど、乗り味がすごく良くて、可愛くて、大好きな馬なんです。だから、ぜひまた乗せていただけたら…と思っているんですけど。

──それにしても、本当に強力なバックアップ体制が敷かれていますよね。

川又 本当に感謝しかないです。ユウチェンジは、去年のドバイ(UAEダービー3着)に一緒に行って、現地でも乗せてもらったりしていたので、いつかレースで乗れたらいいなと思っていた馬なんですが、デビュー週から乗せていただくことができて(3月5日・小倉12R・唐戸特別6着)。すごく嬉しかったんですが、結果が出せずに申し訳なかったです。それ以外にも、人気の馬に乗せていただいているんですが、全然思ったように乗れていなくて…。

──最初から思った通りに乗れるジョッキーなんていませんよ。

川又 わかってはいるんですが、でも“クッソー!”って感じです。けっこう自信もあったので…。

キシュトーーク

“クッソー!”って感じです。けっこう自信もあったので…


──デビューして鼻をへし折られましたか?

川又 完全にへし折られました…、はい(苦笑)。でも、気持ちの強さには自信があるので、ここから立て直していきたいです。

(文中敬称略、次回へつづく)

元祖「キシュトーーク」のレギュラー陣、国分恭介、国分優作、松山弘平、川須栄彦、高倉稜を中心に、栗東・美浦・地方からも幅広く、これからの競馬界を担うU25の若手ジョッキーたちが登場します!

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