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【新人一番星】川又賢治騎手(2)『ジョッキーになったきっかけは“坂井瑠星騎手”』

  • 2017年04月26日(水) 18時00分
第2回の今回は、中学時代からデビューまでを坂井瑠星騎手とのエピソードも交えて振り返ります


競馬をまったく知らなかったという川又騎手が騎手を目指すようになったのは、中学2年生のときに同じクラスだった坂井瑠星騎手の影響だそうです。彼と出会い、何を知り、自身の人生を決めたのか。第2回の今回は、中学時代からデビューまでを振り返ります。
(取材・文/森カオル)


狙って獲ったアイルランド大使賞、でも今は…

──すでに広く知れ渡っていることですが、ジョッキーになったきっかけは、坂井瑠星騎手の存在が大きかったそうですね。

川又 はい。中学2年生のときに同じクラスになって。

──メディアでは普通に「同級生」と書かれていますが、瑠星騎手いわく「同級生どころか、大親友です」と。

川又 あ、そう言ってました? 僕もそう思っているんですけど、自分からはなかなか言えないのでうれしいです。僕は競馬をよく知らなかったので、最初は馬に乗っているということ自体が珍しかったですね。そのうち、競馬のゲームを貸してもらったりして、毎日のように遊ぶようになって。

──競馬を初めて観たのも、瑠星騎手と出会ってから?

川又 もちろんそうです。瑠星騎手と仲良くなってすぐの頃だったと思います。馬事公苑で、実際に馬に乗っている姿も見せてもらいました。そうこうしているうちに、だんだんと興味が湧いてきて、僕もやってみようかなと。

キシュトーーク

競馬を初めて観たのも坂井瑠星騎手と出会ってから(写真は坂井瑠星騎手の初勝利時)



──ちなみに、話し方や雰囲気がすごく落ち着いていらっしゃいますが、それは中学時代から変わらず?

川又 中学時代はとにかく目立ちたくて、かなりうるさいキャラでした(苦笑)。先生にしょっちゅう怒られていましたね。

──瑠星騎手もそんな感じで?

川又 いえ、彼は頭がいいので…。僕はレッテルを貼られてしまったのか、やっていないことも全部僕のせいになってしまうようなキャラで、怒られるのはいつも僕でした。まぁそれだけヤンチャだったんですけどね。

──今のイメージとはだいぶ違いますね。

川又 そうですね。今も中学時代のキャラのままだったら、すぐに干されてしまう(苦笑)。

──ジョッキーを目指したことが、キャラ変のきっかけになったのですか?

川又 それはあると思います。競馬学校に入って、初めて人と真剣に競い合うということを知って、そこで変わったのかもしれません。

──なるほど。中学3年生のとき、進路を決めるにあたって、最初は瑠星騎手と一緒に競馬学校を受けたんですよね?

川又 はい、最初は一緒に受けました。でもそのときは、僕は落ちてしまって。乗馬経験がなかったので、落ちることは半ばわかっていたんですけどね。ただ、そこでどんな試験なのかを知って、来年はいけるんじゃないかという手応えをつかみました。

──乗馬経験がないにもかかわらず、強気だったんですね。

川又 そう思ったのは、経験というより気持ちの問題です。瑠星騎手が真剣に騎手を目指しているのを間近で見てきた僕にとって、大半の子より負けてないと思えました。だから、気持ちを強く持ってもう一年頑張れば、いけるんじゃないかと思いました。

キシュトーーク

気持ちを強く持ってもう一年頑張れば、いけるんじゃないかと思いました


──それでインターアクションホースマンスクールに入られたんですよね。そこは具体的にどんな学校だったんですか?

川又 牧場と高校が併設されているような学校です。そこで初めて馬に乗ったんですが、馬の上での視界や生き物の動きを知って、世の中にこんなに楽しいことがあるんだと思いました。それでもう夢中になって。そこには半年いたんですけど、楽しんでいる余裕もないほど、毎日必死でしたね。

──ご自身の手応え通り、二度目の試験で競馬学校に合格。入学前に半年間乗馬経験を積んだとはいえ、同期はもっともっと経験豊富な子ばかりで、そのハンデを埋めるのは大変ではなかったですか?

川又 最初はみんなに追いつけなくて悔しい思いもしましたが、同期がみんな仲が良くて、競馬学校自体が本当に楽しかったんです。担当教官もすごくいい方で、先輩方も優しくて。僕の期は恵まれていたと思います。

──卒業時には、技術面でもっとも優れた生徒に贈られるアイルランド大使賞を受賞されて。

川又 そうなんです、獲っちゃったんです(笑)。僕は同期と比べたら話題性がなかったので、技術で評価してもらうしかないと思い、確かに狙ってはいたんですけどね。本当に獲れるとは思いませんでした。あまり目立たなかったので。。。

──本来はヤンチャキャラなのに?

川又 もともと人見知りで、慣れた人にしか心を開かないので目立たなかったんです。でも見てくれている人は見てくれていて、あえて難しい馬にチャレンジしたり、誰もやっていないようなメニューを組んだり、僕なりに必死に頑張った3年間だったので。

──確かに関係者の息子さんが多くて、話題の期でしたものね。そんななか、自分に話題性を付加するために、アイルランド大使賞を狙って獲ったというのはすごいこと。有言実行ですね。

川又 でも、実際は全然話題にならず(苦笑)。今となっては、僕でいいのかな〜って思います。

──それはなぜですか?

川又 全然うまくいかないからです。「これがアイルランド大使賞かよ」と思われているはずなので、なんか逆に申し訳ないです。

(次回へつづく)

元祖「キシュトーーク」のレギュラー陣、国分恭介、国分優作、松山弘平、川須栄彦、高倉稜を中心に、栗東・美浦・地方からも幅広く、これからの競馬界を担うU25の若手ジョッキーたちが登場します!

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