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今年は上位拮抗の大混戦!/安田記念

  • 2017年05月31日(水) 18時00分

■安田記念(G1・東京芝1600m)フルゲート18頭/登録20頭


【特注データ】〜レースデータより〜



 東京芝で行われるG1ながら、先行勢がよく踏ん張っている安田記念。しかし、前走での上がり3F順位別での成績を見ると、前走最速上がりの馬が[4-3-2-12]で連対率33.3%、複勝率42.9%をマークしているように、前走上がりが優秀だった馬が総じて好調である。前走での上がりが3位以内の馬は、トータル[6-4-6-36]で複勝率30.8%、複勝回収率122%という高期待値。狙ってみる価値は十分にある。

 この「前走上がり3F順位3位以内馬」のなかでも、とくに期待できるのが内枠を引いた馬。内枠である馬番1〜6番に入った馬は、なんと[4-3-3-10]で連対率35.0%、複勝率50.0%と、半数が馬券に絡む大活躍を見せている。中枠や外枠に入った場合と比較しても、その成績は明らかに優位だ。

 出走が叶いそうな馬で、前走での上がり3F順位が3位以内であるのは、アンビシャス、イスラボニータ、エアスピネル、グレーターロンドン、サトノアラジン、デンコウアンジュ、ブラックスピネル、レッドファルクスの8頭。このうち、馬番1〜6番に入った馬を、今回の「特注データ」対象馬としたい。

【コース総論】東京芝1600m Cコース使用

※今回は「Cコース開催レース」だけを集計対象としています

・コースの要所!

★基本的には人気サイドが強いコースだが、紛れると大波乱もありうる。
★外枠は割引が必要。もっとも内容がいいのは中枠である馬番7〜12番。
★逃げ切るのは難しいが好位勢はけっこう粘れる。後方からだと厳しい。





 この春で3回目となる、東京芝1600mでのG1開催。今回は、先週からコース替わりしている「Cコース」に限定したデータをお届けする。コース全体のデータを知りたいという方は、NHKマイルCの「コース総論」をご参照いただきたい。

 まずは人気別成績だが、基本的には人気サイドが強いコース。3番人気以内[22-21-14-69]で連対率34.1%、複勝率45.2%と、その信頼度はかなり高い。4番人気以下はまんべんなく馬券に絡んでいる印象で、ふたケタ人気の超人気薄でも、買い材料さえあれば十分に狙えるはず。荒れるときはドカン!と荒れるのが、このコースの特徴だ。

 続いて枠番別成績だが、こちらは外枠が不利。まったくダメというほどではないのだが、信頼度・回収率がともに低く、枠番値もマイナス0.5とイマイチ。脚質を問わず、内〜中のほうがベターであるのは間違いない。あとは、外枠不利だが内枠有利ではないという点にも、注意が必要といえそうだ。

 脚質別では、先行勢と中団待機組が互角に張り合っている。東京芝ならばもっと差し優勢になりそうなものだが、勝率も複勝率もトップは先行勢。また、回収率も先行勢が圧倒的に高い。逆に不振なのが後方待機組で、さすがに4コーナー13番手以下からの競馬は厳しい様子。こちらは、人気馬でも過信は禁物である。

【レース総論】安田記念(G1) 過去10年

・レースの要所!

★人気サイドが強いレースだが穴馬が1頭は絡む。ヒモ荒れ要警戒。
★内枠が圧倒的に好成績なレース。脚質面は後方待機組だけが割引。
★7歳以上の高齢馬はやや割引が必要。距離短縮組の強さも目立つ。
★前走馬体重480キロ以上馬が好成績。前走480〜519キロがベスト。








 レースの平均配当は、単勝1065円、馬連6459円、3連複4万806円。3連複の平均配当だけが高いが、これは安田記念で「1頭以上は穴馬が絡む」という決着が非常に多いためだ。3番人気以内[7-5-1-17]で連対率40.0%と人気サイドがけっこう強く、人気薄によるワンツー決着などは考えづらいレース。3着に人気薄が激走するパターンが、安田記念の「王道」といえる。

 枠番別では、内枠である馬番1〜6番の好成績が目立つ。平均人気が8.7と高いのもあるが、平均着順8.1で枠番値プラス0.6と、それ以上の結果を残しているのだから大したものだ。コースデータでは「内枠有利ではない」と述べたが、レースデータがここまで内枠有利だと、こちらを信頼したほうが良さそうである。

 脚質面はコースデータ同様に、先行勢と中団待機組が互角に張り合う内容。連対率や複勝回収率は、ほぼ互角である。逃げ粘った馬も2頭いることから、よほど後方に置かれるような馬でもないかぎり、脚質は「不問」と考えていいはず。ただし、上がり3F順位の上位馬がそこまで好成績ではないのを考えると、軸足は先行勢に置いたほうがいい。

 年齢別では、高齢馬の成績不振が目立つ。6歳馬は複勝率22.9%と優秀な結果を残しているのだが、これが7歳以上になると、トータル[0-2-1-29]で複勝率9.4%と信頼度は一気にダウン。複勝回収率も44%と低く、少し割引が必要になる。そして前走距離別成績では、芝1800〜2000mからの距離短縮組が好調。「距離短縮>同距離>距離延長」という評価順となる。

 そして最後に、前走馬体重別での成績だ。前走馬体重479キロ以下馬は[1-1-4-50]とイマイチで、回収率も低水準。しかし、前走480キロ以上馬は[7-7-6-69]で複勝率22.5%と高信頼度で、回収率も単複ともに100%以上という、素晴らしい内容となる。前走馬体重が480〜519キロだった馬は、とくに注目したい。

【馬場&血統総論】


・現在の馬場
 引き続きCコース。先週から一気に差し馬場へとシフトした印象が強い。

・天候予測
 週末は曇り〜晴れで降雨はなさそうな雰囲気。良馬場前提の予想で。

・注目血統
 ディープインパクト産駒◎、メイショウサムソン産駒○、フジキセキ産駒▲、ローエングリン産駒△

 先週からCコースに替わった東京芝コース。先行勢に有利な馬場になるか──と予測していたのだが、フタを開けてみれば完全な差しバイアス。雨の影響もあったとは思うが、土曜日の芝レースは8枠に入った馬の全勝だった。土曜日ほどではないが日曜日も差しが決まりやすい馬場だったはずで、この傾向は今週も継続しそうだ。

 血統面は、ディープインパクトなど4種牡馬の産駒をプラスに評価。当コースにおけるディープインパクト産駒の強さは特筆モノで、連対率・複勝率ともに他を圧倒している。それに続く存在がメイショウサムソン産駒とフジキセキ産駒で、いずれも回収率は単複ともに100%以上。連対率や複勝率の高さも十分と、コース適性はかなり高い。あとは、ロゴタイプ以外の馬もけっこう強い、ローエングリン産駒にも注意が必要である。

★出走登録馬・総論×各論

 特注データに枠番を絡めてしまったのもあって、いつも以上に「枠番が決まるまで待って……」と言いたい気持ちが強い安田記念。netkeiba.comでの予想オッズは、現在はイスラボニータが1番人気である。それに続くのがエアスピネル、ステファノス、グレーターロンドンなど。上位拮抗の混戦で、ハイレベルなレースが楽しめそうだ。

 現時点でのトップ評価はイスラボニータ。ルメール騎手が乗るというだけで過剰に人気してしまいそうだが、ほとんどの項目でプラス評価となっており、評価を割り引く項目はゼロ。東京芝での実績や距離実績も十分で、勝ち負けになって当然といっても過言ではないプロフィルの持ち主である。馬番1〜6番に入れば、文句なしの大本命だ。

 二番手評価にステファノス。大阪杯からの距離短縮組で、しかもその大阪杯ではキタサンブラックから0秒1差の2着に好走している。その他の項目でもほとんどがプラス評価で、トップ評価であるイスラボニータとの差はほんの少しだけ。こちらも、かなりの高確率で好走が期待できるはずである。

 三番手評価に、昨年の覇者ロゴタイプ。先週から差し優勢の馬場にシフトしているのと7歳であるのが割引材料だが、その能力に衰えは見られず、ここも先行策からいいレースを見せてくれそう。中山記念からの距離短縮組であることなど、プラス評価となった項目の多さも十分だ。今年も、決して侮れない存在といえる。

 四番手評価にブラックスピネル。なぜか常にエアスピネルのほうが人気になるが、実際の能力にはほとんど差がないか、こちらが上という可能性もありそう。この「人気にならなさ」は大きな魅力で、この中間の稽古でもいい動きを見せている。音無厩舎&松山騎手に、ダービーの雪辱を果たすべく激走を期待する。

 以下はアンビシャス、レッドファルクス、エアスピネル、ビューティーオンリー、ヤングマンパワーという評価の序列だが、このあたりも大接戦で、評価差はほとんどなし。上位拮抗の一戦であるのは間違いない。


■総論×各論・先週の馬券回顧




東京10レース 東京優駿(G1)
1着 12レイデオロ
2着 04スワーヴリチャード
3着 18アドミラブル

……うまく噛み合わん(#^ω^)ビキビキ

特注データからの「順当決着」という見立ては正解で、大外を引いた18アドミラブルを3着でしか買わなかったのも正解。先週の当コラムをいま見返しても、間違ったことは言っていない。しかし、それでも当たらないのが真の馬券下手というものだ(自嘲)。03マイスタイルが残していたら、立ち直れないダメージを食らうところだったぜ……。

※コースデータは2012年以降、血統データは2014年以降、レースデータは2007年以降が集計対象です。
※枠番値は、当該枠番における「平均人気-平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

【予想】小林誠の勝負予想は『ウマい馬券』でチェック!

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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