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新しい発想で伸び伸びと戦ったサトノクラウン

  • 2017年06月29日(木) 12時00分


◆競馬の戦い方の典型を見せてくれた

 きょうは、もはやきのうの姿ではない。万物は日に新たで、刻々と変わってゆく。だから、われわれも、きょうの新しいものの見方を生み出してゆかねばならない。これは松下幸之助の「道をひらく」の中に出てくる言葉だが、実際の世界のみならず、他にも広く応用していい考え方だ。

 ものには見方がいろいろあって、どれが正しいかはわからない。時と場合に応じて自在に変えねばならない。いつまでも、ひとつに固執して身動きがとれないでは、新しい発想は生まれない。つまりは、心を窮屈にせず、伸び伸びと自由に解き放っておくべきということだが、宝塚記念を見て、こんな思いがあふれてきた。

 競馬は生きもの、レースは生きもの、どういう方向に動いていくかの予測は立てにくい。微妙な各馬の動きで、戦況は変化していく。出走馬11頭の人馬の意識が、どこに向っているか。そのときの一瞬の動きが、他の動きを支配する。

 どう走っても、展開はいつもこっちの思いのままに動かせると思わせていたキタサンブラックに対し、他は、全てがこれを封じるべく戦っていた。緩いペースを嫌ったサトノクラウンが中団から3番手にいるキタサンブラックの外に近づく。自ら展開をリードする筈の主役が、逆につつかれている。先を行くシュヴァルグランとシャケトラは、当然、後ろに続くキタサンブラックを意識しての策。フットワークの大きいキタサンは、これでは窮屈で、動こうとするが、4コーナーで先行2頭の外に上がるのが精一杯。前を動かして自分はいったんためていたサトノクラウンが、一気にこの3頭を捉えて抜け出すという結末になっていた。

 ひとつに固執せず、新しい発想で伸び伸びと戦ったサトノクラウンの勝利は、どう道をひらくかという競馬の戦い方の典型を見せてくれた。これをきっかけにどこまで存在を大きくしていけるか。一方、窮屈な思いをさせられたキタサンブラック。あれだけ走った天皇賞・春の達成感が大きかっただけに、精神的な疲労が大きかったのではないか。馬だって生きもの、いつも同じではない。これだけの馬がグランプリレースで勝てていない理由は見えている。

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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