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クナップフラウ 大きく見せる走りが魅力/吉田竜作マル秘週報

  • 2017年07月05日(水) 18時00分


◆記者は“自信あり”と判断したが果たして!?

 今や世界的な注目を集めるセリになった「セレクトセール2017」が次週の10、11日に北海道苫小牧のノーザンホースパークで行われる。近年は欧州でも、その出身馬が活躍。今年も世界中からホースマン&バイヤーが北の大地に集結することになるだろう。

 このセレクトセール、馬券に関わる“リアル競馬”には関係なく思われがちだが、ところがどっこい、うまく活用すれば、おいしい馬券にありつけるかもしれない。

「この馬の下がセレクトセールに出るんだよね。いい競馬ができそうもなければ、牧場サイドから“まだ待ってくれ”と言ってくる可能性もあるし、逆にいい競馬ができそうなら“使ってください”と言ってくると思う。そりゃあ、上が走れば、その下の売却(額)にも大きな影響が出るだろうから」とは野中調教師。そう、セレクトセール直前となる日曜(9日)の中京芝1400メートル新馬戦に管理馬のクナップフラウ(牝=父ルーラーシップ、母ディミータ)を出走させる予定なのだ。

 そして、この馬の2つ下のディミータの17(牝=父タートルボウル)が2日目(11日)の当歳セールに上場予定。姉が勝つようなら当然、紹介時に「姉は先日の中京競馬の新馬戦で…」という“セールストーク”が漏れなくついてくることになり、妹のセリ値もおのずと上がる…というわけだ。

 もちろん、メリットがあるのは主催者や生産者だけではない。こうした“意義の大きい一戦”を勝つことは、送り出すキュウ舎の知名度や信頼度を上げることにもつながり、これまで以上に有望な若駒を預かれるチャンスにもなる。当たり前の話だが、セレクトセールの直前は年に一度きり。関係者の“心理”を読み解くことで、今週末の馬券作戦に生かせるのではないか。で、クナップフラウこそが、その対象となるわけだ。

「本当は小さい馬なんだけどね。大きな馬と一緒に走っても、こちらの方がかなり大きく見えるくらい。ゲートも遅くはないし、順調に調整もできている。あとは気性だけかな。少し繊細なところがあるので…」と野中調教師。メチャクチャ強気には見えないだろうが、普段から慎重な物言いが多い人だけに、これでも十分に前向き。記者は“自信あり”と判断したが果たして!?

 セレクトセール関連の馬券作戦をもう一つ紹介すると、「今年の期待の新種牡馬狙い」も挙げられる。例えばすでに3頭が勝ち上がる好調な滑り出しを見せたロードカナロアでいえば、2世代目、3世代目にあたる馬がセレクトセールに上場されるわけだが、かつての名伯楽にして、毎年のようにセレクトセールに出向いていた松田博元調教師はこんなことを言っていた。

「新種牡馬というのは注目もされるし、初年度はお祝いの意味もあって値段が上がりがち。逆に2年目、3年目の産駒というのは案外、値段が落ち着くものなんだ」

 こうした買い手心理への対策もあって、特に社台スタリオンステーション所属の種牡馬の産駒は、この時期の新馬戦で結果を残すことに力を入れている。ゆえに“アドバルーン”となる目玉をこの時期に送り込むことが多いのだ。

 なかでも個人的に注目しているのはオルフェーヴル産駒。好調なスタートを切った新種牡馬が多い中で、現在まで未勝利。社台サイドとしては「セリの前にどうしても勝たせたい」だろうし、キュウ舎関係者もその期待に応えたいところ。ならば馬券的にも狙わない手はない。週末はオルフェーヴル産駒にも注目してほしい。

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2010年に創刊50周年を迎えた夕刊紙。競馬確定面「競馬トウスポ」(大阪スポーツは「競馬大スポ」、中京スポーツは「競馬中京スポ」)は便利な抜き取り16ページで、中身は東スポグループだからこその超充実ぶり。開催3場の全36レース(2場開催の場合は全24レース)の馬柱を完全掲載しています。

関東・舘林勲、大阪・松浪大樹の本紙予想のほか、記者による好評コラム(「一撃・山河浩、馬匠・渡辺薫など)、そして競馬評論家・井崎脩五郎、爆笑問題の田中裕二、IK血統研など超豪華執筆陣の記事も読みごたえたっぷり。馬券作戦に役立つ情報が満載です。

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