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真ん中よりも内を徹底的に重視!/函館記念

  • 2017年07月12日(水) 18時00分

■函館記念(G3・函館芝2000m)フルゲート16頭/登録18頭


【特注データ】〜レースデータより〜



 先にお断りしておくと、真の意味で函館記念の「特注データ」であるのは枠番だ。とんでもなく内有利&外不利であり、枠番が結果に与えている影響は非常に大きい。ただし、どの馬がどこに入るか現段階では不明であるため、具体的に名前を挙げづらい。それもあって、今回は「前走馬体重」を特注データの対象としたワケである。

 とはいえ、こちらもかなり面白いデータ。洋芝でパワーが必要とされるので大型馬が強いイメージだったのだが、前走459キロ以下馬が[3-2-1-11]と好成績であるなど、馬格のない馬であってもバンバン走っている。対照的に、強そうなイメージがあった前走500キロ以上の大型馬は、トータル[1-1-3-36]で複勝率12.2%、複勝回収率40%という低調な成績に終わっている。

 ならば、ここで買うべきは[8-8-6-72]と連対馬のほとんどを占めている、前走馬体重499キロ以下馬で間違いなし。登録馬で気になるのが人気を集めそうなサトノアレスで、こちらは前走510キロと、もっとも信頼度が低いパターンに該当している。あとはスーパームーン、ダンツプリウス、ヤマカツライデンの3頭も、買いづらいところである。

 ただし、前走馬体重が499キロ以下であっても、超不利な「馬番9〜16番」に入ってしまうと期待薄。逆に、馬番1〜8番に入った馬の好成績はご覧の通りで、文句なしに「買い」といえる好内容だ。とくに馬番1〜4番での成績は素晴らしく、回収率も単179%、複192%という強烈なまでの高さ。人気薄であっても、軽視は絶対に禁物といえる。

【コース総論】函館芝2000m

・コースの要所!

★人気サイドの信頼度が意外に低め。穴馬を積極的に狙うべきコース。
★コース形態からも内枠が有利で当然。外に入ると人気馬でもキツい。
★完全に先行勢が優勢のコース。後方に置かれるとその時点でアウト。





 正面スタンド前の引き込み線からスタートするので、最初のコーナー進入までにけっこう距離があるコース。となれば、枠番の内外による有利・不利はあまりなさそうなものだが、小回り&平坦の函館芝ではそうはいかない。内ラチ沿いを走れる馬が圧倒的に有利で、スッと前を取れるタイプであればベスト。よほど能力差がないと、外枠からの差しは決まらないコースである。

 函館というだけで堅く決まりそうなイメージだが、じつは人気サイドの信頼度が低いコース。勝率や連対率はそれなりに高いのだが、複勝率48.5%はさすがにいただけない。ここで狙うべきは4〜6番人気や7〜9番人気などの「中穴」で、とくにアツいのが複勝率が20.2%もある7〜9番人気。10番人気以下の大穴もけっこう激走率が高く、穴狙いのほうが間違いなく面白い。

 驚いたのが、冒頭でも解説した超ド級の「内枠有利」ぶりだ。単純に内外を比較したデータにおいても、連対率や複勝率には約2倍という大差が出た。さらに枠番値も、内は大幅プラスで外は大幅マイナスと、明暗ハッキリ。馬番9〜16番に入った馬は、評価をかなり割り引くべきだ。ちなみに、16頭立ての大外16番を引いて勝った馬は、2012年以降で1頭も出ていない。

 最後に脚質だが、これも徹底的に前有利。500万下〜重賞に限定した母数の少ないデータとはいえ、逃げた馬が[5-0-2-3]で連対率50.0%、複勝率70.0%と残りまくっているのは、偶然でも何でもない。4コーナーを11番手以下で回った馬が[0-0-0-54]と全滅しているのも、前有利のコースである裏付け。クラスが上がると差しが決まりやすくなるとはいえ、それを期待して馬券を買うと、大惨事となりかねないコースなのだ。

【レース総論】函館記念(G3) 過去10年(札幌開催を除く)

・レースの要所!

★1番人気は[0-2-0-7]と大不振。7〜9番人気など穴狙いの買い方が面白い。
★コースデータ以上に内枠有利・外枠不利。馬番1〜4番はそれだけで買い。
★コースデータよりは差せるが後方からは届かない。器用さが求められる。
★ハンデを「それなり」に背負う5歳以下馬が中心。関東騎手はイマイチ。








 1番人気が[0-2-0-7]とコケまくっている、近年の函館記念。レースの平均配当は、単勝869円、馬連8374円、3連複2万8146円である。1番人気がゼロ勝のわりに単勝の平均配当が低いのは、2〜4番人気が8勝をあげているため。つまり、1番人気はサッパリ信頼できないが、人気サイド全体がダメというわけではない。1着には、ソコソコの人気馬を狙ったほうが効率はいいだろう。

 注目すべきは、7〜9番人気の異様な強さだ。コースデータでも同様の傾向が見られるが、函館記念の7〜9番人気はトータル[1-4-6-16]で複勝率40.7%、複勝回収率229%という強烈な数値をマーク。過去9回で11頭が馬券絡みと、毎年のように1頭は馬券に絡んでいる計算となる。昨年も、9番人気のツクバアズマオーが3着に好走。今年はどの馬がこのゾーンに該当するのか、今から楽しみである。

 枠番はコースデータ以上に内枠有利・外枠不利。馬番9〜16番で勝った馬は1頭もおらず、内外を比較したデータにおいては、連対率で15%以上、複勝率では20%以上という、尋常ではない大差が出ている。とくに注目したいのが馬番1〜4番で、平均人気7.4に対して平均着順6.3と、枠番値はプラス1.1という驚異的な数値に。当然ながら信頼度や回収率の高さも素晴らしく、イメージ以上に有利であるのは明白だ。

 次に脚質だが、こちらは「後方に置かれたらアウト」という表現が正しい。コースデータよりも先行勢の強さが鳴りを潜め、中団からの差しがよく決まるようにはなっているが、それでも函館の短い直線で後方からでは届かない。3〜4コーナーでポジションを押し上げられるような、器用さや機動力が求められるレースである。

 年齢別では、7歳以上の高齢馬も[3-3-1-38]とそれなりに健闘しているが、強いのは5歳以下の若馬。とくに注目すべきは4歳馬で、こちらは[2-3-2-7]で連対率35.7%、複勝率50.0%をマークしている。3歳馬に関しては出走例が少ないので何とも言えないが、基本的には若さや勢いがプラスとなるレースであり、少なくともマイナスにはならないはずだ。

 ハンデ戦だと斤量を気にする人が多いと思われるが、こちらは意外に成績差がなく、どこからでも買えそう。もっとも信頼できるのは、トータル[5-3-5-39]で複勝率25.0%のハンデ56〜57キロ馬だが、ハンデ52〜53キロ馬も好走率はなかなかの高さだ。騎手に関しては、関東所属騎手の成績がイマイチであるのが、ちょっと気がかり。「関西馬に関西所属騎手や外国人騎手が乗る」パターンのほうが、格段に信頼できる。

【馬場&血統総論】


・現在の馬場
 先行勢が有利な例年通りの函館芝コース。ただし、時計は全体的に速い。

・天候予測
 土曜日あたりから天候が崩れる見込み。馬場が渋るケースも想定すべき。

・注目血統
 キングカメハメハ産駒◎

 ここまでにも繰り返し述べたように、直線が短くド平坦である函館芝では、そう簡単には差しが決まらない。少頭数で一団の競馬にでもなれば後方からでも間に合うが、フルゲート近い頭数でタテ長の展開になると、3〜4コーナーで加速できる器用さがなければ、勝ち負けには持ち込めない。土曜日から曇り〜雨になりそうな気配もあり、そうなると中団〜後方に位置する馬は、なおさら厳しい展開になると思われる。

 血統面は、キングカメハメハ産駒だけをプラス評価。ディープインパクト産駒の成績がそれほど良くないことや、シンボリクリスエス産駒が上位に食い込んでいることから、相応のパワーが求められる馬場であるのは間違いない。キレとパワーのバランスがもっとも馬場にマッチしているのが、おそらくキングカメハメハ産駒なのだろう。

★出走登録馬・総論×各論

 以上のように、函館記念は「枠番というファクターなしでは予想が成立しないレベル」で内枠が強いレースである。それだけに評価が非常に難しく、最終的な序列はここからガラッと変わる可能性が高いのを、あらかじめお伝えしておく。

 netkeiba.comでの予想オッズは、現在のところサトノアレスが1番人気に推されているが、1番人気が弱いレースであるのは解説した通り。また、スタートに不安定なところがある上に、前走馬体重という項目でもマイナス評価。実際、プラス評価となった項目はほとんどない。ここは「消し」で勝負するのが面白そうで、外枠でも引いてくれたらしめたもの。その場合は、1円も買わないスタンスで勝負したい。

 トップ評価は、「馬番1〜8番に入った場合の」レッドソロモンだ。近走の不振でおそらく人気薄となるだろうが、ハンデ56キロであることや、関西所属騎手が騎乗予定の関西馬であること、5歳馬であること、前走馬体重が480キロであることなど、プラス評価となった項目が非常に多いのだ。キレとパワーのバランスがいいメイショウサムソン産駒であるのも、いい方向に出そう。中団やや前の位置が取れれば激アツだ。

 二番手評価に、前走で鳴尾記念を制して勢いに乗るステイインシアトル。行こうと思えばハナにも行ける軽快なスピードがあるのは、ここでは大きな武器となる。タイプ的に内枠のほうがいいのは間違いなく、内枠になるか外枠になるかで、評価が大きく変わりそうな1頭。内の偶数枠でも当たれば、重賞連勝も十分にある。

 三番手評価にサクラアンプルール。G1の大阪杯では13着に大敗したが、この相手関係であれば見直されて当然である。中団やや前の絶好位をスッと取れる好センスの持ち主で、キングカメハメハ産駒であることなど、プラス評価となった項目の数も十分。中山芝を得意としているように、機動力に関してもここでは上位といえる。

 以下はマイネルミラノ、ツクバアズマオー、アングライフェン、ダンツプリウス、ヤマカツライデンという評価の序列……ではあるが、すべては枠番がどうなるか次第。人気馬が外枠に偏るような事態にでもなれば、大波乱まであっておかしくない一戦だ。


■総論×各論・先週の馬券回顧



中京11レース プロキオンS(G3)
1着 12キングズガード
2着 08カフジテイク
3着 14ブライトライン

完全な差し決着(#^ω^)ビキビキ

まあ、雨予報だったのが降らなかったり、トップ評価だったエイシンバッケンが回避したりと、嫌な予感はプンプンしておりました。上がり最速〜3位が綺麗にワンツースリーという結果では、手も足も出ませぬ。データを信頼していただいた皆様、誠に申し訳ございません!

※コースデータと血統データは2012年以降、レースデータは2007年以降(札幌開催を除く)が集計対象。
※枠番値は、当該枠番における「平均人気-平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

【予想】小林誠の勝負予想は『ウマい馬券』でチェック!

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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