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じっくり見ていきたい、新種牡馬の評価(須田鷹雄)

  • 2017年08月08日(火) 18時00分


◆オルフェーヴル産駒は「走らない」のではなく「遅い」?

 今年の2歳馬は新種牡馬のラインナップが豪華ということで注目されてきた。そしていざ新種牡馬産駒がデビューするとロードカナロア産駒が順調に勝ち上がり、一方でオルフェーヴル産駒がなかなか勝たないということでやきもきさせている。先週のロックディスタウンで2勝目、ロードカナロアの5勝に比べると物足りないと思われても仕方ない。オルフェーヴル産駒1勝、ロードカナロア産駒3勝で迎えたセレクトセールも、後者の産駒のほうが人気になっていた。

 しかし中身を見ていると、オルフェーヴル産駒は「走らない」のではなく「遅い」のではないだろうか。

 これまでオルフェーヴル産駒は12頭で15走。それに対してロードカナロアは25頭で32走。血統登録されている産駒はオルフェーヴル154頭、ロードカナロア180頭なので、「出てきた率」がロードカナロア優位という図式でもある。

 ただ、入厩していて未出走の産駒頭数はオルフェーヴル・ロードカナロアとも15頭。今後出走数バランスが整ってくると、オルフェーヴル産駒が差を詰めてきてもおかしくない。

 なにより差が出ているのはノーザンファーム生産馬の出走頭数だ。ロードカナロア産駒は8頭がデビューしているのに対し、オルフェーヴル産駒はなんとゼロ。在厩馬が4頭いるが、これが全部出てきても追いつかない(しかも後述のようにゲートのみの馬もいる)。

 もちろん早くに出てくることはいまの競馬界において重要だし、なにやらオルフェーヴル産駒の肩を持つような話になっていることは承知の上だ。それでもこんなことを書いたのは、種牡馬の評価というのは簡単なようでいて本当に難しいものだからである。

 記憶に強く残っているのはスペシャルウィーク。初年度産駒がデビューした03年、いきなり1頭めと2頭めが勝ち、評価がぐっと高まった。しかし3勝目はなんと12月6日。2歳戦全体で4勝に終わった。

 それが翌年は2世代になったとはいえ48勝、3年目は100勝。最終的にブエナビスタやシーザリオなどを出したことはご存知の通りである。

 現在進行形の話ではルーラーシップ産駒の激変ぶりがある。昨年は2歳戦で20勝をあげたものの、うち16勝(芝ダート含む)が1800m以上。20勝中8勝は12月に入ってのものだった。それが今年は5勝で昨年の8月末時点での勝ち星に1ヶ月近く早く並び、過半数の3勝が1600m以下。しかもウラヌスチャームのように上がり勝負を制する馬も出てきた。

 なぜそうなるのか、というのははっきり分からないのだが、種牡馬の評価で短気は禁物。ノーザンファーム生産のオルフェーヴル産駒はラッキーライラックが来週デビュー予定。オースオブゴールドやマルケッサはゲートのみのようだが、私が重いシルシを打ったアドマイヤツルギなども控えている。とりあえず夏のうちは様子を見て、評価を急ぎすぎないようにしたい。

須田鷹雄+取材班が赤本紹介馬の近況や有力馬の最新情報、取材こぼれ話などを披露します!

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