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ドイツの名門牝系から誕生したシュナイデン

  • 2017年08月09日(水) 12時00分
シュナイデン(牡 栗東・石坂正 父ステイゴールド、母サルヴェジェルマニア)
 母サルヴェジェルマニアは生産国のドイツでデビューし、芝2200mのG3で3着となったあとアメリカへ移籍。ボールストンスパH(米G2・芝8.5f)を制した。このときは道悪で、勝ち時計が速くなかったことも幸いしたのだろう。2代母Salve Reginaは独オークス(G1)の勝ち馬。その全兄弟のSamumとSchiaparelliは兄弟で独ダービー(G1)を制したほか、2頭合わせてG1を7勝し、前者は引退したあとドイツでリーディングサイアーとなった。活躍馬が目白押しの活気あるファミリーに属している。半兄サレンティーナ(父キングカメハメハ)は現3歳で2勝を挙げており、いずれOPクラスまで出世するのではないかとの期待を抱かせる。本馬と同じ「ステイゴールド×パントレセレブル」の組み合わせからは函館記念(GIII)4着馬アングライフェンが出ている。おそらく本馬も芝中距離でしぶとく活躍するタイプだろう。道悪は上手で、成長力があるので古馬になってからが楽しみな馬だ。

ハーツフェルト(牝 栗東・角居勝彦 父ハーツクライ、母マチカネタマカズラ)
 寒竹賞(500万下・芝2000m)を楽勝し、フローラS(GII)で1番人気に推された(8着)ホウオウパフュームの全妹。母マチカネタマカズラはクイーンC(GIII)3着馬で、2代母Sweet and ReadyはプリンセスS(米G2・ダ8.5f)の勝ち馬。「ハーツクライ×Kingmambo」の組み合わせは、ツルマルレオン(13年北九州記念-GIII)、ディアマイダーリン(15年クイーン賞-Jpn3)、コウエイオトメ(14年日経新春杯-GII・4着)など、芝・ダート、距離の長短を問わずさまざまな活躍馬を出している。本馬は母方にヨーロッパでよく見られるKingmamboとSadler's Wellsの組み合わせがあるので、比較的長めの距離で本領を発揮し、古馬になって充実してくるタイプだろう。姉を上回る活躍を期待したい。

ムールヴェードル(牝 美浦・手塚貴久 父ダイワメジャー、母ヴァンドノワール)
 ブラックエンブレム(08年秋華賞-GI、08年フラワーC-GIII)とピースエンブレム(準OP)の半妹。父はウォーエンブレムからダイワメジャーに替わった。母方にVaguely Nobleを持つダイワメジャー産駒は成功しており、ダイワマッジョーレ(13年京王杯スプリングC-GII、15年阪急杯-GIII)、サンライズメジャー(15年マイラーズC-GII・2着)、オリービン(12年アーリントンC-GIII・2着)、アストラエンブレム(17年エプソムC-GIII・2着)などが出ている。連対率25.7%、1走あたりの賞金額369万円は、ダイワメジャー産駒全体の17.7%、163万円を大きく上回る。本馬はアストラエンブレムの4分の3同血。芝向きのマイラーだろう。

ルソンデュレーヴ(牝 美浦・萩原清 父キングカメハメハ、母アコースティクス)
 日本ダービー馬ロジユニヴァース(父ネオユニヴァース)の半妹。母には4年連続でネオユニヴァースが交配され、次にディープインパクトが2年連続で付けられたが、ロジユニヴァースほどの大物は出ていない。本馬の父はキングカメハメハ。母と交配する種牡馬としては初の非サンデー系種牡馬となる。2代母ソニンクはランフォルセ(重賞4勝)、ノーザンリバー(重賞6勝)、ノットアローン(08年ラジオNIKKEI賞-GIII・2着)、ルミナスポイント(OP)などを出している名繁殖牝馬で、活発に枝葉を広げる優秀なファミリーに属している。母の父Cape CrossはSea the StarsやGolden Horn(いずれもカルティエ賞年度代表馬)の父で、ヨーロッパを代表する名種牡馬の1頭だが、日本の高速馬場で通用する素軽いスピードには欠けるところがある。本馬は2代母の父Machiavellianが日本適性の高いスピード血脈なので、うまくバランスが取れている。芝・ダート兼用の中距離タイプだろう。

レッドエクシード(牡 栗東・松永幹夫 父ディープインパクト、母セレブレイションキャット)
 母セレブレイションキャットは不出走ながら、Fantasticat(04年スーパーダービー-米G2)の全妹にあたり、2代母Lotta DancingはアフェクショニトリーH(米G3・ダ8.5f)の勝ち馬と、活気のある牝系に属している。「ディープインパクト×Storm Cat」はニックスとして知られ、エイシンヒカリ(16年イスパーン賞-仏G1、15年香港C-G1)、リアルスティール(16年ドバイターフ-G1)、キズナ(13年日本ダービー-GI)、アユサン(13年桜花賞-GI)、ラキシス(14年エリザベス女王杯-GI)など多くの活躍馬を送り出している。なおかつ本馬は、母にAlydar、Danzig、Northern Dancerのクロスを併せ持っている。このパターンのディープインパクト産駒は、ジェンティルドンナ(年度代表馬)、ミッキーアイル(16年マイルCS-GI、14年NHKマイルC-GI)、サトノダイヤモンド(16年菊花賞-GI、16年有馬記念-GI)など、ほとんど外れなく走っている。マイルから中距離で確実に走ってきそうだ。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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