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この血脈を手に入れる稀有なチャンス デインドリームの3番仔が上場

  • 2017年08月16日(水) 12時00分


◆よもや欧州のマーケットに出回るとは

 ヨーロッパを舞台としたイヤリングマーケットでは最高の品揃えを誇る、「タタソールズ・オクトーバー1歳馬セール・ブック1(10月3日〜5日、英国ニューマーケット)」の上場馬が確定した。

 タタソールズ・オクトーバー出身馬は、今年も相変わらず好調なシーズンを過ごしている。例えば、エプソムのG1コロネーションC、ロイヤルアスコットのG1プリンスオヴウェールズSを制し、通算G1勝利数を“6”に伸ばしたハイランドリール(牡5、父ガリレオ)は、13年の当セールにて46万ギニーで購買された馬だ。仏国に目を転じれば、G1ガネー賞を制したクロスオブスターズ(牡4、父シーザスターズ)が、14年の当セールにて40万ギニーで購買された馬だった。

 様々な距離カテゴリーで活躍馬を出しているのも当セールの特性で、今年も、13年の当セールにて8万ギニーで購買されたザティンマン(セン5、父エキアーノ)が、ロイヤルアスコットのG1ダイヤモンドジュビリーS(芝6F)に優勝。その一方で、15年の当セールにて33万ギニーで購買されたストラディヴァリウス(牡3、父シーザスターズ)が、グロリアスグッドウッドのG1グッドウッドC(芝16F)を制している。

 高額で取引された馬ばかりが走っているわけではなく、例えば、春にドバイでG1シーマクラシック(芝2410m)を制したジャックホブス(牡5、父ホーリング)は、13年に当セールのブック2において、6万ギニー(当時のレートで約995万円)で購買された馬だったし、今年3月に豪州でG1ニューマーケットH(芝1200m)を制したレッドカークウォリアー(セン6、父ノットナウケイト)に至っては、12年に当セールのブック2において、2万2千ギニー(当時のレートで約295万円)で購買された馬であった。高額馬がきっちりと期待に応えているだけでなく、廉価での掘り出し物を探し当てることも可能なマーケットとなっている。

 今年は、3日の開催を通じて502頭が上場予定。ここには、G1勝ち馬/クラシック勝ち馬の弟妹が41頭、母がG1勝ち馬/クラシック勝ち馬という馬が30頭も含まれるという、空前の品揃えとなっている。

 つまりは目玉商品だらけなのだが、中でも、ヨーロッパの競馬サークルは勿論のこと、日本の競馬サークルをも震撼させる驚きの出物が、上場番号416番の牡馬だ。父は、欧州のトップサイヤー・ドゥバウィー。そして母は、G1凱旋門賞、G1キングジョージ6世&クイーンエリザベスSという、欧州古馬12F路線の2大競走を含めて、5つのG1を制したチャンピオン牝馬のデインドリームなのだ。

 デインドリームは、3歳秋に社台ファームの吉田照哉氏がトレードで獲得。現役引退後も吉田氏の所有馬として、英国のニューセルスパーク・スタッドで繁殖生活を送っているが、そのデインドリームの3番仔にあたるのが、上場番号416番である。

 これ以上は望むべくもない、世界的に見ても最高級の血統に加え、所有者が日本を拠点とするオーナーブリーダーゆえ、よもや欧州のマーケットに出回るとは誰も考えていなかったというのが、市場関係者の本音である。それだけに、この血脈を手に入れる稀有なチャンスとあらば、世界中の競馬関係者の目の色が変わるのも無理からぬところである。ちなみに、オクトーバーセール・ブック1には、母デインドリームの牡馬以外にも、G1キングジョージ6世&クイーンエリザベスS、G1インターナショナルSなど4つのG1を制したポストポンドの全弟にあたる上場番号451番の牡馬など、総勢30頭のドゥバウィー産駒が上場を予定している。ちなみに昨年のオクトーバーセール・ブック1の最高価格は260万ギニー(当時のレートで約3億4944万円)で、この価格がついた馬が2頭出現したのだが、その2頭はいずれもドゥバウィー産駒であった。デインドリームの子にどれだけの値が付くか、今から楽しみである。

 種牡馬でいえば、初年度産駒から日本のオークス馬ソウルスターリングを送り出した史上最強馬フランケルにも大きな注目が集まる。フランケル産駒は、3日間を通じて14頭が上場予定。G1独オークス勝ち馬ペネローパの半弟にあたる上場番号35番の牡馬、G1英オークス勝ち馬タレントの半妹にあたる上場番号155番の牝馬、G1カナディアン国際勝ち馬サラリンクスの半妹にあたる上場番号247番の牝馬、母がG1BCディスタフ勝ち馬アドレーションという上場番号312番の牡馬。G1ターンブルSなど豪州で2つのG1を制している現役馬ハートネルの半妹にあたる上場番号424番の牝馬。G1アベイドロンシャン賞勝ち馬トータルギャラリーの半妹にあたる上場番号427番の牝馬などが、特に大きな注目を集めそうなフランケル産駒である。

 更に、今年の1歳が初年度産駒の新種牡馬では、鋭い瞬発力を武器に4つのマイルG1を制したキングマン(その父インヴィンシブルスピリット)の産駒が25頭もスタンバイしている。中でも、G1仏オークス勝ち馬スターオヴセヴィルの半弟にあたる上場番号244番の牡馬、G1メイトロンSなど2つのG1を制したラコリーナの半弟にあたる上場番号246番の牡馬、G1コロネーションS勝ち馬フォーレンフォーユーの半弟にあたる上場番号456番の牡馬らは、見るからに魅力的な血統背景を持つキングマン産駒である。

 今年の1歳が初年度産駒となる新種牡馬では、英国と愛国のダービーに加えて、G1インターナショナルSを制したオーストラリア(その父ガリレオ)も、忘れてはならない存在だ。というのも、彼が制した英ダービー、インターナショナルSは、いずれもGood to Firm という硬い馬場状態で行われており、こういう馬場が得意だったオーストラリアが、日本向きの子を出してもおかしくはないと、筆者は見ている。

 オーストラリアの子は、オクートバーのブック1に20頭がスタンバイ。中でも、G1ローマ賞勝ち馬ポテムキンの半妹にあたる上場番号152番の牝馬、G1オペラ賞勝ち馬リダシーナの半弟にあたる上場番号177番の牡馬、G1アスコットGCなど2つのG1を制している現役馬オーダーオヴセントジョージの半弟にあたる上場番号337番の牡馬などは、ぜひ実馬を見てみたいオーストラリア産駒である。

 凱旋門賞の直後となる10月3日から5日は、日本の皆様もぜひ、ニューマーケットにご注目いただきたい。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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