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【秋競馬へ突入】飛躍の秋を目指して!トップホースたちの夏 ―アルアイン、サトノアーサー、アラジン、ダイヤモンド編―

  • 2017年09月04日(月) 18時01分
GIドキュメント

▲皐月賞馬アルアイン、二冠へ向けて夏にどんな調整を行ったのか詳細レポート (撮影:下野雄規)


多くのGI馬がレースの合間に利用するノーザンファームしがらき。栗東トレセンよりも急勾配の坂路の他に周回コース、ウォーキングマシーン、トレッドミルなど充実した設備を有する。栗東トレセンから車で約30分という立地上、調教師が管理馬の様子を毎週のように見に来ることも可能で、この春はノーザンファームしがらきからゴールドドリーム、アルアイン、サトノアラジンなど多くのGI馬を輩出した。今回はノーザンファームしがらきに潜入し、秋のさらなる飛躍に向けて英気を養う有力馬たちを取材してきた。(取材・文:大恵陽子)

※取材日:8月14日時点での情報に基づいて執筆


ここに10日いるだけでも全然違う


 最近、レース予想をする上で外厩が重要視されている。単にのんびりと休養させただけなのか、坂路である程度騎乗していたのか、どの施設を使われたのか。そういったことで、馬柱の「休養明け」の意味が変わってくる。さらに最近は馬柱に記載されない3か月未満の短期放牧も増えている。

 短期放牧についてノーザンファームしがらきの松本康宏場長はメリットをこう説明する。

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▲ノーザンファームしがらきの松本康宏場長


「例えば、レースを2、3回走った後にノーザンファームしがらきにやって来て10日だけ滞在。トレセンに戻って2週間でレースに出走したとします。そうすると、ノーザンファームしがらきでの10日は必要だったのか? という疑問も生まれてくると思います。

 トレセンって、あの環境にいるだけで煮詰まる馬もすごくいるんです。というのも、馬がたくさんいて、あそこに行くと調教が強くなったり、競馬に行かないといけないというのを馬も分かったりするんです。走るのが好きな馬ならいいですが、カイバを食べられなくなる馬もいます。そういう馬にとっては10日のリセットでも全然違うのかなって思いますね」


 栗東トレセンから近く、山に囲まれた静かで広大な土地だからこそ担える役割なのだろう。もちろん、数週間でなく1か月以上滞在することもある。

「メインはリラックスさせることですが、トレセンに帰って調教を何でもできる状態で送り出したいと思います。トレセンでレースに向けて調整する前段階の調整ですね。どの馬もコツコツやることは一緒。あとは馬の状態を僕や厩舎長、スタッフ含めみんなでジャッジして調教師に伝えます」

 今回取材してきた有力馬たちは秋の大一番に向けてリフレッシュと前段階の調整をされてきた。ここからレポートしていく。

安田記念で念願のGI馬に・サトノアラジン


 まずは松本場長が「2歳の頃からGI馬になると思い続けていた」と喜ぶサトノアラジンから。デビューから25戦目の安田記念で念願のGIタイトルを手にした後、レースの疲れもなく元気な状態でノーザンファームしがらきに来た。

 大外を回りながらも上がり3F最速をマークしたが、村上太郎厩舎長は「GIがあれば使いたいくらいの状態で戻ってきました」と振り返る。

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▲デビューから25戦目の安田記念で念願のGIタイトルを手にしたサトノアラジン (撮影:下野雄規)


 これだけいい状態なのには2つ理由があった。

「池江先生の馬の作り方が、そこまで無理をさせないようにしていると思います。どの馬もいい状態でこちらに帰ってくるんです」

 もう1つはサトノアラジン自身の成長だった。

「若い頃は1回のレースでのダメージがすごく大きかったんです。その疲れを取るのにすごく時間がかかった時期がありました。今年になってようやく馬がしっかりしてきて、疲れを溜めすぎない体になってきました。本格化してきたなと思いますね」

 自身の持つ高いポテンシャルを支えられるだけの体力がついてきたのだろう。

「春も2戦しかしていませんし、秋までも時間があるのでゆっくり疲れをとってからじっくり立ち上げました。明日、15-15の速めの調教をするので、今日はそこに向けた足慣らしで坂路をハロン17秒くらいで上がりました」

 足慣らしとはいえ、迫力ある蹄音を立てながら坂路を駆け上がってきた。(※調教の様子は動画でご覧いただけます)

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