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【ユーイチの視点】オールカマー回顧『牡馬を蹴散らしたルージュバック 馬は素直に強い競馬をした』

  • 2017年09月27日(水) 18時02分
祐言実行

▲1年ぶりの勝利を飾ったルージュバック、一方で北村宏司騎手の騎乗停止も(撮影:下野雄規)


あそこで被害を食い止めたのは皇成のファインプレー


 オールカマーで、(戸崎)圭太から(北村)宏司に手替わりしたルージュバック。こういうときは、以前とは違ったレースをしてくるのではないかと注目していたが、実際、抜群のスタートから好位のラチ沿いを確保。そこから4コーナーまで、絶好のポジションをキープしていた。

 が、勝負どころでの斜行により、宏司は2日間の騎乗停止に。おそらくカギとなったのは1番人気ステファノスとの位置関係で、宏司の心理に与えた影響は少なくなかったはずだ。

 あのシーンを振り返ると、2番手のディサイファの外からまさに今、ステファノスが上がってこようという態勢で、宏司にしてみればディサイファの内か外かの2択だったわけだが、迷わず外に進路を取ったように自分の目には映った。おそらく、内を選んだ場合、マイネルミラノが下がってきたときに、進路がなくなるリスクを考えてのことだろう。

 しかも、外からはステファノスがきていた。ステファノスは、道中からずっとルージュバックを見る形で運んでおり、勝負どころの隊列も、外からルージュバックの動きをブロックできる位置関係。おそらく宏司は、「ブロックされる前に外に出したい」と思い、直後にいたマイネルディーンが下がり切る前に外に進路を取ってしまった。観ている人は、「内を選べばよかったのに」と思うかもしれないが、それはあくまで結果論。もちろん、斜行は危険な行為ではあるが、ジョッキーが迫られる一瞬の判断として、宏司の気持ちは容易に想像がつく。

 それにしても、マイネルディーンの皇成は上手く引っ張った。落ちていてもおかしくなかった距離感だったことを思うと、あそこで被害を食い止めたのは皇成のファインプレーだ。8月の騎乗停止で再教育になった自分としても、改めて身が引き締まる思いがした。

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祐言実行とは
2013年にJRA賞最多勝利騎手に輝き、日本競馬界を牽引する福永祐一。まだまだ戦の途中ではあるが、有言実行を体現してきた彼には語り継ぐべきことがある。ジョッキー目線のレース回顧『ユーイチの眼』や『今月の喜怒哀楽』『ユーザー質問』など、盛りだくさんの内容をお届け。

1976年12月9日、滋賀県生まれ。1996年に北橋修二厩舎からデビュー。初日に2連勝を飾り、JRA賞最多勝利新人騎手に輝く。1999年、プリモディーネの桜花賞でGI初勝利。2005年、シーザリオで日米オークス優勝。2013年、JRA賞最多勝利騎手、最多賞金獲得騎手、初代MVJを獲得。2014年のドバイDFをジャスタウェイで優勝。

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