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売れた高馬はどこへ行く!?(須田鷹雄)

  • 2017年10月03日(火) 18時00分


◆「穴っぽい血統は早期デビュー馬にこだわるべし」

 オータムセール初日が終わったところでこの原稿を書いている。初日序盤は静かな立ち上がりだったが、終わってみれば売却率73.6%。好景気はまだ続いているようだ。

 牧場が自分のリスクで競馬を使うことなく、セールの時点で利益を確定できるのは良いことである。ただ、これほどまでに売却率が高く、かつ価格も上がっていることを考えると、売れた馬、特に一定価格以上の馬(その絶対数が増えている)はどこに着地するのだろうという疑問が浮かんでくる。

 いままで主取りになっていた馬のうち、その後の庭先取引でも売れなかった馬は、牧場自身が馬主として使うことが多かった。このグループは道営デビューが主だったと思うのだが、その絶対数は減る。ということは、来年の道営2歳戦はいままでより空くということになりはしないか。

 一般馬主の買った馬も、その価格が上がっていることを考えると行き先は限られる。賞金水準が回復しているとはいえ、これだけ馬が高いと中央か南関東にならざるをえない。

 そもそもこの騒ぎは、中央に新しい馬主が増える→セレクトがえらい高値になる→難民がセレクションに流れる→セレクションの難民がサマーに流れる……という構図で起きているわけだ。現時点で把握のしようはないが、「中央行き」の絶対数は増える。

 そうなっていくと、最終的には検疫が取れないとか、除外が多いとか、そういう流れができてもおかしくない。POG的にどんな影響があるかというと(本物の馬主にとっても同じなのだが)、入るべきときに入厩して走るべきときに走るという、当たり前のことが難しくなりかねないということだ。

 それでも、厩舎のエース級とか、セレクトで億超えといった馬はさすがに問題なく使えるだろう。問題は、相対的に立場の弱い馬がどうなるかということだ。そこから逆算して考えると、「穴っぽい血統は早期デビュー馬にこだわるべし」というPOG戦略が思い浮かぶ。

 もともと穴血統がPOG本に取り上げられる場合は仕上がりの早い馬であることが多いはずだが、それとは別に皆さんそれぞれ楽しみにしている穴血統馬というのはいるはず。しかし、適切なタイミングでスタートして、より多いレース数を使えるのかどうか。限られている枠に対して「乗車率」が高まる以上、穴タイプは早期デビュー馬にこだわったほうが安全ではないだろうか。

須田鷹雄+取材班が赤本紹介馬の近況や有力馬の最新情報、取材こぼれ話などを披露します!

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