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何か目的を心に抱くから、希望が生じてくる

  • 2017年10月05日(木) 12時00分


◆調教に工夫を凝らし堂々の主役に

 やりたいことがない者には、希望はない。何か目的を心に抱くから、希望が生じてくるとは、日野原重明さんが遺した言葉の中に出てくる。すべからくそうあるべしということだが、競馬は、全てにおいてそうなっている。勝ちたい、タイトルを取りたいとレースに出てくる。また、そこまではいかなくとも、その可能性を見い出したい、明確な目的を持てるような結果がほしいと出走している。

 スプリンターズステークスで連覇を達成したレッドファルクスは、デビュー当時から左後肢に疲れが出やすいこともあり、ダート戦や左回りを中心に負担の少ないところを選んで走っていた。去年勝ったときは、管理する尾関知人調教師に開業8年目にして初めてのGIタイトルをもたらしたのだが、右回りの中山で快勝したことで、以後はチャンピオンとして恥ずかしくない戦いを心に決めていた。

 去年の3番人気から今年は堂々の主役に。ベストとは思っていない中山の6ハロンであっても、それだからこその対策をと考え、調教に工夫を凝らしていた。スピードの持続力はあるので、あとは万が一、内にとじ込められたときのことを考え、内から併せる形のけいこをしていたのだ。

 レースでは、去年よりも後方の位置どりで内に馬を入れていたデムーロ騎手は、「思ったより行き脚がつかなかったが、ずっと手応えはよかった」と言っていた。直線の坂の手前で外に出てからの末脚の凄さ。それを知っているからこそのデムーロ騎手のプレイ。力強い王者の走りは、是非タイトルをという強い希望に裏打ちされていた。次なる目的は、去年逃した最優秀短距離馬に選ばれること。そのための準備が、これから始まる。

 レッツゴードンキは、巧く最内を突いて一旦は抜け出しにかかったところを差されて2着だったが、この桜花賞馬はスプリント能力が高いのは間違いない。当初からの大目標、香港スプリントに希望の持てる2着だった。

 豪州産のメラグラーナは後方から差し届かずだったが、自身は1分7秒台で走っているので7着でも悲観する内容ではない。もっとレースが流れればいいのだから。武器は持っている馬だと思う。次に希望を。

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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