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【バースデー企画(4)】「とことんお父さんに付いていきます」娘・息子からの手紙

  • 2017年10月17日(火) 18時01分
小牧太

バースデー企画最終回!長女・ひかりさんと長男・加矢太さんから見る“父親”の小牧騎手とは


今回はいよいよ、バースデー企画の最終回。最後は長女・ひかりさん、長男・加矢太さんからのお手紙を紹介します。現在、ひかりさんはバレットとして“ジョッキー・小牧太”を支え、加矢太さんは馬術の世界で活躍。はたしてそれぞれの目に映る父親の背中は、ふたりの人生にどんな影響を与えたのでしょうか。(取材・文/不破由妃子 ※撮影協力:和彩温(南草津))

■「大きな舞台で一緒にGIを勝ちたいです」
【参加メンバー】
鮫島良太騎手、川須栄彦騎手、高倉稜騎手、『競馬ニホン』荒木敏宏さん(エージェント)、『スポーツニッポン』菱田誠さん(長年の友人であり、小牧騎手のコラム『金言! 珍言!』の担当記者』)、『加圧トレーニングスタジオ WAY』淨閑延浩さん(トレーナー)、長男・加矢太さん、長女・ひかりさん、以上8名。

応援してくれる人がいるから頑張れる


<10月3日更新分の続きで、最後は長女・ひかりさん、長男・加矢太さんからのお手紙を紹介します>

『お父さんへ

 誕生日おめでとう。こうして普段から父を支えて下さっている方たちに集まっていただけて、娘としても誇りに思います。

 去年一年は、お父さんのなかでも思い通りの結果が残せず、悔しい一年間だった反面で、そのなかで家族がひとつになって、やれるところまでやり切ろうという強い決意ができた一年でもありました。そういう意味では、去年があったからこそ、気持ちの面でも今年は全然違うと思います。

 今年は相次いでお休みをもらうことになってしまって、お父さんはもちろん、私も凄く悔しかったです。でも、そんななかでも、今しか出来ないことを見つけて、すぐに行動していた姿はすごく格好良かったです。誰もが出来ることではないと思います。

 お父さんの夢は私の夢でもあって、ひとつひとつの勝利ももちろんですが、やっぱり大きな舞台で一緒にGIを勝ちたいです。これからも私はバレットとして、とことんお父さんに付いていきます。よろしくお願いします。

  ひかり』


小牧太

ひかりさん「大きな舞台で一緒にGIを勝ちたいです」


『父へ

 お誕生日おめでとうございます。50歳の節目の年ということで、遥々遠いところ(千葉)からやってきました。これからも年齢を感じさせないパワフルな騎乗を期待しています。でも、ケガにはくれぐれも気を付けて、親父なりにコツコツやっていってもらえると嬉しいです。

  加矢太』


小牧太

加矢太さん「親父なりにコツコツやっていってもらえると嬉しいです」


小牧 ふたりともありがとう。

──お父さん、泣くところですよ(笑)。

小牧 なんや、みんな泣くの待っとんたんか。まぁ、ちょっと花嫁の父の気分がわかったわ(苦笑)。

──いつも「僕は全然子育てに参加していない」とおっしゃっていますが、今ではひかりさんはバレットとして小牧さんを支え、加矢太くんも影響を受けて馬術の道に。やはりお二人にとって“小牧太”という存在は偉大なんだなぁと改めて思います。

加矢太 育てられたという記憶はあまりないんですけどね(笑)。

小牧 そやろ? オムツも一度も替えへんかったもんな。

加矢太 ただひとつ、すごく覚えてることがあって。小さい頃、分厚い布団のなかで抱きくるめられて寝ていたのをすごく覚えてる。

小牧 ああ、一緒に寝てたもんね。俺の歯ぎしりをずっと聞かせられてた(笑)。

加矢太 うん。布団のなかはすごく熱くて苦しかったんだけど、俺なりに我慢をしてた。なんで我慢してたのかなって考えたら、たぶん嬉しかったんだと思う。今でも鮮明に覚えている親父の記憶はそれくらいかな。

ひかり 私はほとんどお父さんとの記憶がなくて。それこそ一緒にいる時間が増えたのは、バレットを始めてから。それまでは、そんなに喋ったりもしなかったし。

小牧 俺は基本的に自分本位やからねぇ。ただ、家族みんなが一生懸命に生きていることはわかっていたから、安心していたところもあった。

──当初、加矢太くんはJRAのジョッキーを目指していたんですよね?

加矢太 はい、そうです。そもそも馬に携わりたいと思ったきっかけは、ジョッキーへの憧れもあったんですけど、それ以上に父と共通の話題を作りたかったから。今だから言えることですけどね。

小牧 良太の弟(鮫島克駿騎手)と一緒に(JRAの)試験を受けに行ったんだよな。

加矢太 うん。身長がまだまだ伸びると判断されたこともあったと思うけど、それ以上に、けっこう俺は生意気やったからね。まぁ今もそうだけど(苦笑)。そういうことも含めて落とされたんだと思ってる。でも、今は馬術の世界がすごく楽しいし、仲がいい松若のレースとか観ていても、俺にはできひんかったやろうなぁと思う。俺はそんなに根性がないので(苦笑)。根性は全部こっち(ひかりさんを見て)に持っていかれた(笑)。だから、あのとき合格していれば…という思いはなくて。

──松若くんとは、どういったつながりで仲良くなったんですか?

加矢太 トレセンのなかの乗馬苑にはジョッキーを目指すジュニアチームがあるんですけど、そこで一緒だったんです。今でもたまにご飯を食べに行ったりしてます。

──競馬は毎週、チェックされているんですよね?

加矢太 はい。昼間は仕事なので、なかなかリアルタイムで観ることはできませんけど。やっぱり、成績はもちろん、今週は父が何鞍乗っているかとか気になりますからね。レース自体はまったくわかりませんが、去年と今年で騎乗フォームが違うのは何となくわかります。去年に比べて、軸というか馬の重心をとらえてるなって。今年から始めたトレーニングの成果もあると思いますけど。

ひかり メンタルも去年とは全然違う。去年は本当にマイナスなことばかり言っていたから。

──技術面の変化は加矢太くん、メンタル面の変化はひかりさんが、それぞれにとらえているんですね。

ひかり メンタル面でいえば、私より母のサポートのほうが強力だと思いますよ。母自身がすごくポジティブな考え方なので。

加矢太 大きいレースを勝ってほしいという気持ちはもちろんありますが、ケガをしない、させないことがやっぱり一番。それ以外、今の父に望むことはないです。

ひかり 私も。今年に入ってのメンタル面の変化が、少しずつでも先々に繋がっていってくれると信じています。

──では、小牧さん、最後に一言いただけますか?

小牧 今日はみんな集まってくれて本当にありがとう。50歳になったからどうのこうのというのはなくて、今日ここにいる良太、川須、高倉はもちろん、みんなに負けないように変わらず頑張っていきたいと思ってるんでね。今日はねぇ、感動してなさそうに見えたかもしれんけど、最初に店に入ってみんなの顔が見えたとき、めっちゃ感動したんやから。

荒木 そっかぁ、隠してたんや。

小牧 そう。本当はものすごく感動しててん。

川須 小牧さんがウルウルきてるの、僕見ました!

小牧 見られてたか(笑)。改めて、本当にありがとうございました。良太たちはライバルやけど、こうやって応援してくれる人がいるから頑張れるんやろうしね。これからもどうか、小牧太を応援してやってください。
小牧太

「これからもどうか、小牧太を応援してやってください」

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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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