サイレンシーオ。
エリザベス女王杯は静かに馬券を買い、静かに当てる。
1・2人気のどちらが来るかを静かに考え、来ると思う方を軸にして、7人気まで馬連を買う。
これでほぼほぼ、ほぼほぼ当たる。
………………………………………………!!!!
たしかにそうだ。
去年は3人気が1着し、12人気が2着して馬連13710円の万馬券になった。
しかし、エリ女の21年の歴史(距離2200)で、1・2人気のどちらも連対しなかったのは、去年と8年前(1着クィーンスプマンテ11人気、2着テイエムプリキュア12人気。1人気ブエナビスタは3着)の2度だけ。
去年の結果だけを見て、揺さぶられてはいけない。荒れた8年前の翌年は4人気・2人気・1人気の決着で、静けさは戻った。
だから今年も1・2人気を見て、来ると思う方を軸にして、7人気まで馬連を買う。おそらくそれが正解のはず。
去年の出来事に揺さぶられることなく、エリ女の校則を静かに守ろう。
だが、しかし。
しかし、だが。
自分は去年、その校則を破って、2着したシングウィズジョイの複勝とシングウィズジョイからのワイドを買ってしまった(買った理由は
去年のコラムにて)。
そう静かに校則を破ったのだ。
そして静かにレースを見た。先行したシングウィズジョイがいい感じで先行して、直線を向いて、抜け出してきたときには静かに震えた。
それは内部から沸き上がってくる震え。外からほぐされるバイブレーションも気持ちはいいけれど、内から自然に沸き立つ震えは格別だ。
あれから1年。今でもあのときのナチュラル・バイブレーションの感触が背骨を中心に肩甲骨のあたりにかけて残っている。そう、自分は味を占めてしまったのだ。ひぃ〜〜!
だから、あれこれ考えずに1・2人気を大事にし、7人気まで買えばいいとわかっていながらも、去年味わった「ゆらぎ」を忘れられずにいる。
買った馬券は複勝とワイド(1〜3人気へ)。
でも、シングウィズジョイはあわや1着のクビ差の2着だった。
もっと上手においしい馬券を手に入れられたのではないか? そんなことばかり考えている。今も絶対軸馬の米田幸憲さんの
最新刊「絶対フォーカス」を読みながら考えている。
「馬券の買い方はルールで決めた方が絶対にいい!!」
「予想と買い目構築、どちらが楽しいか?」(言うまでもなく予想!!)
「(予想に全力投球したら)そこから先の買い目構築はコメダにお任せください!!」
キャッチが力強い。
アルアインの一口馬主でもあるレジェンド山本昌さんが絶大な信頼を寄せるだけのことはある(表紙でも推薦している)。いつ読んでもコメダ氏は歯切れがいい。
「買い目を決めれば後悔しない」
「レース後にはタラレバ星人がいっぱい」
ともある。1年前の馬券の買い目をいまだにあーでもない、こーでもないとタラタラレバレバ言ってる自分には突き刺さる!
でも、実際、本書の目玉「絶対フォーカス・フローチャート」に従って、買い目を出すと……
軸馬が決まった(シングウィズジョイ)。
↓
相手本戦は3頭だったから、3頭へと進む。
↓
そこからチャートを下り、出走頭数13頭以上へと進む。
↓
軸馬の人気は12人気だから「C’・軸人気薄タイプ」のP72へ進め!
詳細は記さないけれど、2列目に一工夫のあるコメダ式3連複は合点の行くもので、このとおりに買えばエリ女の3連複(20680円)も夢を抱きながら15点で的中できていた。結果的に3人気・12人気・2人気の決着だったけれど、3着と4着が入れ替わっていたら、もっと大きなバイブレーションを体感できる買い目だった。手堅さと大きなゆらぎを同居させる買い目。まさに構築だ。
ちなみに本書は、資金1500円、3000円、6000円の3パターンで構築していて、馬券ファンの現実に則していて、使い勝手がいい。予想行為が好きで、構築が苦手な人には最適だ。でも競馬を長く楽しむとはどういうことか? そんなフィロソフィーを探している人にも向いてるように思う。馬券の買い目のルールづくりとは、自身の馬券哲学を具象化したもののように思えてくるからだ。
巻末の対談で山本昌さんが語っていた『岩瀬買い』にもちょっと魅かれた。岩瀬とはもちろん中日の岩瀬投手のことだ。自分もどこかで試してみたいけど、エリ女ではないな…。
エリ女はコメダ式のパターンCかC’が自分には向いてる気がする。
静かに校則を守りつつ、ゆらぎも待てるからだ。
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デムーロとデムーロ
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ルメールと武豊がクラシックを賑やかした3歳牝馬の有力どころに騎乗しないのに対して、Mデムーロは3歳牝馬に騎乗する。
ルメール 4歳ヴィブロス
武豊 7歳スマートレイアー
Mデムーロ 3歳モズカッチャン
ルメールのヴィブロスは最初からエリザベスでの騎乗込みの依頼に思える。ディアドラはアドマイヤミヤビの替わりの騎乗であって、秋華賞は代打ホームランみたいなもんだろう。
武豊は、南部杯マイルチャンピオンのコパノリッキーを断って、京都大賞典でスマートレイアーに騎乗していた。たとえそこで1着できなかったとしても、エリザベスに勝つために手放したくなかったと受け取れる。
だからルメール、武豊の騎乗馬選択にはほとんど違和感はない。
でも、Mデムーロの選択は謎めいていて、気になる。
本当は謎なんていっさいないのかもしれないけれど、来週のマイルチャンピオンシップといっしょに考えると、ついついミステリーの方へと走ってしまう。
エリ女
Mデムーロ モズカッチャン
Cデムーロ クイーンズリング(去年のエリ女1着馬・前走もMデムーロが騎乗)
マイルCS
Mデムーロ ペルシアンナイト
Cデムーロ レッドファルクス(スプリンターズS連覇、安田記念3着馬。前走もMデムーロが騎乗)
自身が騎乗したG1実績十分な馬に騎乗せずにG1未勝利の3歳馬に騎乗する。しかも2週連続で。これはただ事ではない。
秋華賞を1着、2着した馬にルメールも武豊も騎乗しないのに、Mデムーロは秋華賞3着の馬に再び騎乗する。うむ、どう見てもただごとではない。
あれ? 3歳ってレベルが低いんじゃなかったの?
でも、先週、アルゼンチン共和国杯でスワーヴリチャードは56キロという3歳としては酷なハンデの中、きちんと1着した。
もしかして、Mデムーロの騎乗する3歳馬だけはレベルが高いってか!?
仮に3歳世代が全体的に記録のレベルが低いとしても、騎手には馬上感覚もあるはず。一流騎手であればあるほど、過去の名馬の背中を知っているわけで、その比較は無視できない。
Mデムーロが、お付き合いや兄弟愛で馬を選んだのではなく、純粋に馬上感覚で選んだのならば、そこには最大級の敬意が必要なのではないか?
思えば、秋華賞の時のコラムで、Mデムーロの騎乗馬について、菊花賞とセットで注目と書いた。
Mデムーロが2週に渡りG1で非社台グループの生産馬に騎乗していたからだ。
秋華賞 モズカッチャン 3着
菊花賞 キセキ 1着
モズカッチャンは道中早々と落鉄していたという。それでも見せ場タップリに3着した。キセキは圧倒的な強さで圧勝した。
自分は、Mデムーロは欲しがり屋さんだと思っている。
そこには悪い意味は全くない。
ピュアにチャンスのある馬に乗りたい。そして勝って、勝って、勝ちまくりたい。純粋に1着がいっぱい欲しい。
それは秋華賞、菊花賞でも証明された(ような気がしている)。
だから、今回も純粋にチャンスのある方を選んだと思いたい。Mデムーロがハービンジャー産駒が大大大好きだから選んだとは思いたくない(モズもペルシアンも父ハービンジャー)。
というわけで、秋華賞・菊花賞をセットで注目したのと同様に、今回もエリ女とマイルCSをセットで注目することにした。
エリ女 モズカッチャン
マイルCS ペルシアンナイト
Mデムーロの欲しがり屋の馬上感覚はここでも炸裂するか!?
ちなみにモズカッチャンの予想人気は6人気。
7人気以内で合格だ。
ヴィブロスとスマートレイアーよりも前で競馬ができそうで、クロコスミアかプリメラアスールの作る流れに前で乗れれば、普通にチャンスがあるのではないか? 仮にクロコスミアがひじょ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜にいいペースで逃げたとしても、前にいれば間に合うだろうし。
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エリザベス女王杯・注目馬
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とはいえだ。
Mデムーロが騎乗していたG1実績のある馬2頭にCデムーロが騎乗するのは気になる。
表がMデムーロならば、裏はCデムーロ。
とも思えて来るからだ。
でもこれはこれで面白い。
クイーンズリングは全成績6-2-0-9。走るときは限りなく1着なのが魅力だ。それは古馬になって一層磨きがかかってるように思える。
今回の短期騎乗で、Cデムーロは重賞に5回騎乗して、2-0-0-3。Cデムーロも好走するときは1着で、そこも魅力だ。
今週、どのような馬場になるかはわからないけど、ルメールや武豊が前が止まりにくいと判断し、早めに仕掛け過ぎたら、表と裏がひっくり返るかもしれない。
クイーンズリングは予想では現在8人気。おっと1つ足りないな。実オッズでは7人気になってもらおう。
というわけで、今年のエリ女はコインを投げて、表か裏が出るのを静かに待つことにした。
表・モズカッチャン
裏・クイーンズリング
相手・1・2人気。
表かな? 裏かな?
もちろん投げたものがコインではなく、サイコロだったら表も裏も関係ない。
投げたコインがデムーロ・コインでありますように〜。
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ジュールポレール・マキシマムドパリ
エリ女で穴を開ける馬は後ろよりも前にいる馬が多い。この2頭は前で競馬ができる馬で、しかもG1で3着したこともある。ジュールポレールは前走1600万だけど、単勝1.7倍の断然人気の期待に応えて勝ったのがいい。マキシマムドパリは前走(京都大賞典)の負け方が悪くなかった。
去年ほどのゆらぎ感はないけど、前の馬が残るときはそんなもんだ。