スマートフォン版へ

2017ホッカイドウ競馬開催終了

  • 2017年11月15日(水) 18時00分
2017ホッカイドウ競馬開催終了

ホッカイドウ競馬が80日間の日程を消化し、今年度の開催を終了



順調に業績が回復しつつあると、改めて実感させられた1年


 去る11月9日(木)。ホッカイドウ競馬が80日間の日程を消化し、今年度の開催を終了した。今年は、途中で霧の発生により、9レースを取り止める日があったものの、他は終日開催中止に追い込まれるような天候悪化もなく、割に平穏に推移した。

 最終日の9日は、「第60回道営記念(H1)」と「第5回ブロッサムカップ(H3)」の豪華重賞二本立て。この時期特有の気温ながら、幸い天候にも恵まれて、門別競馬場は最後の生の競馬を楽しもうという数多くのファンで賑わった。

 第11レースの「ブロッサムカップ」(内回り1600m)は2歳牝馬による重賞で、14頭が出走。5番人気クロスウィンド(佐々木国明騎手)が、直線、ビジネスライク(吉原寛人騎手)との叩き合いを首差制し、重賞初制覇となった。父ヴァーミリアン、母プリンシプルレディ、母の父アグネスデジタルという血統の2歳牝馬で、若松平厩舎の管理馬。馬主は泉俊二氏、生産は浦河・(有)大北牧場。通算成績は6戦2勝、2着1回。獲得賞金は464万円。

2017ホッカイドウ競馬開催終了

ブロッサムカップを制したクロスウィンド

2017ホッカイドウ競馬開催終了

ブロッサムカップ口取り風景

 続く、第12レース「第60回道営記念」が、今年度のホッカイドウ競馬の最後を飾る大一番である。ホッカイドウ競馬に在籍する一線級15頭(5番ドレミファドンは出走取消)が顔を揃えた。

 1着賞金は1000万円。人気の筆頭はオヤコダカ。今年も開幕してからずっと門別では主役を務めており、コスモバルク記念、赤レンガ記念など4重賞で優勝している。

2017ホッカイドウ競馬開催終了

人気の筆頭となっていたオヤコダカ

 続く2番人気はドラゴンエアル。前走の瑞穂賞でオヤコダカを退けて勝っており、評価が急上昇した。3番人気は中央〜園田を経て今年からホッカイドウ競馬に出走しているステージインパクト。今季、門別では6戦4勝と好成績を残している。

 午後8時40分。ポラリスドーム内で静内高校吹奏楽部が奏でるファンファーレが場内に鳴り響き、いよいよゲート入りが始まる。距離は2000m。馬場状態は不良である。

 各馬が一斉にスタートし、最初のゴール前を通過して行く。ワットロンクンがレースを引っ張り、オヤコダカが続く。向こう正面を過ぎ、3コーナーでオヤコダカが先頭に立つ。そのまま4コーナーを回り、勝利が見えてきた時に、外側から猛然と五十嵐冬樹騎手のステージインパクトが襲いかかり、直線は見応えのあるマッチレースとなった。

 やや遅れてドラゴンエアル、スティールキングもスパートするがちょっと届かない。五十嵐騎手の必死の追い込みに応えて、ゴール前、アタマ差でステージインパクトがオヤコダカを抑え、1着でゴールインした。

2017ホッカイドウ競馬開催終了

ステージインパクトが道営記念を制す

 ステージインパクトは父ヴァーミリアン、母クラッシードレス、母の父エリシオという血統の牡5歳馬。佐久間雅貴厩舎の管理馬で、馬主は一村哲也氏。生産は日高町・高山牧場。通算成績はこれで22戦11勝となり、獲得賞金は中央分と合わせ1983万2000円となった。五十嵐冬樹騎手はこのレース、昨年のタイムビヨンドに続く連覇で4度目の勝利、また佐久間師は初勝利であった。

2017ホッカイドウ競馬開催終了

引き上げてくる五十嵐騎手とステージインパクト

2017ホッカイドウ競馬開催終了

道営記念口取り風景

 これで今年の全日程を終えたホッカイドウ競馬は、好調なネット発売に支えられ、今年度は昨年の203億円を大きく上回る246億円を売り上げて、121.1%の大幅な伸びを記録した。計画対比でも114%と健闘し、順調に業績が回復しつつあることを改めて実感させられた1年であった。

 とりわけ今年は、所属2歳馬の遠征による活躍が顕著で、ダブルシャープ(クローバー賞)、リュウノユキナ(すずらん賞)など、中央での好成績も目立った。さらに、ホッカイドウ競馬が閉幕した直後の12日(日)、水沢競馬場で行われた「南部駒賞」には5頭が遠征し、9頭立てのこのレースで、ダモンデが優勝、マッドドッグが2着、ヒガシウィザードが3着と、地元勢を圧倒したことも追記しておきたい。

 ただ、一方で不安材料がないわけでもない。ひとつは極端に高いネット発売依存度である。ホッカイドウ競馬の場合、80%がネットと電話投票による発売分で、その割合は年々伸びている。その反面、苦戦しているのが、本場及び道内各地に展開する場外施設での発売で、とりわけ本場における発売分は全体のわずか2%未満に過ぎない。

 中央地方を問わず今は電話、ネット発売への依存度が高まりつつあるが、ホッカイドウ競馬の場合はそれがより顕著に表れており、今後はいかに本場を含めた道内発売分の割合を増やしていくかが課題であろう。

 周辺人口の少なさから、本場の入場者を増やすのはかなり至難だが、最も効率の良いのが本場での発売であり、続いて道内各地の直営場外である。こうした「自前で賄う分」をいかに増やして行くか、知恵の出しどころである。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング