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ここで勝ち負けできるなら、間違いなくクラシック候補/阪神JF

  • 2017年12月09日(土) 18時00分


◆オルフェーヴル産駒のGI挑戦にはファンも生産界も大注目

「新馬→重賞」の2連勝馬が2頭いて、それがともに今年の新種牡馬オルフェーヴル(その父ステイゴールド)産駒。2頭ともにこの父系にしては大型牝馬で、480〜490キロ台のスケールあふれる馬体に恵まれている。この1600mがギリギリとか、ベストというわけではなく、おそらくもっと距離は延びても大丈夫。

 ここで勝ち負けできるなら、間違いなくクラシック候補だろう。新種牡馬オルフェーヴル産駒のGI挑戦とあって、ファンも、生産界も、大注目である。

 その注目にはさまざまな角度がある。というのは、オルフェーヴルは現在、新種牡馬ランキング3位につけているが、現時点の成績に限れば、見る人によってまったくバラバラのとらえ方がある。

 全国で7日現在、産駒が多く、73頭がデビューしている。何頭が勝ち上がっているか?

 同じ新種牡馬で、目下新種牡馬ランキング1位のロードカナロアは、ほぼ同じような出走頭数で27頭が勝ち上がり、計32勝している。新種牡馬ランキング2位のヘニーヒューズも、楽に20頭を超える勝ち馬を送っている。

 しかし、3位のオルフェーヴルはわずか7頭だけ。勝ち上がり率は10パーセントにも満たない。ただし、たった7頭のうちの2頭が注目度の高い札幌2歳S(ロックディスタウン)と、同じく重要になりつつあるアルテミスS(ラッキーライラック)を勝っているのである。だから目下ランキング3位。

 オルフェーヴルは、ステイゴールド産駒らしく自身と同じような「大物」を送る種牡馬になるのではないか、と思われていた。期待どおりのスタートである。

 だが、阪神ジュベナイルFに人気の2連勝馬を2頭も送るとは…、でもある。ロードカナロアなら不思議はないが、同馬の産駒はまだ地域重賞も勝っていない。

 こんなに勝ち上がり率が低くて大丈夫なのか? というと、3冠馬オルフェーヴルは、3歳の2月までわずか1勝馬だった。その父ステイゴールドは、未勝利を脱出したのは、3歳の5月、6戦目のことである。2歳の早い時期にポンポン勝つような父系ではなく、3歳になると勝ち上がり率も上がるだろうと考えることはできる。

 ただし、大物を送る種牡馬は往々にして、走る馬と走らない馬の落差が大きいことは否定できない。ファンは大物を送る可能性を秘める種牡馬が好きでも、勝ち上がり率には程度というものがあり、生産界にとっては、牧場の規模も関係して、オルフェーヴルに対する評価はかなり分かれる危険は否定できない。

 記録の裏付けはないが、オルフェーヴル産駒は人気になっても、その人気に応えていないという声もある。

 ここまで1600mを2戦2勝。東京のマイル戦を1分34秒9(上がり34秒7)の標準以上の好タイムで、非常に力強いフットワークで勝ったラッキーライラックから買いたい。バランスのとれた馬体に育ちそうであり、流れに合わせて動ける自在型に成長してくれることを期待したい。穴馬は、追ってからの動きが光ったモルトアレグロ。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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