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ラッタッタ有馬記念

  • 2017年12月21日(木) 12時00分


「フェブラリーってなんだっけ? 図書館?」
「細長い牛みたいな隣が土ってやつと、隣がカタカナのヒみたいなやつ」
とかましてみたり、
右回りのレースを左回りの体勢で観戦してみたり。

天然にもほどがある驚異のボケをかましてくれたあの4人が有馬記念のCMでは「有馬記念は特別なレース」であることを認識してそうな雰囲気を醸している。

今年のCMが世間にどう評価されているのか自分はわからないけれど、右回りと左回りを間違えるボケを高畑充希に「実際」にCMと同じように真横で披露されたら………………

キュンとなる! うむ、確実になるね。まあ高畑充希の演技が上手で、それにコロっと騙されてるだけかもしれないけど…。そういう騙しなら大歓迎さ!カモーン!

逆に有馬のCMでの柳楽優弥のセリフ「子供の夢はサンタクロース、大人の夢は有馬記念」を実際に横で言われたら、「これじゃ社台の運動会だよ」とこれみよがしにドヤ顔で言われるのと同じくらい、リアクションに困る。でもCMの、あの世界観の中で柳楽優弥に目力を込めて言われるとなんだか許せる。前々から柳楽優弥には、織田裕二的な……おっと話が逸脱してしまいそうだ。

とにかく有馬記念のCMには一連のボケがかまされてないって話だ。

まあ競馬を1年やったら、有馬には特別な何かがあることをどんな天然の人でも察知できるということだろう。

だが、しかし。
ボケがまぶされていないレースCMは有馬記念だけではなかった。ダービーのCMでもボケは一切まぶされてなかった。

木村カエラがコース上に一人で立ち、凛とした趣で「ラッタッタ」と口ずさんでいたのが今年のダービーCM。どちらかといえば、あの4人は脇に追いやられていた感じだ。

つまり、ダービーと有馬記念だけはふざけ、いや、かますのを封印したとも言えるわけだ。
なぜだろう? 
封印しないと誰かに怒られるとCMの制作陣やクライアントが忖度したのかな。でも誰に忖度するのだろう? 考えられるのはダービーと有馬記念は特別と認識しているであろう多くの競馬ファンにだろう。きっとそうだ。

自分は、有馬で今年最大のボケが見られるのでは? と少々期待していたけれど、それはひねくれ者の世迷い言であって、正解は「大人の夢は有馬記念」なんだろう。

ところで、木村カエラがラッタッタと歌う「HOLIDAYS」を聞いて何を思い浮かべるだろうか?

JRAのサイトには「7つの色が重なる虹」をイメージして歌詞を作ったとあるけれど、歌詞に「Let's enjoy the HOLIDAYS!」とあるように、要は休日を楽しもうという歌だ。

ただ齢50のおっさんにはホンダの女性用原付バイク「ラッタッタ」(正式にはロードパル)が思い浮かんでしょうがない。でもバイクのラッタッタも休日の過ごし方をテーマにしていたから、木村カエラの歌と同じようなコンセプトで方向性は同じように思える。

そう、ラッタッタは休日をワクワクさせる魔法のことばなのかもしれない。

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ラッタッタが不足していないか?
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去年から秋の中距離G1戦線の賞金体系が以下のように変わった。

天皇賞秋 1着賞金1億5000万円
JC    1着賞金3億円
有馬記念 1着賞金3億円

で、去年どうなったか?
天皇賞・秋→ジャパンカップ→有馬記念の路線を歩む陣営が完全にいなくなった(詳細は去年のコラムにて)。

そもそも、この10年で、この路線で有馬記念を勝った馬はジェンティルドンナしかいなく、2着3着になった馬も6頭しかいなかった。馬券圏内30頭中で7頭だから、特に主流と呼べるものではなく、さらにJC3億円・有馬記念3億円となったら、余計に天皇賞・秋→ジャパンカップ→有馬記念を歩む理由はなくなる。欲しいのは当然JCと有馬だろう。

一方、有馬記念を勝つ馬は、この秋3戦目の馬が多い(9月からを秋と設定)。
この10年でも、
3戦目 7勝
2戦目 1勝
4戦目 2勝

天皇賞・秋→ジャパンカップ→有馬記念の路線では勝ちにくく、でも3戦目は勝ちやすい。
だから必然的に「天皇賞・秋→ジャパンカップ→有馬記念」ではない路線で3戦目の馬が多くなる。それが自然だし、学習というものだろう。

去年は16頭中11頭が有馬が3戦目で、3頭が4戦目で、2頭が2戦目だった。前記したように「天皇賞・秋→ジャパンカップ→有馬記念」組は1頭もないなかった。
で、
1着 サトノダイヤモンド 3戦目 
2着 キタサンブラック  3戦目
3着 ゴールドアクター  3戦目

1・2・3人気でワンツースリー。しごく真っ当な結末、自分にとっては真っ当にもほどのある結末だった。

ところがどっこい!
今年は「天皇賞・秋→JC→有馬記念」路線の馬がけっこういる。5頭もいる。人気馬もいる。

キタサンブラック  3戦目(天皇賞秋・JC)
サトノクラウン   3戦目(天皇賞秋・JC)
シャケトラ     3戦目(天皇賞秋・JC)
ヤマカツエース   3戦目(天皇賞秋・JC)
レインボーライン  3戦目(天皇賞秋・JC)

カレンミロティック 3戦目(京都大賞典・ア共和国)
クイーンズリング  3戦目(府中牝・エリ女)
サウンズオブアース 3戦目(京都大賞典・JC)
シュヴァルグラン  3戦目(京都大賞典・JC)
トーセンビクトリー 3戦目(府中牝・エリ女)
ブレスジャーニー  3戦目(菊花賞・チャレC)
ルージュバック   3戦目(オールカマー・エリ女)

サトノクロニクル  4戦目(セントライト・菊花賞・チャレC)

サクラアンプルール 2戦目(天皇賞・秋)
スワーヴリチャード 2戦目(ア共和国)
ミッキークイーン  2戦目(エリ女)

キタサンブラックやサトノクラウンらが「天皇賞・秋→JC→有馬記念」組だ。
このローテでは有馬記念を勝ちにくいことは当然知ってるはずで、それでもこのローテを歩むのだから、確信的出走だろう。全部勝つつもりはないけど、1つか2つ勝つのにこのローテは捨てがたかったということか。実際、ジェンティルドンナは勝ったのだから。絶対に勝てないローテではない。

一流厩舎が吟味して選んだ選択だろうから、簡単にナイガシロにはしにくい。ただ誤算もあったのではないか。それも1つではなく2つ。

1 天皇賞・秋の不良の極悪馬場は誤算ではなかったか?
2 JCの勝ち時計2:23.7という速い時計も誤算ではなかったか?

最近はあまり語られていないけど、JCの勝ち時計が2:24.0より速いと消耗して、有馬では勝ち負けしにくい傾向が強まると言われていた。

以下はこの10年で有馬記念で馬券圏内に好走した前走JC馬。2:24.0より速いと3着が精一杯なことがわかる。

アドマイヤモナーク2着 JC 2:26.3
エアシェイディ  3着 JC 2:23.0 ←
ヴィクトワールピサ1着 JC 2:25.2
ブエナビスタ   2着 JC 2:24.9
エイシンフラッシュ2着 JC 2:24.9
トゥザグローリー 3着 JC 2:25.0
ルーラーシップ  3着 JC 2:23.5 ←
ゴールドシップ  3着 JC 2:27.5
ジェンティルドンナ1着 JC 2:24.0
サウンズオブアース2着 JC 2:25.0
キタサンブラック 2着 JC 2:25.8
ゴールドアクター 3着 JC 2:26.4

今年のJCの勝ち時計は2:23.7。
1着 シュヴァルグラン 2:23.7
2着 レイデオロ    2:23.9
3着 キタサンブラック 2:23.9

ヌヌヌ。
こういう時は、2:24.0より遅い時計で走った馬を狙う方がいい。けれど、今年そういう時計で走って、有馬記念に出走する馬はみんな天皇賞・秋も走っている。

ただでさえ好走するのが難しい「天皇賞・秋→ジャパンカップ→有馬記念」ローテなのに、そこに天皇賞・秋の不良馬場とJCの高速決着が重なる。なかなかの試練ではないか?

以上を踏まえて、
秋3戦目の馬から「天皇賞・秋→JC」ローテ馬と「JCで好走した馬」を引けば、有馬記念で1着する馬がみえるはず。
さらに3歳馬は前走菊花賞、古馬は前走G1で惨敗してない、もしくはG2で1着しているのが望ましい。
そんな条件も加えて、振るいにかけて残った秋3戦馬は、

0頭

ワオ! ノン・ラッタッタ!

この秋、3歳馬がいっぱい重賞を勝って、大いに賑わせている。3歳馬がそれだけ強いのかもしれないし、夏に急成長をとげた馬も多いのかもしれない。しかし、自分は全体的に古馬が疲れているようにも見えた。重馬場や不良馬場が多かったというよりは、ここ1年くらいの好走による疲労が少しずつ蓄積しているような……そんな印象を抱いていた。蓄積によるラッタッタ不足。

だからまだ蓄積疲労が少ない3歳馬が食い込めたのではないか? 
そういう視点で見ると、古馬は休み明け初戦や2戦目の方が成績がいいように思えてくる(今回のメンバーも概ねそんな感じだ)。

つまり、例年では秋3戦目が強い有馬記念だけど、今年は2戦目を重視してもいいのではないか? と思うわけだ。

有馬記念が秋2戦目の馬は以下の3頭。

スワーヴリチャード 2戦目(ア共和国)
ミッキークイーン  2戦目(エリ女)
サクラアンプルール 2戦目(天皇賞・秋)

うん、自分には眩しく見える3頭だ。特に天皇賞・秋を使っていないスワーヴとミッキーにはラッタッタがいっぱい残っているように思える。

スワーヴリチャードについては、アルゼンチン共和国杯のときに3歳馬がハンデ56キロで1着するのは相当キツイけど、逆に勝ったらG1で勝ち負けする馬になると記した。

そういう馬がMデムーロで引き続き出走する。アルゼンチンのときは、その後もMデムーロが騎乗するのかわからなかったので、書きにくかったけど、今なら書ける。「G2レースを1着させたくて、Mデムーロを招聘したとは思えない」と。

ミッキークイーンは休み明け2戦目勝負が完全に出来上がっている。

休み明け 1-3-2-0
2戦目 3-1-0-2
3戦目 0-1-1-1

3勝の2戦目がどうみても勝負であることがわかる。2戦目の馬券圏外2回は、休み明けで1着した次走のヴィクトリアマイル7着と、去年の有馬記念5着。

今年も去年と同じようにエリ女で3着して、ここに出走してきた。去年の5着からは、なかなか勝ち負けをイメージしにくいけれど、去年上位着順だったサトノダイヤモンド、ゴールドアクターがいないこととキタサンブラックとヤマカツエースが去年より消耗していると仮定すると、今年の方がミッキークイーンのチャンスは上がっていると解釈できる。

サクラアンプルールはちょいナイガシロ系だけど、得意の中山で内枠でも引いたら、3着の穴馬としては拾えそうだ。

というわけで、スワーヴリチャードとミッキークイーンに注目することにした。
予想オッズはいかがなものかな?
スワーヴリチャードはある程度人気でもしょうがないけど、ミッキークイーンは……

スワーヴリチャード 2人気
ミッキークイーン  4人気

オットット!
ミッキークイーンがサトノクラウン(5人気)より人気があるなんて!
サトノクラウンはあのムーアが乗るのですぞ!
サノトクラウンは1着か馬券圏外ホース(7-1-1-7)で、いくら心配事があっても、単勝だけは人気になっていいホースですぞ!
宝塚記念ではサトノクラウンがミッキークイーンに0.3差つけて1着してますぞ! してますぞ! してますぞ!

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有馬記念・注目馬
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スワーヴリチャード 1人気じゃなければしょうがない。
ミッキークイーン 少しでも人気が下がりますように〜。
クイーンズリング  内枠に入るといいな。

春からずっとMデムーロとルメールの同時重賞騎乗について書いている以上、有馬記念でそれをナイガシロにはしたくない。だからMデムーロのスワーヴリチャードに魅力を感じつつも、ルメールのクイーンズリングにも注目しようと思う。

前走のエリ女のレースぶりからは、走る気が感じられた。ラッタッタな活力は残っていると判断したい。それにこの馬は内回りも悪くないと思っている。

ルメールの有馬記念でのいい線狙う競馬(勝ちには行かない競馬)は、内でじっとして、ささっと抜け出る競馬のはず。理想はエイシンフラッシュで2着した6年前の有馬記念。4枠5番から5、6番手を追走して、内から抜け出して2着したあの競馬だ。5年前2着したオーシャンブルーの競馬でもいい。あのときも3枠6番だった。だから枠は重要だ。もちろん内がいい。何枠に入るかな?


ちなみにラッタッタが何語なのか検索してみた。正直、よくわからなかった。ただホンダの原付バイクのCMではイタリアの女優ソフィア・ローレンが出演して、ラッタッタ〜と言ってエンジンをかけていた。イタリア語かな? 

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阪神C・注目馬
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シュウジ・典さん
モズアスコット・土曜日のデムーロ

先週のターコイズSでは横山の典さんがミスパンテールを1着させた。土曜日のCデムーロVS典さん&昆厩舎の重賞第2ラウンドは典さん&昆厩舎に軍配が上がった。単勝12倍はごっつあんだった。

今年はもう典さんを買うことはないなと思っていたら、阪神Cにも騎乗しそうだ。ならば黙って買うまで。典さんを買う場合は常に「ポツン最後方」のリスクを考える必要があるけれど、シュウジに関しては、前走のスプリンターズSですでにポツン最後方をしている。そこは心強い。安心はできないけど心配は半減だ。

モズカッチャンはMデムーロ。モズアスコットはCデムーロ。絶対に勝ちたい陣営が土曜日の重賞でCを確保した。それだけでラッタッタだ。

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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