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キタサンブラック、ラストランで“三度目の正直”なるか

  • 2017年12月22日(金) 18時00分


◆「その年の中山G2好走馬」にも注目

 今年の有馬記念はキタサンブラックのラストランということで注目を集める。枠もいいところを引いた同馬は果たしてどんな競馬をするだろうか。

 そのキタサンブラックはJCで3着に敗れたが、去年と違って楽をするラップを作れなかったし、1対全員の競走を強いられたのでやむをえない面もあった。今回は好枠から単騎逃げも可能だろうし、コーナーの多いコースでペースのコントロールもしやすい。位置を取れる他の有力馬が早めにつぶしにこない限りは、まず馬券圏内、そして三度目の正直となる優勝も可能なのではないだろうか。

 JCを制したシュヴァルグランがどの位置で競馬をするか楽しみだ。枠は10番だが、ある程度出していくというのが私の予想。この馬がどのタイミングでキタサンブラックを捕らえにいくか。遅いとキタサンが粘ってこの馬が捕らえきれず、早いとまとめて差し馬たちの餌食になりかねない。それでも、早めのジャストタイミングでまずはキタサンブラックを負かしにいくのがよいだろうし、ボウマンもそういう競馬を試みると思う。

 スワーヴリチャードはダービーの内容からも能力はある。右回りの問題ばかりが言われるが、今回は一線級の古馬相手が初めてということと、枠が枠だけに外を回って差す競馬になるという点が問題だろう。有馬記念は先行有利のレースだけに個人的には◎○にはできない。ただ、何らかのシルシは必要ではある。

 サトノクラウンはJCのときの調教と、今回ポリトラックといったあたりに状態面の不安を感じなくはない。私自身は調教を根拠にしない立場だが……。全く雨の絡まない良馬場というのもマイナスではある。正直、ムーアでなかったから無印だが、ムーアなので△をつけるかどうか悩む、というところだ。

 ミッキークイーンは昨年の5着があるのである程度売れそうだが、有馬記念だと何度やっても似た競馬で4〜5着止まりになりそうな気がしなくもない。ヤマカツエースは1番枠がよしあし。いったん引いてしまうと厳しいと思うので、昨年やっていたような好位の競馬でもよいのではないかと思うし、いったん突っ張ってみせてキタサンを慌てさせても面白いと思う。

 レインボーラインは古馬GIで安定して走れるようになっているが、このコースだと展開の助けが必要になりそう。同じ4歳馬ならば、シャケトラを推したい。私が毎年買う「その年の中山G2好走馬」でもある。先行にも含みが残るし、枠も悪くはない。取れるだけ位置を取って、あとは進路があるかどうか一か八かの競馬でいい。

 ルージュバックとサクラアンプルールも当該年の中山G2好走があるのだが、脚質的に手を出しづらい。ルージュバックは中山で好走できたこと自体が意外だったし、あのイン突きを再現するのは難しいだろう。それよりはサクラアンプルールのほうが買えるが、JCをパスしたぶんの状態面向上が前提条件となる。

 あと、複穴で名前を出しておきたいのがトーセンビクトリー。トゥザグローリー、トゥザワールドの全妹で内枠、田辺というのはいかにも怖い。単純に力負けする可能性はもちろんあるが、宝くじ的な馬券として買ってみる手はあるだろう。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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