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混戦模様の新設GIを調教内容から分析!/ホープフルS最終追い切り詳報

  • 2017年12月26日(火) 18時00分


“評価を下げざるを得ない”人気馬とは!?


 先週の有馬記念。キタサンブラックの有終の美に「よかった」と思う人が圧倒的多数なのは、単勝1.9倍の支持からも明らかです。しかし不完全燃焼に終わった馬がいたことを忘れてはいけません。その代表はシュヴァルグランでしょう。外からスワーヴリチャード、内からクイーンズリングにぶつけられたのはパトロール映像を見れば明らかです。特にスワーヴリチャードからの不利に関しては、完全にバランスを崩すまで内側へ押し込まれており、それによって、トーセンビクトリーとサクラアンプルールの進路もカットされた格好です。裁決レポートにはブレスジャーニーの馬名は挙がっていませんが、この事象により、この馬が不利を受けたのも間違いありません。

 なによりシュヴァルグラン陣営にとって悔しいのは、立て直してからの伸び。ゴールを過ぎて、1コーナーへ入る頃にはキタサンブラックよりも前に出ており『あの不利さえなければ』と考えて当然の伸び脚でした。「これも競馬」といってしまえばそれで終わりですが、降着や失格のルールがある以上、被害馬としては今回の件が騎手への騎乗停止だけで済まされることが納得いかないのは当然でしょう。

 もちろん、これに関してはキタサンブラックが関係しているわけではなく、キタサン自身はフェアに戦って有終の美を飾ったことは間違いありません。しかし降着、失格の制度の判断基準が曖昧だと被害陣営にとっては後味の悪い結果になってしまうわけですから、これは主催者側が今後しっかりと考えていくべき課題ではないでしょうか。

【ホープフルS/ジャンダルム】

 母のビリーヴ、そしてきょうだいのファリダットやフィドゥーシアの活躍。これに自身がデビューから2戦をマイル路線で歩んできた経緯から、ホープフルSを選択してきたことは意外でしかありませんでした。よって、これまでのパフォーマンスを鵜呑みにできないことは間違いないでしょう。

 中間の追い切りに関しては、坂路とCWを併用してしっかりとこなしてきました。CWでの追い切りの動きを見るかぎりは距離は大丈夫、と判断してよさそうです。あとはレースでのテンションや折り合いなど、気性的な問題をクリアすることができればといった感じがします。

ジャンダルムは追い切りの動きを見るかぎりは距離は大丈夫そう(12月19日撮影)style=

ジャンダルムは追い切りの動きを見るかぎりは距離は大丈夫そう(12月19日撮影)


【ホープフルS/タイムフライヤー】

 前走が初めてコーナー4つのレースとなりましたが、先行して、無難な立ち回りを見せて2着。3着には0.4秒差をつけていますから、レース内容としては申し分なかったといってよいでしょう。

 この中間で印象に残った追い切りは12月20日。CWで単走でしたが、頭の位置が低く、いかにも推進力で走っていますといったパワーある走法。この動きを見ていると、力のいる馬場や直線急坂のコースでも全く問題はなさそう。むしろ他馬が苦にする状況なら、この馬にとっては大きなアドバンテージになるでしょう。

タイムフライヤーは力のいる馬場や直線急坂のコースでも全く問題はなさそう(12月26日撮影)style=

タイムフライヤーは力のいる馬場や直線急坂のコースでも全く問題はなさそう(12月26日撮影)


【ホープフルS/サンリヴァル】

 前走は道中かなり緩んだ流れでしたが、折り合いを欠くこともなく、きっちり番手でレースを進めて、末脚もきっちり。この結果を受けて、同じ中山芝2000mを続けて使うことがベストだと判断。それが今回のレース間隔になりました。

 中間の追い切り本数はしっかりと積まれており、調教内容に関して仕上がり不足という印象は全くありません。ただ懸念するのは最終追い切り。前回と同じCWだと思われるでしょうが、前回が水曜日の右回りだったのに対し、今回は日曜日の左回り。それは調教VTRで確認していただければ分かります。個人的には前回の右回りでの追い切り内容を評価しているだけに、今回は評価を下げざるを得ません。

前回とは違う追い切りをこなしたサンリヴァル(12月19日撮影)style=

前回とは違う追い切りをこなしたサンリヴァル(12月19日撮影)


【ホープフルS/シャルルマーニュ】

 前走東スポ杯3着の実績が評価されると思いますが、デビュー戦はフロンティアの3着だったり、未勝利戦で負けた相手もスカーレットカラー。アイビーSではフラットレーに先着しており、2歳世代での能力は上位だといってよいでしょう。

 そして今回の仕上げですが、レースを使い続けているわりにはしっかりとやってきました。右回りのCWで13日と16日にしっかり動かしており、20日の坂路では4F53.1秒と自己ベストに近い数字。最終追い切りの4F時計は遅くなりましたが、小倉芝1800mを勝った時が今回と同じような時計。終い重点で動けていれば、全く問題ありません。

【ホープフルS/トライン】

 netkeiba.comの予想オッズで7番人気(26日16時時点)。これは個人的には意外すぎました。というのも1戦1勝なのに、2戦2勝よりも人気ですし、逃げ切り勝ちの前半3Fは37.1秒。明らかに恵まれただけというのが個人的な評価ですが、ファンがそれだけ推すわけですから、ディープインパクト産駒という以外にも買い材料があるのでしょう。

 調教的に見ても強調するところはありません。前走が京都芝1800mで今回が初めてのコーナー4つ。それでいて、中間の追い切りにトラックはありません。前走時よりもペースが速くなることは明らかで、そこを巧く立ち回るための調教ができていない点は評価できません。

◆次走要注意

・12/23 グレイトフルS【カラビナ】(6人2着)

 最後は内で脚をためていた勝ち馬に差し切られましたが、もう少し速いラップになっていれば、逆に相手があそこまでの脚を使えなかったはず。先行できたことが収穫ですし、今後もこの距離で結果を残せるはず。

[メモ登録用コメント] [芝長距離]最終追い切りラスト1F最速ラップなら勝ち負け

◆今週の追い切り特報

・ベテルギウスS【アドマイヤロケット】
 最終追い切りは24日に終えていますが、26日の調整の様子を見ていると、気持ちが充実していて、走りに活気が漲っています。逃げるという絶対条件は必要ですが、自分の形に持ち込むことができれば、まず捕まることはないはず。

アドマイヤロケットは自分の形に持ち込むことができれば、まず捕まることはないはず(12月26日撮影)style=

アドマイヤロケットは自分の形に持ち込むことができれば、まず捕まることはないはず(12月26日撮影)


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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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