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【フィナーレ】最後の大忘年会!(4)『メンバーそれぞれの“今”と“これから”』

  • 2017年12月27日(水) 18時01分
キシュトーーク

▲最後のテーマは「それぞれの“今”と“これから”」


6年間の連載に終止符を打つこととなった『キシュトーーク!』。最後のテーマは「それぞれの“今”と“これから”」について。デビュー2年目に91勝を挙げて大ブレイクした川須栄彦騎手のその後の変化、松山騎手のGI制覇に同期の優作騎手と恭介騎手の思い…最後の最後まで、本音のトークを繰り広げます!(取材・文:不破由妃子)

※高倉騎手は都合により欠席のため、個別取材を行いました。その様子は29日に掲載させていただく予定です。


(前回のつづき)

30歳になったら『キシュトーーク!スペシャル』として同窓会を!


──最後のテーマになりますが、それぞれの“今”と“これから”について。率直な思いを語っていただければと思います。

川須 僕は今、仕事が楽しいです。馬に乗るのが本当に楽しい。

──そういえば、『キシュトーーク!』が始まったのは、川須騎手が91勝を挙げた2年目の秋でしたね。正直、そこからの変化をどう受け止めているのか…。この6年、川須騎手の心理状態が一番気になっていました。

キシュトーーク

▲デビュー2年目、愛知杯優勝時の川須栄彦騎手 (C)netkeiba.com


川須 もちろん最初はいろいろ考えましたけど…。結局、現状を真摯に受け止めて、腕を磨くしかないと。意外にスパッと気持ちを切り替えられましたね。

松山 正直、僕にとって川須の存在はすごく大きかった。なにしろ2年目にして90勝超えだからね。いつだったか、川須に励まされたのを覚えてる。

川須 ああ、松ちゃんが落馬が続いていたときでしょ? 当時はまだ寮に住んでいて、「大丈夫?」って松ちゃんの部屋のドアを開けたら、「もうダメだ…」って。

松山 それでネックレスをくれたんだよね。今もお守り代わりに競馬場に置いてあるよ。

恭介 川須、めっちゃカッコいいことしてるじゃん。

──2年目であれだけ勝つと天狗になってもおかしくないと思いますが、川須騎手はそういった風もなく。

川須 天狗になんて全然ならなかったですよ。今思うとですけど、“ただ勝っていた”だけで…。今はいろいろ考えているぶん、レースごとに気付きや学びがあって、だから楽しいんだと思います。正直、たくさん勝っていたときは、そこまで考えてなかったですもん。

恭介 なんかわかる。俺も2年目に52勝したけど、当時、絶対にこれ以上勝てないと思った。

松山 それはなんで?

恭介 なんで勝てているのかわからなかったから。もともと裏付けがないと自信が持てないタイプで、当時は今以上に自信がなかった。でも、頑張って頑張ってようやく結果を出せたりすると、ああ、こうしたらいいのかとか、自分にとって大きな糧になる。それが積み重なって、自信になっていくというか。

川須 そうですよね。楽しみ方もいろいろあるなぁって。もちろんたくさん勝ちたいんだけど、それだけではなくて、ちょっと勝ち負けは厳しいかなぁと思う馬でも、頑張って5着とか8着とかにくると厩務員さんがすごく喜んでくれたり。

松山 それはすごくわかる。

恭介 うん。だってここ最近の俺のモチベーションは、関係者の笑顔だもん。8着以内にきただけで、すごくいい笑顔を見せてくれる厩務員さんもいるからね。それがすごくうれしくて。それに、頑張った馬は厩務員さんも労ってくれるでしょ。俺は馬が大好きだから、そういうのもうれしい。もちろん、ファンにしてみれば、3着以内にこない騎手は用無しなんだろうなと思うから、今週は何回3着以内に入れたのかもすごく気になるけどね。

キシュトーーク

▲同じくデビュー2年目、府中牝馬S優勝時の国分恭介騎手(撮影:下野雄規)


──10着の次は8着、8着の次は5着と積み重ねていくことで、チャンスは確実に増えますからね。

恭介 そうなんです。だから、1頭の馬に対する気持ちだけはリーディング上位の人たちに負けたくない。今はそういった部分でジョッキーとしての存在意義を示して、少しでも次につなげていきたいという気持ちが強いです。

優作 そうだよね。やっぱりどう見られるかっていうのも大事だから。僕は今、ようやく体が本調子になってきたところなんで、楽しみを見出している最中かなぁ。仕事だから、当然楽しいことばかりではないけど、モチベーションにつながる楽しみを少しでも多く見つけたいなって。そのためにも、とにかく乗り鞍を確保すること。今は正直、1日1頭乗れるかどうかっていう日もあるから…。松ちゃんは? 立場的に、“勝たなくちゃ!”っていうプレッシャーとかけっこうきついんじゃない?

松山 もちろんプレッシャーもあるけど…。もともとが人一倍考えすぎてしまうタイプだったから、今は逆に家庭という大事なものができたことで、そのあたりは少し余裕が出てきたというか。やっぱり今の自分でいうと、皐月賞を勝てたことがすごくモチベーションになってる。天狗になるとかそういうのではなくて、もっと頑張れるんじゃないかって。それに、GIに乗ったときの感覚が以前とは変わってきたね。

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▲2009年の関西放送記者クラブ賞受賞時の松山弘平騎手 (C)netkeiba.com


──松山騎手のGI制覇は、同期の優作騎手と恭介騎手にとっても刺激になったのでは? 当然悔しかったでしょうし。

恭介 悔しいという気持ちはなかったですよ。同じ舞台で戦っていたら悔しいけど、僕はその舞台に立っていないから。

優作 素直に“すごい!”と思いましたね。

恭介 今は重賞に乗るだけでも大変で、ましてやGIなんてなかなか乗れないですもん。だから、刺激になったといえば、いつか自分も松ちゃんと同じ舞台に立てるように頑張ろうっていうことですね。

優作 『キシュトーーク!』が始まった頃は夢を追いかけていたけど、今は夢ではなくて、もっと現実的に理想を追いかけている感じ。あと3年で30歳かぁ…。その頃はどうなっているかなぁ。あ、僕たちが30歳になったら『キシュトーーク!スペシャル』として同窓会をやりましょうよ!

──ぜひぜひ! みなさんの変化が楽しみです。では最後に、これまで『キシュトーーク!』を楽しみにしてくださっていたファンのみなさんに一言ずつお願いします。

松山 これまで読んでくださってありがとうございました。『キシュトーーク!』は終わってしまいますが、netkeibaさんのほかのコーナーに呼んでもらえるように頑張りますので、これからも応援してください!

川須 そうだよね。GIを勝つとか、何百勝するとか、何かきっかけがないと呼んでもらえないもんね。

松山 うん。そのきっかけを作れるように頑張る!

優作 『キシュトーーク!』に定期的に出してもらえたのって俺たちだけだよね? いい時期にピックアップしてもらえてうれしかった。

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▲2009年のデビュー当日、緊張の面持ちの国分優作騎手(撮影:下野雄規)


松山 そうだよね。関東のファンや関係者にもだいぶアピールできたと思うし。

優作 うん。改めまして、中身のない会話も多々あったかと思いますが…(苦笑)、長いあいだお付き合いいただき、本当にありがとうございました。

恭介 netkeibaの読者のみなさん、本当にありがとうございました。これからも長い目で…(苦笑)、引き続き応援よろしくお願いします。うん、頑張ろ! いや…頑張ろうっていうか、もう頑張ってるんだけどな。

川須 うん、みんな頑張ってる! でも、またここに戻ってこられるように、もっともっと頑張ります。長いあいだ、本当にありがとうございました!

(文中敬称略、次回の高倉騎手編につづく)

元祖「キシュトーーク」のレギュラー陣、国分恭介、国分優作、松山弘平、川須栄彦、高倉稜を中心に、栗東・美浦・地方からも幅広く、これからの競馬界を担うU25の若手ジョッキーたちが登場します!

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