◆中距離ならトップランクの1頭に加われる可能性がある
若い菊沢一樹騎手がちょっと脚を余した感のある惜敗(京都新聞杯0秒1差、いわき特別0秒0差)を続けたあと、伯父の横山典弘騎手に乗り替わったミッキースワロー(父トーセンホマレボシ)のセントライト記念2200mは、上がり33秒4の完勝だった。
スローのためレース上がりは34秒0(11秒7-11秒3-11秒0)となり、皐月賞馬アルアインを中位から猛然と差し、届いたどころか約2馬身も抜けたミッキースワローの上がりは、33秒4(推定11秒7-11秒1-10秒6)だった。
いかにスローとはいえ、まるでアルアインが止まったかのように爆発した切れ味は素晴らしい。中山の急坂を含む最終1ハロン推定「10秒6」前後はめったに出現する数字ではない。
ミッキースワローの牝系はスピード能力にあふれた一族だが、距離2200mでのあの爆発スピードは、間違いなく父トーセンホマレボシ(その父ディープインパクト)の最大の長所だろう。
トーセンホマレボシはディープブリランテの日本ダービー3着など【3-2-1-1】で引退を余儀なくされているが、距離2200mの京都新聞杯をコースレコード2分10秒0の快時計で制した期待馬だった。もともとは非常にタフで丈夫なファミリー出身であり、半兄トーセンジョーダン(父ジャングルポケット。その父トニービン)は、30戦9勝。5歳秋の天皇賞2000mを1分56秒1の大レコードで勝っている。
また、この兄弟と「いとこ」の間柄になるカンパニー(父はトニービン直仔のミラクルアドマイヤ)は、横山典弘騎手とのコンビで8歳時に天皇賞(秋)→マイルCSを勝っている。いとこだから当たり前というだけでなく、ファミリーに配された種牡馬との配合図には似た色彩がある。
ミッキースワローは、菊花賞は善戦止まり。長丁場向きではないが、中距離ならトップランクの1頭に加われる可能性がある。今回は、皐月賞馬アルアインを目標に差し切り勝ちした際と同じように、先行抜け出しのゴールドアクター(父スクリーンヒーロー)を射程に入れて、切れ味を全開させたい。同じ中山の2200mである。
トーセンジョーダン(今年の2歳馬が初年度産駒)、トーセンホマレボシ、トーセンファントム……など島川オーナーの所有馬から種牡馬になった良血馬が、数えたらすでに「11頭」に達していた。近年ではだれも思いとどまることの多いオーナーブリーダーとして生産界に参入し、自家生産馬を送り始めている島川オーナーの大冒険の挑戦が軌道に乗るためにも、重賞路線に乗ったミッキースワローの大活躍に期待したい。