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スピード一辺倒では勝てないフィリーズレビュー

  • 2018年03月10日(土) 12時00分


◆ここでの走り方を見れば、今後の路線の予測はつく

 今から10年ほど前、牝馬の時代と呼ばれて名牝たちが揃って活躍したときがあった。阪神ジュベナイルFを勝って世代の最上位に立ち、牡馬を相手にダービー、ジャパンCまでものにしたウオッカ。桜花賞から秋華賞、エリザベス女王杯、さらには有馬記念まで勝ったダイワスカーレット。牡馬を押えてスプリンターズSをものにしたアストンマーチャン。

 この3頭の、桜花賞トライアルに選んだレースを検証することで、その後が見えていたように思う。チューリップ賞に出たウオッカはここで勝ってダイワスカーレットが2着、もう1頭のアストンマーチャンは阪神ジュベナイルFでウオッカの2着でトライアルにはフィリーズレビューを選んで、ここで勝利していた。
 
 阪神外回りの1600米は、そんなにペースは上がらず、ラスト3ハロンの瞬発力がものを言うのに対し、阪神内回り1400米はその逆で、平均よりやや速いペースになるため、スピード一辺倒では勝てず、最後にもうひと踏ん張りできるパワーが求められる。フィリーズレビューを勝ったアストンマーチャンが、不良のスプリンターズSで力を出し切れたのも頷けるのだ。

 フィリーズレビューに出るものの中には、こちらの方に距離適性があるという見方と、折り合いに不安があるのでペースの上がるこっちに出走してきたという2通りあるだろう。今後、スプリント戦線、あるいはマイル戦線に向うか、それとも距離を伸ばしてくるかは、ここでの走り方を見れば、ある程度の予測はつく。

 今年はチューリップ賞がいつも通りスローペースで、4戦全勝で勝ったラッキーライラックの上がり3ハロンは33秒3、体も大きく成長していて、今後どこまで走るか、桜花賞への最短距離にある。フィリーズレビュー組は、最初はこれを追いかけたいが、そうではない選択もある。

 ダートでも勝っているモルトアレグロは、この距離がベストの上に最後の踏ん張りも期待できる。前走、スローペースを直線だけで差し切ったアンコールプリュは、新馬戦で好位につけて勝っていたので注目できるし、やはり好位につけられるアンヴァルなども父がロードカナロアだけに興味がわく。

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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