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リアルスティールのドバイ遠征 本番前の“一発勝負”

  • 2018年04月05日(木) 18時02分
挑戦者

▲豪からドバイへ、リアルスティールの最終追い切りを任された瑠星騎手


最終追い切りよりも緊張したのが装鞍


 こんにちは。坂井瑠星です。

 先週は、ドバイターフに出走したリアルスティールの調教騎乗のため1週間ほどドバイに滞在し、短い間ではありましたが、本当に貴重な経験をすることができました。

 レース当週の月曜日に現地に到着し、火曜日から調教に騎乗。ダートコースをキャンターで一周というメニューで、栗東にいるときよりリラックスしていて、いい雰囲気だなという印象でした。反面、少し落ち着きすぎているのではないかな? という印象も少々…。この日はゲートの駐立の確認と装鞍の練習を念入りにして調教を終えました。

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▲追い切り日の前日はゲートの駐立の確認と装鞍の練習


 翌日の追い切りの指示は、“前半はリラックスさせて、最後は肩ムチを入れて馬を行く気にさせ、その行きたい気持ちを我慢させてレースの時に爆発できるように”というものでした。指示通りに肩ムチを入れるとすぐに反応し、弾けそうな手応えでしたが、そこをグッと我慢させて、イメージ通りの追い切りを終える事ができました。その後は、前日と同じく、装鞍の練習を入念に。翌日は曳(ひ)き運動のみの調整でしたが、とてもリラックスできていました。

 レース前日の最終調整は、ダートコースをキャンターで一周。火曜日と同じメニューでも、内容はこの日のほうが断然良かったです。少し心配していた「落ち着きすぎている」という感覚もまったくなく、それでいて気合いが入りすぎてもいないという理想的なコンディションだと感じました。

 調教後は、いつも通り装鞍の練習をして最終調整が終了。調教後には、バルザローナ騎手が厩舎に来て、レースに向けての作戦を話し合いました。過去のレースをしっかり確認してくれていたようで、スムーズに話は進みました。

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▲馬房で落ち着きを見せるリアルスティール


挑戦者

▲りりしくも穏やかな表情


 最終調整も終え、これでひと安心──といきたいところですが、リアルスティールの場合、そうはいかない課題があります。

 ご存知の方もいるかもしれませんが、リアルスティールという馬は、レースが近づくにつれて気が高ぶってくるので、レース前の装鞍がかなりうるさくて危険なんです。実際、2年前のドバイのときは、装鞍中に壁を蹴って蹄鉄がずれ、それはもう大変な思いをしたそうです。男性6人がかりで何とか押さえつけ、無事にレースに向かったようですが、一歩間違えれば事故につながります。今回、毎日装鞍の練習を入念にしていたのは、そういった過去の教訓からです。

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1997年5月31日、東京都生まれ。父・坂井英光は大井競馬所属の調教師、叔父も元騎手の坂井薫人という競馬一家。同期には荻野極、木幡巧也、藤田菜七子ら。2016年に栗東・矢作芳人厩舎でデビュー。2019年、ノーワンでフィリーズレビューを勝利し重賞初制覇。2020年には、ダノンファラオでジャパンダートダービーに勝利し交流GI初制覇を飾った。日本だけの騎乗でなくオーストラリア、ドバイなど多くの海外遠征にも挑戦している。

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