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【マイラーズC】現役を退いた今だから言える福永騎手への思い

  • 2018年04月26日(木) 18時01分
哲三の眼

▲サングレーザーで鮮やかな差し切り勝ちを見せた福永騎手 (c)netkeiba.com


今回取り上げるのはサングレーザーでマイラーズCを制した福永祐一騎手の騎乗。文中で「祐一君の良さが生かされたレース」と振り返るように、持ち前のスマートな騎乗でレコードを記録。この話題をきっかけに、哲三氏が現役時代に抱いていたという福永騎手へのある思いを告白します。さらに本人の更なる向上を期待し、“攻めの騎乗”をリクエスト。その理由を技術的な視点から解説します。(構成:不破由妃子)

「現役時代、一番尊敬していたのは彼」


 日曜日の阪神メイン・マイラーズCは、(福永)祐一君が騎乗したサングレーザーがレコードで勝利。先週の回顧でお話ししたように、ワグネリアンに騎乗した皐月賞は、「やろうとしていた騎乗をしっかりやった」うえで結果につながりませんでしたが、今回のマイラーズCは、やりたい騎乗を具現化できる祐一君の良さが、マイル戦という舞台でより生きたレースだったのではないかと思います。

 展開を含め、どの位置にいれば勝てるかを考え、そのポジションを取れたことがまずはファインプレー。後方インのポジショニングから、直線でスムーズに外に出し…という祐一君の得意パターンでもありました。展開が向いたという声もありますが、競馬において、展開を味方につけるということはすごく大事。もちろん、たまたま展開が向いたというケースもありますが、研究熱心な祐一君のことですから、そこはしっかりシミュレーションしたうえで、自ら合わせにいっての結果だと思います。

■4月22日 マイラーズC(5番:サングレーザー)

 今回はマイル戦でしたが、距離が延びれば延びるほど、味方につけられる要素が減ってくるのも事実。そうなると、守り重視の決め打ちでは、結果につながらないケースが多々出てきます。あくまで僕の意見ですが、祐一君の場合、ポジショニングがどうこうというより、そもそもの体の使い方が“守り”に入っているように見えるんです。

 最初に言っておきますが、これは決して苦言ではありません。なぜなら、めちゃくちゃ高いレベルの話であり、祐一君がそれだけ多くのことを期待させてくれるジョッキーだからこそです。

 少々話はそれますが、僕は祐一君の馬券をよく買います。一番馬券を買っているジョッキーといってもいいかもしれません。もっと言えば、現役時代、後輩ながら一番尊敬していたのも彼なんですよね。基本的に、他人を尊敬しない僕が(笑)、たとえそう思っていても言葉には出さない僕が、祐一君に関してはキッパリとそう言えます。

 なぜなら、勉強しているのが本当によくわかるから。現役の頃から、「この子はすごく勉強しているなぁ」と思って、ずっと注目していました。僕自身、誰よりもトレーニングの方法を考えて、自己流ではありますが、いろいろなパターンの調整法など自分なりに積み上げてきたつもりです。だから余計に見えたんだと思いますが、祐一君も彼なりの方法で研究し、実践を繰り返したからこその変化であり、海外GI制覇や全国リーディングなどの結果であるはずです。

哲三の眼

▲14年ドバイDFほか、海外GI・5勝の実績を誇る福永騎手(撮影:高橋正和)


 同業者から見ると、向上心を持って何かを考えているジョッキーとそうではないジョッキーは、騎乗を見れば簡単に見分けがつきますからね。もちろんそれは、現役を退いた今でもわかります。

 話を戻して、僕が考える“攻めの騎乗”と“守りの騎乗”の違いは、目に見えるポジショニングではなく、肩甲骨から肩関節にかけてを広く使うかどうか。ボクシングでいえば、守るときは肩甲骨から肩関節が狭くなりますし、逆に攻めるときは広くなりますよね。

 海外のトップジョッキーはその部分の可動域が広く、しかもそこを上手く使えるから、よく「ああ、攻めてるなぁ」と思うんです。とはいえ、ファンの方たちが“攻めの騎乗”か“守りの騎乗”かを見分けるのは難しいとは思いますが…。

 肩甲骨から肩関節を広く使えると、馬にブレーキを掛けたとき、決して守りではないニュートラルなセッティングが可能になるんです。それが可能になれば、大雑把にいうと、どこのポジショニングでもタメることができる。競馬に正解はありませんから、僕が言っていることが必ずしも正しいわけではありません。ただ、守りの騎乗から攻めに切り替える機会は直線しかないと思うんですが、攻めの騎乗のなかでニュートラルに持っていければ、競馬の幅がもっと広がると思うんですよね。

 そういう意味で、祐一君の攻める体の使い方、攻める騎乗フォームを見てみたいなぁと思うんです。馬の力を引き出すだけではなく、もっと自分を出してもいいと思いますし、今回のマイラーズCのようにスコーン!とハマる競馬が狙ってできるのならば、もっともっといろいろな騎乗ができるはずですから。

哲三の眼

▲「今回のようにスコーン!とハマる競馬が狙ってできるのならば、もっといろいろな騎乗ができるはず」(c)netkeiba.com


 あんまり注文を付けると、読者の方に「お前のほうが成績が悪かったくせに」と言われてしまいそうですが、今回はちょっとだけ先輩風を吹かすことを許してください(笑)。でも、可能性があるからこそ、ついつい言いたくなってしまうんです。なにしろ今は、一福永ファンでもありますし(笑)。

 今後も注目のGIが目白押しですが、「いい競馬だったなぁ」とずっと語り継がれるような、そんな祐一君の騎乗が見たいですね。

今週の注目コンビ


哲三の眼

▲岩田騎手、約3年ぶりのGI制覇なるか (c)netkeiba.com


 今週注目したいのは、岩田君とレインボーラインのコンビです。岩田君自身、先週の騎乗ぶりから「動きたいように動ける」コンディションの良さを感じましたし、それは3200mでもきっと生きてくるはず。ベストの展開を自ら引き寄せるような、岩田君らしい騎乗に期待したいですね。

(文中敬称略)

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1970年9月17日生まれ。1989年に騎手デビューを果たし、以降はJRA・地方問わずに活躍。2014年に引退し、競馬解説者に転身。通算勝利数は954勝、うちGI勝利は11勝(ともに地方含む)。

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