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今年はより“長距離適性”を重くとらえるべき

  • 2018年04月28日(土) 12時00分


◆リピーターと菊花賞好走馬に注目

 長い歴史を誇る天皇賞が勝ち抜け制度だった頃が懐かしい。一度優勝すると出走できないので、その勝利が一際輝いて見えていた。特に、前年の菊花賞馬が春の天皇賞に出走してくると、古馬になったばかりで一気に頂点に上り詰めるかどうかと、期待が大きかった。古馬最高の栄誉によくするレース、そう呼んでいただけに、一度のチャレンジで勝利する価値は大きかったのだ。各種様々な距離のレースがある中、長距離戦に格別な思いを抱いていたのは、こうした背景があったからだった。

 今では、過去の優勝馬も出走できるようになって、秋が二千米になり、春の三千二百米は一種特殊な立場になっている。この5年だけでも、フェノーメノとキタサンブラックが連覇を達成した。ともに4歳と5歳の春なのだが、フェノーメノはダービー2着の実績があり、キタサンブラックは菊花賞馬だった。ステイヤーとしての資質を発揮する場は、まずこの京都の天皇賞だということだが、4歳馬なら、前年のクラシックがどうであったかは重要だ。

 それと、長距離適性の高いものばかりが出走してくるので、勝てなくとも、何度でも好走できるものが出てくることがある。長距離実績のあるスタミナ血統で、特に母父にそれがあると心強い。また、京都のコース形態もポイントで、3コーナー過ぎから下り坂で直線がフラットなため、平均してスピードが持続できるかも求められている。

 こうした条件に適応できるものは、何度でも出走してくるのだが、勝てるものは、4歳と5歳が多く、6歳馬ならゴールドシップのように菊花賞の実績のあった馬に限ると言っていい。ローテーションを見ると、阪神大賞典と日経賞組が圧倒的に優位で、この5年で10頭が3着以内に入っていて、大阪杯はわずかにキタサンブラックの2回だけ。ちょっと気になる。

 海外にも選択肢が広がり、二千米の大阪杯がGIに昇格したことで、より距離適性を重くとらえる傾向は、ますます強まっていく。今年の顔ぶれは、正にその流れを受けている。勝つのは4歳馬か、5歳馬か、実績を重ねてきた奥手の6歳馬か。

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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