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波乱となる要素はほとんどない!/優駿牝馬(オークス)

  • 2018年05月16日(水) 18時00分

■オークス(G1・東京芝2400m)フルゲート18頭/登録20頭


【特注データ】〜レースデータより〜


 昨年は人気のソウルスターリングが先行策から押し切り、最速上がりの2頭が3〜4着に取りこぼしたオークス。とはいえ、このレースにおける速い上がりの重要性は、いささかも揺らいではいない。シンハライトとチェッキーノで決まった一昨年のように、直線でキレ味の鋭い脚を使えてナンボのレース。前残りでの決着は想定しづらい。

 掲載したのは、近走における「上がり3F順位」別での成績。まずは上段だが、前走での上がり3F順位が3位以内の馬と4位以下とでは、信頼度や回収率ベースの数値に大きな差があるのがおわかりだろう。逃げ〜先行タイプが買えないわけではないが、狙いやすいのはやはり、キレ味に秀でた差し馬。前走での上がり3F順位は、必ずチェックしておきたい。

 また、前走だけ上がり3位以内の馬ではなく、近2走で連続して3位以内の上がりを使っていた馬のほうが、さらに高期待値。勝率、連対率、複勝率のいずれも一気にハネ上がり、単勝適正回収値127.7と爆発力も十分にある。一応は「3連続」だった馬のデータも掲載したが、勝率や連対率に大きな差は見られない。これなら、単勝適正回収値で勝る2連続の馬を狙ったほうがいい。

 今年の登録馬で「2連続」の条件を満たすのは、アーモンドアイ(4連続)、ウインラナキラ(2連続)、ゴージャスランチ(2連続)、サトノワルキューレ(2連続)、トーセンブレス(3連続)、ロサグラウカ(2連続)の6頭。抽選待ちの馬も2頭いるが、もし出走が叶えば侮れない存在である。

【コース総論】東京芝2400m Bコース使用

・コースの要所!

★人気馬よりも4〜6番人気など中穴の強さが目立つ。意外に堅くないコース。
★外枠は信頼度や回収値が低めで割引が必要。狙って面白そうなのは中枠か。
★差し優勢のコースで上がり上位馬の勝率や回収値も優秀。中団待機組重視。





 オークス&ダービーという3歳馬の頂上決戦が2週連続で行われる、東京芝2400m。正面スタンド前から出走して、大きな東京の芝コースをぐるりと1周するコース形態だ。スタンドからの大歓声でいかに心を乱されないかという、精神面の強さも問われそう。スタミナや末脚のキレなど、さまざまな能力が問われることになる。

 人気別で好成績が目立つのが4〜6番人気の中穴ゾーン。上位人気の信頼度が「並」程度なのもあって、中穴を積極的に狙ったほうが儲かりそうな印象を受ける。同様に7〜9番人気もなかなかのモノで、イメージほど堅くは決まっていない様子。さすがに13番人気以下になると手を出しづらいが、これなら人気薄から攻めるのも大アリだろう。

 次に枠番だが、信頼度の高さは「内>中>外」の順番。外枠である馬番13〜18番は勝率、連対率ともにイマイチで、さらに単勝適正回収値や複勝回収値も低め水準。平均人気が低いとはいえ、さすがにコレはいただけない。また、内枠の好成績が、平均人気の高さによるものである点も要注目。外枠が不利であるのは事実だが、だからといって内枠がすごく有利かといえば、そんなことはない。

 脚質面はハッキリと差し優勢。馬券に絡んでいる数では先行勢も拮抗しているが、信頼度だけでなく複勝回収値でも中団待機組に遅れをとっている。実際はデータ以上に差し優勢とみるべきで、実際に上がり上位馬の1着に占める割合はかなりのもの。「差し→差し」決着や「差し→先行」決着を想定して、買い目を構築すべきコースといえる。

【レース総論】オークス(G1) 過去10年

・レースの要所!

★ふたケタ人気は全滅級だが7〜9番人気は絶好調。チョイ荒れ狙いが面白い。
★コースデータとは対照的に内枠が不振。外枠の強さが目立っているレース。
★コースデータ以上に差し優勢。最速上がり馬が猛烈に強いのも大きな特徴。
★キャリア4〜5戦組の強さは圧倒的。鞍上の乗り替わりは大幅割引の対象に。








 レースの平均配当は、単勝994円、馬連8797円、3連複1万5274円。上位人気がしっかり結果を残しており、対照的にふたケタ人気馬はトータル[0-1-0-87]と全滅に近い。当然ながら大きく荒れるケースは少ないのだが、そのわりには平均配当が高いのがこのレース。チョイ荒れの頻発により、平均値が押し上げられている印象である。

 人気別で強さが目立っているのが7〜9番人気。トータル[2-1-2-25]で複勝率16.7%、複勝回収値110という優秀な内容で、ここ数年は鳴りを潜めているのが不思議なほどだ。前述したようにふたケタ人気は全滅に近い惨状で、なおさら人気薄を狙うならばココ。あとはコースデータ同様に、4〜6番人気の中穴もなかなか強い。

 コースデータとは真逆の結果が出たのが枠番別成績である。信頼度だけ見ると中枠である馬番7〜12番のほうが低いのだが、問題は枠番値の低さ。平均人気が8.5と圧倒的な高さであるにもかかわらず、平均着順は9.9といちばん低いのだ。対照的に絶好調なのが外枠で、馬番13〜18番は信頼度の高さ、回収率ベースの数値のいずれも優秀である。

 ほとんど馬券に絡めていないふたケタ人気馬が分析上の「ノイズ」となる可能性がありそうだったので、今週はひとケタ人気馬に限定した枠番別成績も出してみた。ここでもやはり、信頼度がもっとも低いのは内枠である馬番1〜6番で、内容が優秀なのは外枠である馬番13〜18番である。単純に内外を比較したデータでも、外のほうが明らかに好成績。ならば、枠番はコースデータよりもレースデータ重視のほうがいいか。

 脚質面はコースデータ以上に差し優勢。まだ完成していない時期だけに、長距離戦を前々から押し切れるだけのスタミナや持久力を備えている馬は少ないのだろう。とくに優秀なのが最速上がりをマークした馬で、トータル[6-3-3-2]で連対率64.3%、複勝率85.7%という信頼度の高さ。先行勢よりも後方待機組のほうが連対率が高いというのも、いかに差し優勢であるかを物語るデータといえる。

 特注データにしようかと思ったほど重要なのが、レースキャリア別成績だ。飛び抜けて好成績なのがキャリア4〜5戦の馬で、この傾向は近年になってさらに強まるばかり。2012年以降の6年連続で、この組が2頭以上も3着までに入っている。ちなみに昨年は、この組によるワン・ツー・スリー決着である。

 最後に騎手関連データだが、まず目立つのが継続騎乗組[10-7-9-90]と、鞍上の乗り替わりが大マイナスであること。まるで「G1での乗り替わり=大幅割引」が常識だった一昔前のレースのようだ。もっとも信頼度が高いのは「継続騎乗×関西所属騎手×5番人気以内」という組み合わせで、トータル[7-5-5-18]で複勝率48.6%をマークしている。

【馬場&血統総論】


・現在の馬場
 引き続きBコース。良馬場だった先週土曜日はとんでもないレベルの高速馬場。

・天候予測
 金曜日と土曜日が傘マーク。今週も道悪となる可能性が十分にある。

・注目血統
 ディープインパクト産駒◎、ルーラーシップ産駒○

 今週も引き続きBコースで行われる東京芝コース。エアレーションの影響が薄れて高速化が進みそうな気はしていたが、土曜日に出ていたタイムの速さは、目を疑うほどだった。日曜日は最終的に稍重となったが、リスグラシューが上がり32秒台の脚を使ったように、馬場自体の速さは変わらず。今週も天候が下り坂なのは気がかりだが、それ以上にこの超高速馬場がいつまで続くのかが気になる。

 血統面では、2種牡馬の産駒をプラスに評価。とはいえ、今年のオークス登録馬の父が総じて優秀であるのは、データをご覧のとおりである。今後にも注目したいのがルーラーシップ産駒で、信頼度の高さはディープインパクト産駒とほぼ互角。マイル戦におけるロードカナロア産駒と同様に、芝の中長距離路線でさらに存在感を強めていきそうだ。

★出走馬・総論×各論

 枠番というファクターが積み残しとなるが、今年のオークスは「とんでもなく」堅く決まる可能性がありそう。というのも、3歳牝馬の勢力図にほとんど変化がないからだ。桜花賞では牝馬王道路線以外からのローテでアーモンドアイが快勝するも、ラッキーライラック以下については順当きわまりない結果。今回も比較対象となるのはフローラS組だけで、そこが桜花賞組にどこまで迫れるか次第。つまり、大きな紛れはないと断言できる。

 トップ評価は桜花賞馬アーモンドアイ。この血統で芝2400mの距離がどうかだが、こればかりは「やってみないとわからない=考えるだけ無駄」である。桜花賞で見せた末脚のキレは異次元級で、この距離とコースならば後方からの競馬でも不安はまったくない。現在の超高速馬場で後方に置かれたとしても、それでも差し切れるバケモノ感がある。個人的には、距離不安で人気を落とす面があるなら、なおさら「買い」とみている。

 二番手評価にサトノワルキューレ。こちらもアーモンドアイと同様に、前走のフローラSで「普通ならまず間違いなく届かない位置」から突き抜けている。距離適性について不安がない分、まさかの逆転があるならこの馬だろう。M.デムーロ騎手の継続騎乗で過剰に人気しそうなのがマイナスも、「追って伸びる技術」で他の追随を許さない存在であるのも事実。勝ち負けに持ち込めてなんの不思議もない。

 三番手評価にトーセンブレス。阪神ジュベナイルFで4着、そして桜花賞でも4着と、この世代でトップクラスの能力馬であるのは間違いない。データ面でもプラス評価となった項目は非常に多く、買いか消しかでいえば間違いなく「買い」の1頭。鞍上が理由で前走同様に低評価となるならば、なおさら買いたくなる。

 四番手評価にラッキーライラック。桜花賞では2着に敗れたが、自分から積極的に勝ちにいった結果なのだから致し方なし。普通ならばこの馬が勝っているレースで、鞍上の石橋脩ジョッキーもベストの騎乗をしている。前々で流れに乗って自分から動ける強みがあり、現在の超高速馬場がプラスに働く可能性もありそう。コレ以上に軽くは扱えない。

 以下は、リリーノーブル、マウレア、ゴージャスランチ、カンタービレという評価の序列で、どこまでいっても順当。多少の波乱があるとしても、トーセンブレスが2〜3着に食い込んできたケースくらいのものだ。買い目もここは、徹底的に「絞る」方向でいきたいところ。自信のある買い目にドン!と張って、張り合いのあるリターンを手にしたい。


■総論×各論・先週の馬券回顧




東京11レース ヴィクトリアマイル(G1)
1着 04ジュールポレール
2着 16リスグラシュー
3着 06レッドアヴァンセ

久々の大ハズレやで(#^ω^)ビキビキ

事前の見立てが、ここまで「まったく」当たらなかったのも久々。まあ、惜しいハズレくらいなら大ハズレのほうがいい……という考え方もありますが、見せ場すらないとさすがに悲しい。皆さんにもご迷惑をおかけしてスイマセン・゜・(ノД`)・゜・

※コース&血統データは2012年以降、レースデータは2008年以降が集計対象です。
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

【予想】小林誠の勝負予想は『ウマい馬券』でチェック!

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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