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【日本ダービー】血統診断 東京2400mは間違いなくベストコースのゴーフォザサミット

  • 2018年05月21日(月) 14時50分
ワグネリアン

▲前走の青葉賞では距離延長で見事な走りを見せたゴーフォザサミット(C)netkeiba.com


日本ダービーが行われる東京芝2400mは最後に525.9mの長い直線と高低差2.1mの上り坂が待ち構えるタフなコース。このコースにマッチした血統は?“血統専門家”望田潤さんに出走全頭の血統について見解を伺いました。


ダノンプレミアムは東京よりも中山向き


 青葉賞はゴーフォザサミット、京都新聞杯はステイフーリッシュ、プリンシパルSはコズミックフォースと、ダービーのステップレースは旧勢力が格上の強さを見せつけた。こうなると王道を歩んできた皐月賞組を重視せざるをえないが、今年の皐月賞は例年以上に中山向きのタイプが上位を占めたようにも思う。舞台が東京芝2400mに替り、パフォーマンスを上げる馬も下げる馬もいるだろうが、その見極めがまずポイントか。

ダノンプレミアム
母インディアナギャルはDanzig4×3を持ち、リッジウッドパールS(愛G3・芝8F)とブルーウインドS(愛G3・芝10F)で2着。その父IntikhabはRoberto系のマイラー。デインヒルとRobertoから強靭な後駆を受け継ぎ、いつもスタートがいいし弥生賞も朝日杯もサウジアラビアも直線の坂の部分での加速が圧巻。中山2000と東京2400の比較だと、前者のほうが2馬身ぐらいパフォーマンス上位なのはたしかだろう。

距離△ スピード◎ 底力○ コース○

ブラストワンピース
アルナスラインなどが出る牝系で、母ツルマルワンピースはトライマイベスト=エルグランセニョールの全きょうだいクロス4×3。ハービンジャー×キングカメハメハはモズカッチャンと同じ。ハービンジャー産駒らしい濃い末脚を武器に3連勝。大箱坂コースでの追っての味は抜群で、欧州の芝を走らせても強そうだ。2000mベストとみるが2400mでも減点なしでいいだろう。完成度もわりと高い。

距離○ スピード○ 底力◎ コース◎

キタノコマンドール
デニムアンドルビーの全弟でトゥザヴィクトリーの甥。トゥザグローリーやトゥザワールドとはキングカメハメハ、サンデーサイレンス、フェアリードールが共通する7/8同血の間柄。胴も脚も長いが、意外なほどピッチのきいた走法で、小回りコースのコーナリングに優れるのは姉と似ている。瞬発力なら一番だから、ここ2年のようなスローの上がり特化のレースになれば東京でも怖い。

距離○ スピード◎ 底力○ コース○

エポカドーロ
母ダイワパッションはフィリーズレビュー勝ち馬で、「父中距離×母マイラー」の配合だから先行脚質に出たのは順当。体型は母父フォーティナイナーの影響も強い。ラッキーライラックの母父フラワーアレイもフォーティナイナー系だ。母系の奥に皐月賞に強いフェアトライアルの血が4×4で入るので、小脚のきいた走りは東京より中山向きといえる。距離適性もロゴタイプに近い馬だろう。

距離△ スピード○ 底力◎ コース△

ワグネリアン
テンダリーヴォイスの全弟で、マイネルオフィールのイトコ。母母ブロードアピールは根岸SやシルクロードSなど重賞6勝。ディープインパクト×キングカメハメハはキタノコマンドールと同じだが、こちらのほうが牝系のマイラーっぽさも感じさせる体型や反応だ。きれいにストライドを伸ばして走るので大箱向きだが、皐月賞のゴール前の脚色をみると2000mより1800mのほうが斬れるタイプか。

距離△ スピード◎ 底力○ コース◎

ステルヴィオ
クランエンブレムの甥でタカオルビーのイトコ。母ラルケットはクイーンC3着。4代母スイートコンコルドはシンボリルドルフの全妹にあたる。コーナー加速に難のあるタイプだから、東京替わりは大きなプラス。ただ皐月賞のゴール前は前と同じ脚色で、グレイルやキタノコマンドールのほうが勢いがあった。母は1600〜1800mベストだったが、本馬も最も斬れるのは1800mかもしれない。

距離△ スピード◎ 底力○ コース◎

ゴーフォザサミット
ショウナンマイティの弟で、ナスキロ柔い体質と大箱向きのストライドは似たものがある。父がマンハッタンカフェからハーツクライに替わったぶん、こちらのほうが胴長体型で距離適性は長い。一瞬の鋭い脚はないので、青葉賞は距離が延びて好位で運べたのもよかったし、ポジションがとれたのも成長の証だろう。ストライドで走るハーツクライ産駒だから、東京2400mは間違いなくベストコース。

距離◎ スピード△ 底力○ コース◎

ステイフーリッシュ
ブラックホークやピンクカメオの甥で、母カウアイレーンはクイーンS3着。ステイゴールド×キングカメハメハはインディチャンプと同じで、牡ならあまり外していない配合だ。体型走りは父と母父が強く、牝系のマイラー資質はあまり感じさせない。京都新聞杯では先行して後続を完封、持続力を100%活かしきった騎乗も光った。大箱2400mは合っているし、ここも積極策なら見せ場以上も。

距離◎ スピード△ 底力◎ コース○

グレイル
ロジチャリスの弟で、3代母シルバーレーンはブラックホークやピンクカメオの母。母プラチナチャリスはデインヒルとシルヴァーホークを持つのでグラスワンダー的で、ハーツクライ産駒ながら内回りで良績があるのはフォームが半ばグラスワンダー的だからだ。皐月賞ではゴール前の脚勢は一番だったし、距離延長もプラスだろうが、あの末脚をそのまま東京の直線にスライドできるかどうか。

距離◎ スピード△ 底力◎ コース△

ジェネラーレウーノ
近親に目立った活躍馬は見当たらず、4代母ビミスドの産駒に英オークス馬ジェットスキーレディがいる。母父ロックオブジブラルタルは欧州マイル王でミッキーアイルやグレイルなどの母父。アメリフローラ≒デインヒルのニアリークロス3×3を持ち、グラスワンダーとデインヒルのパワーでゴリゴリ先行し粘り込む中距離馬。皐月賞3着は強い内容だが、あんなレースをして強いタイプなのもたしかだ。

距離○ スピード○ 底力○ コース△

サンリヴァル
ヴェルデグリーンのイトコで、母母ウメノファイバーはオークス馬。ヴェルデがジャングルポケット産駒ながら中山の捲りで鳴らしたように、この牝系はフェアトライアル的な小脚もよく伝える。本馬は母父アグネスタキオンが強い体型で、トニービンとヌレイエフとアグネスレディーとシルバーシャークのフェアトライアル的な要素を受け継いでいる。東京で差すより中山で捲って味がある馬だろう。

距離○ スピード○ 底力△ コース△

オウケンムーン
父はジャングルポケット産駒の菊花賞馬。母ムーンフェイズはJRA3勝。母母アフターザサンの産駒に大阪杯のタガノマイバッハ、青葉賞のトキオエクセレントがいる。自身はヌレイエフ≒フェアリーキングの3/4同血クロス4×3。トニービンの血を引く共同通信杯勝ち馬だから東京で巻き返したいが、共同通信杯はゴーフォザサミットが脚を余し、ステイフーリッシュは大幅馬体減に泣いたレースでもある。

距離○ スピード△ 底力○ コース◎

エタリオウ
母ホットチャチャはQエリザベス二世チャレンジカップS(米G1・芝9F)勝ち馬。ステイゴールド×ストームキャット系はツクバアズマオー、キャットコイン、シャルドネゴールドなどと同じ。母系にアリシドンやハイハットやシャーペンアップが入るので、ステイゴールド産駒の配合としても及第点。アズマオーを細身でストライドに寄せたイメージで、大箱芝中距離で確実に相手ナリに末脚を伸ばしてくる。

距離◎ スピード△ 底力○ コース○

コズミックフォース
母ミクロコスモスは阪神JF3着。その母ユーアンミーはフォワードギャルS(米G3・ダ7F)勝ち馬。母系にはカナダ血脈の強いニアリークロスが重ねられているが、キングカメハメハ産駒の配合としてはオーソドックスな好形といえる。プリンシパルSは一頭だけ違う反応で抜け出したものの、ゴール前では詰め寄られた。パワーと機動力でまとめた配合だから、東京の長い直線では追っての味で一歩譲るか。

距離○ スピード○ 底力○ コース△

ジャンダルム
ファリダットやフィドゥーシアの下で、母ビリーヴはスプリンターズSと高松宮記念に勝った短距離女王。本馬は父がキトゥンズジョイに替わり、きょうだいの中では最も配合が良い。キトゥンズジョイは北米リーディングサイアーで小回り向きの機動力をよく伝える種牡馬。本馬も斬れるというよりは立ち回りの巧さが身上で、それを活かせる展開流れになれば。ベストは1800mあたりだろう。

距離△ スピード◎ 底力○ コース△

タイムフライヤー
母タイムトラベリングの全兄タイムパラドックスはJCダートや帝王賞などダ中距離の大レースを勝ちまくった。そこにハーツクライが配された本馬は母父ブライアンズタイムの影響が強い中距離馬で、機動力とスタミナで中山内2000mを捲り差してホープフルSを制覇。グレイル同様、ノーマルなハーツクライ産駒とはタイプが異なるので、東京2400mで更にパフォーマンスを上げられるかは微妙だ。

距離◎ スピード△ 底力○ コース△

テーオーエナジー
母母オシアナは名種牡馬ストームバードの全妹にあたり、伯父にかきつばた賞のビワシンセイキ、近親にAR共和国杯のトウショウナイトがいる。カネヒキリ産駒はJRAでの全勝ち鞍がダートで、芝は[0-2-0-111]と113連敗中。本馬はインリアリティとミスタープロスペクターのクロスだから配合パターンはロンドンタウンに似る。好配合のカネヒキリ産駒ではあるが、いきなり芝のG1となると…。

距離△ スピード△ 底力○ コース△

アドマイヤアルバ
母父バーンスタインはゴスホークケンを出したマイラー種牡馬。ハーツクライ×ストームキャット系はゴーフォザサミットと同じで、大箱向きで距離延長でパフォーマンスを上げてきたのも似ている。母系に入るデピュティミニスターの力馬っぽさも表現されていて、やや前捌きが硬くストライドをきれいに伸ばしきれない走り。[2-6-1-0]と堅実無比だが、食い込みのチャンスは馬場が渋ったときか。
距離○ スピード△ 底力○ コース○

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