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鋭い決め手を受け継いでいれば重賞級、ドナウブルーの娘ドナウデルタ

  • 2018年06月20日(水) 12時00分
●ドナウデルタ(牝 栗東・石坂正 父ロードカナロア、母ドナウブルー)
 現500万下イシュトヴァーン(父ルーラーシップ)の4分の3妹。母ドナウブルーは京都牝馬S(GIII)、関屋記念(GIII)の勝ち馬で、ヴィクトリアマイル(GI)2着、マイルチャンピオンシップ(GI)3着などGIでも上位争いをする優れたマイラーだった。その全妹に年度代表馬に二度選出され、顕彰馬にもなったジェンティルドンナ(12、13年ジャパンC-GI、14年ドバイシーマクラシック-G1、14年有馬記念-GI、牝馬三冠)がいる。4分の3兄イシュトヴァーンはダートで勝ち上がったが、本馬の父ロードカナロアは芝向きの柔らかなタイプで、なおかつ牝馬でもあるので芝向きのマイラーとなりそうだ。母は430kg台で競馬をすることが多かったが、本馬は450kg以上とのこと。鋭い決め手を受け継いでいれば重賞級だろう。

●マイサンシャイン(牡 栗東・五十嵐忠男 父ゴールドアリュール、母フラッテローザ)
 母フラッテローザは現役時代1勝を挙げるにとどまったものの、帝王賞(Jpn1)2回、ジャパンダートダービー(Jpn1)などダートG1を勝ちまくったフリオーソの全妹にあたる。3代母Bayaはグロット賞(仏G3・芝1600m)を勝ち、仏オークス(仏G1・芝2100m)で2着となった活躍馬。4代母Bargerはヨーロッパで活躍した女傑Triptych(G1を9勝)の全妹という華やかなファミリーに属している。「ゴールドアリュール×ブライアンズタイム」の組み合わせはエスポワールシチー(09年ジャパンCダート-GI、10年フェブラリーS-GIなどダートGIを9勝)と同じ。Nureyevクロスを持つゴールドアリュール産駒が好成績を挙げているのも好材料だ。全姉ゴールドステップはJRAで4戦して未勝利に終わったが、父の産駒は牝馬よりも牡馬が走る傾向が見られるので違った結果が期待できる。ダート向きの中距離タイプ。

●メッシーナ(牝 美浦・萩原清 父ディープインパクト、母シユーマ)
 現在4戦3勝のヘリファルテ、プリンシパルS(OP)2着馬ブレステイキングの全妹。母シユーマはサンチャリオットS(英G1・芝8f)、E.P.テイラーS(加G1・芝10f)の勝ち馬。母の父Mediceanは現役時代にエクリプスS(英G1・芝10f)とロッキンジS(英G1・芝8f)を制し、種牡馬としては中堅級といったポジションだった。ただ、Machiavellian産駒で堅い馬場を得意としたので、日本向きの血といえるだろう。母方にMachiavellianが入り、Haloクロスが生じるディープインパクト産駒なのでヴィルシーナ(13、14年ヴィクトリアマイル-GI)、ヴィブロス(16年秋華賞-GI、17年ドバイターフ-G1)の姉妹とよく似ている。母にMr.Prospector 3×4があるものの、重厚なデインヒルが入るので浮ついた感じはしない。Danzigを経由したNorthern Dancerクロス(5×5・5)は好ましい。全兄2頭を上回る活躍を期待したい。

●ランフォザローゼス(牡 美浦・藤沢和雄 父キングカメハメハ、母ラストグルーヴ)
 現3歳で500万下の上位勢力であるリシュブールの全弟。母ラストグルーヴはセレクトセールで1歳馬としては史上最高の3億7800万円(税込)で落札され、まったく仕上がっていない状態で3歳最後の新馬戦に出走したところ、楽々と勝ってしまい、管理する藤原英昭調教師が驚嘆したというエピソードがある。残念ながら競走馬としてのキャリアはこの1戦で終わってしまったが、素質の面では全姉グルヴェイグ(12年マーメイドS-GIII)に引けを取らないものを持っていたと思われる。そのきょうだい、つまり本馬にとっての伯父伯母には、アドマイヤグルーヴ(03、04年エリザベス女王杯-GI)、ルーラーシップ(12年クイーンエリザベス2世C-香G1など重賞5勝)、フォゲッタブル(09年ステイヤーズS-GII、10年ダイヤモンドS-GIII)などがいる。2代母エアグルーヴは牝馬ながら年度代表馬に輝いた女傑。本馬はヴァナヘイム(16年京都2歳S-GIII・2着)と同血(父が同じで母同士が全姉妹)で、ルーラーシップの3/4同血(父が同じで母同士が親子)、二冠馬ドゥラメンテの7/8同血。芝中距離で確実に走ってきそうだ。

●レイズアフラッグ(牡 栗東・平田修 父キングカメハメハ、母レディシャツィ)
 母レディシャツィは南米ペルーの名牝で、同国のダービーやオークスなどを制して年度代表馬に輝いた。母の父Privately HeldはスピニングワールドやアルデバランIIの叔父にあたり、サイアーラインはPrivate Accountを経てDamascusにさかのぼる。Damascusは父キングカメハメハと相性がよく、とくにNorthern Dancer、Secretariatを併せ持つ配合からはグレイトパール(17年平安S-GIII、18年アンタレスS-GIII)やソルレヴァンテ(12年弥生賞-GIII・4着)が出ており、連対率33.3%、1走あたりの賞金額432万円と抜群の成績。キングカメハメハ産駒全体の19.3%、222万円を大きく上回っている。ディープインパクトとの間に誕生した兄姉は未勝利だが、ダート向きと思われるだけにキングカメハメハのほうが配合的に合うだろう。ダート中距離で期待したい。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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