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大きな死角も覚悟で挑戦してきた心意気に注目/宝塚記念

  • 2018年06月23日(土) 18時00分


◆日本のエース格は状態微妙、つけ入る可能性は十分

 土曜日の雨は少々影響しても、良馬場に近いコンディションが望めることになった。超高速馬場だった先週ほどは時計は速くないとしても、稍重で2分11秒4だった昨年より勝ちタイムは速くなるかもしれない。土曜日の前半はサトノダイヤモンド(ルメール)、キセキ(デムーロ)が人気を分けあって出発したが、これは鞍上の人気も大きく、当日の馬場状態によってはまだ変動しそうである。

 レイニーシーズンを狙って遠征してきた香港のワーザー(父はモンズーン直仔のタヴィストック。祖母はジャパンC優勝馬のジュピターアイランドの妹)にとって、願いの渋馬場にはならないだろうが、この挑戦者、渋馬場の経験は少なく、時計のかかるレース限定でもない。ニュージーランドを出発に、オーストラリア、香港の芝1800〜2500m通算【7-6-2-0】。きわめてタフな中距離型で、めったに凡走しない。

 今年は必ずしも順調ではないが、2走前の2000mはシャティンのコースレコード1分59秒97と、わずか0秒07差の2分00秒04。叩き台レースとして距離不足を承知で出走した前回の1600mも1分33秒8。香港の芝も以前より時計が速くなっているとはいえ、マイルだと日本の高速レースより約1秒近く時計を要する(だから、日本に来て好走する馬はだいたい1秒前後短縮する)。ここ2戦は順調ではないとされるが、レースの中身は少しも悪くない。時計の速いレースに十分対応しているのである。

 三木ホースランドパークから移動した翌日に追い切り、その直後の馬体重測定なので、発表された数字は454キロになっているが、当日はかなり戻っているはずで(戻っていないと大きく減点だが)、460キロ台の後半なら体調不安はないだろう。

 近いとはいえ、慣れない他国への遠征競馬は輸送だけではなく、検疫期間など大きな死角がある。宝塚記念は招待競走ではなく、香港で本格化してからは初の海外遠征に踏み切って挑戦してきた心意気(意欲)に注目したい。招待競走への遠征とは陣営の展望は大きく異なる。国際レーティング「119」が示すように、ワーザーは日本の中距離のエース級より、明らかに国際ランクは落ちるが、今回の日本のエース格(サトノダイヤモンド、キセキ、サトノクラウンなど)には、必ずしも現在、絶好の状態ともいい切れない死角があるから、つけ入る可能性十分としたい。

 日本馬の狙いは、牝馬ヴィブロスと、馬場悪化がなさそうなので、デキのいいミッキーロケット、ストロングタイタンか。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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